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映画『LOOPER/ルーパー』──タイムリープ系の良作④【ブルース・ウィリスが2度撃たれた意味は?】

投稿日:2020年1月11日

 「タイムリープ系の良作」シリーズとして、これまで『ミッション:8ミニッツ』『ジャケット』『12モンキーズ』を取り上げてきましたが、今回はライアン・ジョンソン監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント主演のLOOPER/ルーパー』について書いていこうと思います。

 

 

 

 

 特殊メイクだったかCGだったか忘れてしまいましたが、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの顔をブルース・ウィリスに寄せて変えているそうで、たしかに似ててちょっと気持ち悪いんですよね(笑)。

 

 『LOOPER/ルーパー』は他のタイムリープものと比べると過去と現在、現在と未来などへの「行ったり来たり」がほとんどない作品なので、このくくりに入れるべきか悩みましたが、他のタイムリープ系作品と共通する大事な要素もあり、映画としても面白いのでやっぱりこのシリーズに入れることにしました。

 

 

おおまかなストーリーと疑問点について

 2044年のカンザス州、ジョーは「ルーパー」という裏の仕事で生計を立てている。

 

 2044年時点ではまだ開発されていないが、そこから30年後の世界ではタイムトラベルが可能となっていた。しかし法律で禁止されているため犯罪組織が秘密裏にそれを悪用し、彼らが消したい人間を過去へ送り、指定された時間と場所で待っている殺し屋「ルーパー」が始末し、報酬をもらうというシステムとなっている。

 

 ある日ジョーの元へ30年後の自分が標的として送られてくる。未来の自分を仕留めそこなったジョーはあっという間に殴り倒され、取り逃がしてしまう──

 

 

 という展開から物語は進んでいきますが、この「未来から来た自分」と対峙する場面のところでちょっとだけ「あれっ?」と混乱してしまいました。

 

 最初30年後のジョー(ブルース・ウィリス)がやってきたとき、2044年のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は彼を取り逃がしてしまいます。

 しかし次にまたしても未来のジョーがやってきて、今度は一発で仕留め、背中の金の延べ棒を手にします。

 

 これは一体どういうことでしょうか。

 

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ブルース・ウィリスが2度やってくるシーンの解説

 30年後のジョーが未来から2度送られてきて、それぞれ違う結末となっていたので「どういうこと?」と思った人もいたことと思いますが、あれはよく考えるととくに難しい現象ではなくて、タイムリープものとしての状況説明、辻褄合わせです。

 

 最初に未来からジョーが送られてきたときは、袋は被せられておらず手も縛られていません。そして背中の金の延べ棒を盾にして身を守って逃げました。(これを❶とします)

 次に未来から送られてきたときのジョーは白い袋を被らされ、手も縛られていて2044年のジョーにこれまでと同様すぐに撃たれました。(これを❷とします)

 

 どういうことかというと、これは↓のような設定のもと、以下のタイムラインであることを説明しているのです。

 

変わらない設定

・2044年のジョーは、未来から送られてくる人間を撃ち殺す「ルーパー」である

・「ルーパー」は30年後に捕まり、過去に送られ当時の自分に撃ち殺される契約である(ルーパーとして未来の自分を撃ったのであれば、30年後に捕まるまでは生きていることが確定。撃たないままルーパーとして生活しているなら向こう30年以内のどこかで死ぬことが確定。どちらにしても30年以上生きるルーパーはいない)

・未来の自分を撃ったルーパーは多額の報酬(金の延べ棒)と引き換えに引退。その代わり30年後に捕まって過去の自分に殺される運命である

 

ジョーのタイムライン

①2044年に「ルーパー」として生きているジョーは、ついに未来の自分を撃つ(❷)

   ↓

「❷」を遂行したことによりジョーは引退、2045年に中国へ渡る

   ↓

③殺し屋として荒れた生活を送るなかで、最愛の妻と出会う

   ↓

④2044年から30年が経ったある日「レインメーカー」の手下に捕まり、妻を殺される

   ↓

⑤タイムマシンに乗せられる直前に手下たちを返り討ちにし、両手が自由な状態で自らタイムマシンに入る

   ↓

⑥2044年にやってきたジョーは、若い自分を殴り倒して逃げる(❶)

※この⑥をもって❷以降のタイムラインは消滅❶以降のタイムラインとなる。ここから未踏の世界となるが、未来からきたジョーには消滅したタイムラインでの記憶が残っている

 

