三崎町三丁目通信

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映画『ダイバージェント』シリーズ①──5つの派閥には五行思想のような相関性はなし

投稿日:2020年1月8日

 シリーズ2作目の『ダイバージェントNEOまではHuluNetflixで見ていたのですが、3作目の『ダイバージェントFINAL』が昨年後半にNetflixに上がってくるまでずっと見られずにいたので今回ようやくといった感じです。

 まぁとは言っても特別待ち焦がれていたわけではなくて、シリーズものを途中まで見たことだし続きがあるなら見ようかなという程度なのですが(笑)。

 

 ちなみによく並べて語られる(?)『ハンガー・ゲーム』は2までしか見ていません。ってかその2にしても飛ばしながら見ただけという。個人的にあの設定はどうにも好きになれないんですよね。

 

 

ヤングアダルト小説らしい物語

 「いや、そんな都合よくいかねぇだろw」っていう世界観の設定やストーリー展開、主人公たちの関係(恋愛・友情・家族愛とか)などなど、いかにも中高生~20代半ばくらいの若者世代が好みそうな印象のこの映画。

 

 日本の若者向け映画だと「人ならぬ何か」が割とグロく戦うようなものや、もしくは恋愛寄りのものだと

 

①限られた時間(期間)の中で出会った主人公たちが恋に落ちる

②病気だとか住む世界の違いなど、抗えない何らかの理由でどちらかが姿を消す運命に(死や元の世界へ帰るなど)

 

 というお手軽かつ鉄板の設定を、素材と調味料だけを変えて提供しているイメージですが(笑)、アメリカ映画のほうはいうと

 

❶「自分」とは何者であるか、本当の「自分」とは──

 

 といった徹底的な「自分探し」が常に盛り込まれている感じで「who you are」「who I am」というセリフをやたら耳にします。この辺りが個人主義の国と集団主義・平均主義の国との違いなのでしょう。

 そしてその「自分探し」以外に重要なテーマが

 

❷家族愛、家族の絆

 

 でしょう。離婚率が高い国だからこそ、逆にこういうエンタメで家族愛を深めていくようにしているのかも…

 

 他人と同じでなくてもいい、本当の自分でいなさい、ありのままの自分で生きなさい!…でも家族は大切にね♡

 

 ってことですかね。。

 

 そんなわけでこの『ダイバージェント』も「本当の自分探し」と「家族の絆」を主軸に、日本でいうところの厨二病的な世界設定のなかで物語が進んでいきます(笑)。

 

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5つの「派閥」と「異端者」で構成される世界……あれ、あの人たちはどこ?

みんな大好き「属性分け」

 この『ダイバージェント』の世界は、人間を「無欲」「平和」「高潔」「博学」「勇敢」という5つの派閥に分けることで平和と秩序を保っているという、世界崩壊後の近未来のシカゴが舞台です。

 さらにはそのどれにも属さない「無派閥」という、ストーリー上の逃げ道的な存在もいます(笑)。「無派閥」が一番数が多かったりして。

 

 これまた若者が好む傾向といった感じですが、ヤングアダルト世代の人たちはとにかく人を「属性分け」するのが好きですよね。

 たぶんそうやってカテゴライズ分けしておくと楽だし人間関係の土台を作りやすいのでしょう。初期設定済みのPCみたいな。

 

 

「自分、陰キャなんで」

「あー、あの人はパリピだから」

 

 

 といった感じで。(この言い方もそろそろ古い?w)

 

 ですので、こういった完全に属性分けされた世界という設定もわりとすんなり受け入れられそうな気がします。

 ってか学校や仕事場で他人に合わせなきゃいけない同調圧力に辟易としているような人にとっては、むしろ「自分もその世界で暮らしたかった」と思うのかも……「勇敢」と「無欲」を選ぶ人は少なそうですが(笑)。

 

 

「木火土金水」のようにはならず

 で、この5つの派閥という名の「属性分け」ですが、東洋の五行思想のような相生、相剋というバランス関係(それぞれに相性があり、強い弱いといった力関係や協力関係などが均等なバランスで成り立っている)はないようなので、今までどうやってその「区別」だけで社会の均衡が保たれてきたのかは謎です。

 やはりその辺りは火・風・水・土という四元素の概念で生きてきた西洋人が作るお話、といった感じがしますね。

 

 小さいときからRPGなどのゲームに慣れ親しんだ世代にとっては、この四元素思想は違和感なく受け入れるものなのかもしれませんが、漢方や風水、東洋の占いなどのほか、神道など日本に古来から伝わる思想や歴史のほうがしっくりくる人間にとっては「木火土金水」の五行思想のほうが自然で理に適っていることを知っているので、単なる「区別」では絶対うまくいかないだろうなと思ってしまいます。

 

やっぱり若者向けだった

 最初に見たときにはそれほど気にならなかったのですが、改めてまた見てみると中年真っ盛りの自分にとっては思っていた以上に甘ったるいなぁという印象が(笑)。

 

 後半「勇敢」の皆が操られた状態で列車に乗っているときに、フォーが隣へ立ったトリスの手を取りこっそりふたりが手を繋ぐ場面なんて、きっと若い子たちがキュンキュンするポイントなのでしょうw

 

「私たちふたりだけの秘密」

「周りが何を言っても私たちは通じ合っている」

「たとえ世界が変わってしまっても私たちは心で繋がっている」

 

 的な。若いって本当に素晴らしい。いやマジで。恋は障害があったほうが燃えるって言いますもんねw

 

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燃え上がっちゃうんだろうなぁw

 

