映画『PUSH 光と闇の能力者』【ざっくり感想版】

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 ずいぶん前にテレビで見た映画でしたが、Netflixにあったのでまた見てみました。

 特殊能力者と悪の組織(ここにも特殊能力者がいる)が戦う物語は幾つになっても好き、という方は多いのではないかと思います。日本でも古いものだと『NIGHT HEAD』や、少し前だと『SPEC』あたりもそのジャンルで、いろんなタイプの能力者が出てくるところが面白いのでしょうね。

 『X-MEN』シリーズみたいに派手で大掛かりじゃなくても、ひっそりと一般社会の中で暮らしていた一部の能力者が、ある日戦いに巻き込まれる──といったスケール感の映画も嫌いじゃないです。特殊能力者というくくりでいいのかは別として『アイ・アム・ナンバー4』なども同様のジャンルとして楽しめました。

 というわけでこのPUSH 光と闇の能力者』(邦題から漂う中二病感w)も、そんな特殊能力者たちが多数登場する作品。超能力系の映画やドラマの花形と言ってもいいテレキネシス使いが今作でも主人公ですが、本人の能力自体はさほど高くはなく、どちらかというと自分が最前線に立ちリーダーとして統率する才能に長けているように見えます。アベンジャーズでいうところのキャプテン・アメリカのような……ってどっちも同じ人じゃん、っていう(笑)。

 

 

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主演はクリス・エヴァンスとダコタ・ファニング

 クリス・エヴァンス演じる主人公のニックはテレキネシス系の能力(作中での属性は「ムーバー」)を持つ青年。

 上にも書いたように今ではキャプテン・アメリカとして世界的に有名になっただけではなく、本人もキャップを演じる者としての自覚なのか、SNSなどでの発言も自身の影響力を考慮した意見が多くなっているようです。演じる役のイメージに本人が寄せていくというパターンですね…。

 『キャプテン・アメリカ』以前のクリス・エヴァンスも十分逞しい身体ではありますが、キャップを演じるようになってからのゴツさと比べると、今作でのニックはまだ「普通にガタイのいい人」という印象にとどまっています。いや、実際に見たらデカいんでしょうけど。

 

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 そしてもうひとりの主人公は、ダコタ・ファニング演じる未来を予知できる能力(属性は「ウォッチャー」)をもつ13歳の少女キャシー

 ダコタ・ファニングはキャリアがやたら長いので、年齢の割に(まだ24歳ということに驚き)出演作品が多く、テレビで出演作を見るたびにちびっ子だったりティーンエイジャーだったりするので軽く混乱します(笑)。

 また今作の撮影当時はキャシーと同じ13歳か、もしくはひとつ上の14歳だったようなんですが、何に驚くって『ランナウェイズ』でのシェリー・カーリー役が、この映画からわずか1年後の作品だったということです。思春期は成長が早いとはいえ…今作ではまるっきり子どもなのに1年後にあれかよっていう。。

 

 あと敵のボスキャラ、カーバー役のジャイモン・フンスーさんもこういった「主役キャラじゃないけど切れ者の実力者」としてよく見かけます。最近では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に出ていましたが、もうじき日本でも公開される『アクアマン』にもクレジットされているようで…。そしてその後には『ガーディアンズ〜』と同じコラス役で『キャプテン・マーベル』にも登場するようです。

 

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 またキアヌ・リーブス主演の『コンスタンティン』にも重要な役(もちろんこちらも相当の実力者)で出演しています。

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属性分けがゲームっぽい

 今作では様々なタイプの特殊能力者が登場しますが、幾つかに分類されていてそれぞれ属性名が与えられていました。『X-MEN』や『ヒーローズ』みたいにたくさんのバリエーションがあるわけではなく9つのタイプに分けられており、同じ属性の者はレベルに差はあれど基本的には使える能力は同じです。

 こういった明確な属性分けと、使える能力が枝分かれし過ぎていない点は、RPGなどの世界観に慣れている世代にとっては分かりやすく、そして小気味良さを感じるところでもあるよう感じました。

 また、そういった意味では登場人物の能力に強烈な個性があるわけではないので、別のキャラクターが主人公になっても同じ世界観を引き継げると思います。この1作だけで終らせるには勿体なく、個人的には続編が見てみたいと思う作品でした。

 

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能力者の属性リスト

 ただぼんやり見ていると「あれ、その属性名って何だっけ」と、こんがらがってしまうことが何度かありました。そこで簡単に9つの属性とその能力についてリストアップしていきます。

 

ウォッチャー

未来が見える。ただし人の行動・思考によって未来は変動するため、一度見えたビジョンが100%とは限らない。

ムーバー

念動力で物を動かすことができる。シールドのようなものを発生させ、弾丸を弾くこともできる。

プッシャー

他人に別の記憶を植え付けることができる。それによって行動を操ることが可能

スニファー

触れたものの匂いを嗅ぐことで、その物体に触れた人間の過去の行動を知ることができるサイコメトラー

ブリーダー

声を発することによる音の振動で衝撃波を出す。物体を破壊するだけでなく、人の鼓膜から脳へも衝撃を与える。

シフター

物体の外観を変える(ように見せる)ことができる。ただしその効果は一時的。

スティッチャー

肉体を癒すことができるヒーラー。逆の使い方をすれば肉体を壊すことも可能。

シャドー

ウォッチャーやスニファーなどから察知されないよう標的を隠すことができる。

ワイパー

標的の記憶を削除することができる。削除する記憶の範囲はコントロール可能。

 

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ロケーションの妙

 舞台となった香港のカオス感が物語とマッチしていたのも良かった点のひとつです。謎めいていて、そしてごちゃごちゃとした迷宮のような香港の街並み・雑踏が、人知れず超能力ウォーズをしている主人公たちが潜んでいる場所としてぴったりはまっているように思いました。

 同じ東洋人で、漢字を使う国の日本人が見てもカオスと感じるくらいなので、西洋人の目にはこの得体の知れない異世界感と息苦しくなるような密度の高さは、ある意味ダンジョンにでも入り込んだかのような感覚になるのではないかと…。

 そして、かつて『ブレードランナー』で描かれた「あの」いろんな文化がごった煮のようにミックスされたサイバーパンクな世界は、80年代の視点・価値観でイメージされた近未来であり、2019年となった今では「あのようなカオスで怪しげな都市はおそらく生まれないだろう」と何となく気付いてしまっていますが(続編『ブレードランナー2049』の世界でもやはり「あの」カオス感はありませんでした)、それでも香港という街は「あの」世界観に繋がっていきそうな可能性を持つ、数少ない街なのかもしれないなぁとちょっと思っています。

 

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