 

 ということなのだと思います。つまり

 

「2044年で「レインメーカー」の子どもを殺そうとする未来のジョー」

 

 が存在するためには、まず

 

「2044年に飛ばされて若いジョーに撃たれる未来のジョー」

 

 という存在がいなければならない、ということになるわけですね。

(204年にジョーが未来の自分を撃たなければ30年後にジョーは存在していないことになるので。→「変わらない設定」参照

 つまり2回目のタイムリープ(ブルース・ウィリスが撃ち殺されるほう)のほうが古いタイムライン…というか原点の設定なのでしょう。

 

 ちょっとだけややこしいですが、これがないと映画のストーリーが始まらないので仕方がない(笑)。

 

 なお❷が起きたあとに2044年のジョーが経験する記憶」(②~⑤)は、❶が発生してからの新しいタイムラインではあいまいなものとなり、また若いほうのジョーが「生きている未来のジョー」と出会ってから取る行動は過去には起きていない出来事なので、新しい記憶や傷跡が次々と未来からきたジョーに形成されることとなります。

 

 それにしても「タイムラインが変わったことによって新しい記憶や傷跡が出来る」という描写、ジョーよりもセスのところがめちゃめちゃエグくて怖いんですけど……指を1本ずつ落とされ、鼻を削がれ、手足を落とされ……でも未来のセスが生きてるということは、それをやられている若いほうのセスもまだ生きている状態…という。。

 

 

タイムリープの複雑さを説明している

 タイムリープ系作品では、本来そうなることになっていたはずの「前提となるタイムライン」がタイムリープによって違う選択が取られ、別のタイムラインに上書きされていくので何かと複雑になりがちです。

 これまでは「トンデモ論」とされてきた

 

 

「この世界は仮想空間である」

「常に“今”のその選択により次の“今”が決まる」

「宇宙は無限のパラレルワールドで成り立っている」

 

 

 といったような概念が、最近になっていよいよ真実であることが証明されようとしているのはご存知でしょうか。

 

 というか現在では「それが真実である」という証明というよりも、

 

「それがデタラメであるとは言えない」ことの証明

 

 がされてきているという段階なのですが、でもそれだけでもすごいことだと思います。

 まぁ「コイツ何言ってんだ?w」と思う人もまだまだ大勢おられることでしょうが、そろそろですよ。映画でも以前よりずっと多くのことが開示されてきていますからね。

 

 

 というわけでこの『LOOPER/ルーパー』にも、その複雑なタイムリープとパラレルワールド、多次元宇宙の概念を説明している箇所がありました。

 

 ダイナーで過去と現在のジョーが対峙した場面で、未来のジョーが言うセリフがそうです。それは

 

 

「記憶」とは1つの可能性でしかなく、あいまいで本当の記憶ではない。時によって晴れたり曇ったりするもの

しかし「現在」についてはすべてが明快である

 

 

 というものです。

 

 「「記憶」とは1つの可能性でしかない」→「過去」と「今」を一直線で結びつけているのが「記憶」ですが、それ自体が「1つの可能性でしかない」ということは、私たちが「過去」として認識している不動不変の「事実」は不動不変ではないのかもしれません。

 

過去と今(現在)という関係は、必ずしも一本道で確実な因果のもと繋がれた関係とは言えず、そのときそのときの「今」の選択によって違ったものとなる──

 

 過去も未来も「曖昧」なものであるとすると、唯一「明快」なものは「今(現在)」のみ、ということになりますね。

 

 

 なんだか頭が痛くなってきますが(笑)。

 

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 でもその瞬間ごとに選択した結果によって常に世界は分岐していくのが当たり前ならば、「ひとつの可能性」の世界からやってきた未来のジョーが持つ妻の記憶が、次々と新しく上書きされていく記憶の流入によって必死に思い出さなければならないほど曖昧なものとなっていく描写も納得がいくように思われます。

 

 さて、この「その都度ごとの選択によって無限のパラレルワールドが存在する」といったことを書くと、

 

 

そんな膨大な分岐が全人類規模でしかも瞬間ごとに起こっていたらこの世界はとっくに容量オーバーになっとるわ……アホかw

 

 

 と考える方も出てきそうですが、地球の人類に瞬間ごとのパラレルワールドが存在している程度で容量オーバーになるかどうかは、たとえばこのへんの動画などを一度ご覧いただいたうえで、改めて再考されることをおすすめします。

 

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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