 またトリスとフォーの関係のみならず、クリスティーナやウィルたちとの友情も「移籍組」という共通点もあるせいか、あの場にそぐわない「仲良しグループ」といった軽さが感じられました。あんな過酷な環境で周りは皆ライバル、という状況でそんなふうになる? と軽くツッコミを入れたくなるような…

 

 この辺の設定は、日本のどこにでもある高校とかに置き換えても何の違和感もなく話が転がりそうな感じですね。

 

その後飛躍したサブキャラたち

 トリスの兄ケイレブ役を演じたアンセル・エルゴートは、この『ダイバージェント』と同年に公開された『きっと、星のせいじゃない。』ではトリス役のシェイリーン・ウッドリーと恋人役で共演。

 その後も『ダイバージェント』シリーズへの出演の他、2017年のエドガー・ライト監督作『ベイビー・ドライバー』では主演を務め、特別な能力がありながらも訳ありで内向的な青年という役を好演していました。

 また「勇敢」で同じ移籍組として仲良くなり、こちらもシリーズ3作全てに登場することになるクリスティーナ役のゾーイ・クラヴィッツは、私のような世代だとどうしても親のネームバリューが強すぎて二世俳優として見てしまいがちですが、何だかんだでいい具合に女優としてのキャリアを積み上げてきて、今では親父関係なく「ああ、あの映画のあの人ね」ですっかり通る人になっています。

 『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ファンタビ』シリーズ(これは見てませんがw)などなど。

 

 今Wikipediaを見ていて知ったんですが、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で共演したのがきっかけ(おそらく)でマイケル・ファスベンダーと付き合っていたんですね。へー。

 さらにファスベンダーの前に付き合っていたのが『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』でエンジェル役だった人らしいので、

 

 

「エンジェル同士かよw」

 

 

 というツッコミをきっといっぱいされたことでしょう(笑)。

※ゾーイは『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』でエンジェル役。ただし『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』のエンジェルとは別人

 

 そしてさらに余談ですが、ゾーイの父レニー・クラヴィッツと元カレのマイケル・ファスベンダーにはある共通点が……

 これだけ見て何のことか分かった人は、レニー・クラヴィッツのライブで起きたとあるアクシデントの動画を見たか、映画評論家の町山智浩さんの有料音声ファイルの『映画ムダ話』の『SHAME -シェイム-』の回を聞いた方でしょう(笑)。

 

 

やっぱりゾーイも小さい頃にお父さんとお風r……

 

 

 …また何といってもこの『ダイバージェント』シリーズでの存在感といい、他の映画での活躍ぶりという意味でも一番目を引くのはピーター役のマイルズ・テラーでしょう。

 『ダイバージェント』と同年に公開された『セッション』が最も印象深いですが、リブート版の『ファンタスティック・フォー』でMr.ファンタスティック役を演じたり、『ダイバージェント』以前には『フットルース』のリメイク作で、あの「気は優しくて力持ち」的キャラのウィラード役(見てないけど似合いすぎるwww)を、そしてどのような役かはまだ分かりませんが『トップガン』の続編『トップガン マーヴェリック』にも出演するようで…。やっぱり憎まれキャラの役なんでしょうかね(笑)。

 

 すでに有名なベテラン組みでいうと、トリスのお母さん役を演じたアシュレイ・ジャッドはスカパー!の映画チャンネルで放送される映画で、フィジカル的な強さとは違う内面的な「芯の強さ」を持った女性役として見ることが多いですが、フリーダ・カーロノーマ・ジーンといった超有名な女性を演じた映画にも出演しているようです。

 ハーヴェイ・カイテル主演の『スモーク』で、どーしようもないヤク中の娘役を演じていたのが彼女だと知ったときはちょっと驚きました。

 

 

 

 ジェニーン役のケイト・ウインスレットはわざわざ説明する必要もない人ですが、『タイタニック』を見ていない自分にとっては『エターナル・サンシャイン』の人、というイメージです。

 

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この当時はまだ30代

 

肝心の内容はというと…

 5つの派閥に分けられた世界と、かなりの時間を割いて描かれる「勇敢」での訓練生活、そして幻覚剤のようなものを注入して行うシミュレーション設定などは面白さを感じたものの、「博学」が権力を握ろうとして起こした行動とその顛末については、

 

 

なんだかずいぶんあっさり進行してあっさり終わったな…

 

 

 という感想でした。

 いわばクーデターで、やろうとしていることは大規模でえげつないことなのに、その首謀者であるジェニーンがいる中枢部でのクライマックスの攻防は割とあっさりしたもので、こういった映画ではたまにある

 

 

なぜ一番大事なところの警備がこんなにもザルなのか

 

 

 という問題点がここでも出ていたような気が。次作ではこのあたりが多少改善されていたような、いないような。

 

 というわけでまだまだ先があるこの『ダイバージェント』シリーズ、第1作である今作ではまだトリスに「無欲」上がりならではの(?)素朴さが見られ、フォーとの関係も「教官と新入り」という、クラシカルな男女間の上下関係となっていますが、このあとの2作でその辺も結構はっきりと変わってきます。ベタなロマンスを描きたくても、やはり男女平等が叫ばれる今の風潮には逆らえないのでしょうか。

 

 そして「イケメンのかーちゃんはやっぱり美女」であることを証明するようなフォーの母親が次作から登場したりと、微妙にテコ入れしつつ物語は膨らんでいきます。

 

 

 ちなみにトリス役のシェイリーン・ウッドリーは、元CIAでロシアに亡命したエドワード・スノーデンの映画『スノーデン』で、彼の恋人役として出演しています。映画自体もなかなか興味深い内容となっていますのでまだ見ていない方はぜひ。

 

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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