「名前」について
これは小ネタになりますが、主人公エリックの名前はエリック・ドレイヴンといい、スペルはEric Dravenです。
タイトルにもなっているように、カラスは英語で「Crow」ですが、英語で「カラス」を意味する言葉はもうひとつあります。
映画に出てくるものや、日本で普通に見かけるカラスのように小さい種のものを総じて「Crow」と呼び、ワタリガラスのように大型種のものは「Raven」(レイヴン)と呼ばれます。
つまりエリックは自らの名前に「カラス」を宿していたことになるのですね。
さらにこじつけて考えてみれば、残りの「Eric D」の配列を変えてみると「Cried」とすることもできます。
Cried Raven
「cry」という単語は「(悲しみや苦しみなどで)泣く、涙を流す」という意味に加えて「(動物などが)鳴く、泣き声を上げる」という意味も持っていますので、どちらで考えてもしっくりくるような気がします。まぁこじつけですが。
あともうひとつ、映画のなかで「名前」というものについて語られる台詞に、記憶に残るものがありました。
娘サラを置き去りにしてファンボーイと一緒に麻薬に溺れた生活を送っていたダーラにエリックが言うこの言葉、
Mother is the name for God on the lips and hearts of all children.
「母親」とは、子供にとって神の別名なんだ
そしてエリックはその不思議な力によってダーラの体からモルヒネを抜き出し、続けてこう囁きます。
娘が通りで君を待ってる──
堕落してしまった(娘を持つ母である)女を目覚めさせるのに、これほど強い言葉があるでしょうか。
ちなみにこの映画最大の見せ場といっても過言ではない
「諸君!」
という台詞から始まる、トップ・ダラーのアジトに乗り込んでの一大アクションシーンでエリックは
「皆 死んでもらう」
という言葉通り(真っ先に逃げたトップ・ダラーとマイカ、グランジの3人を除いた)全てのギャングたちを殺しますが、その場に居合わせた女たちはひとりも殺していません。さらに言えば教会でマイカを死に至らしめたのもエリックではなく、カラスです。
もちろんティンティン、ファンボーイ、Tバードを殺したときも誰かを巻き添えにすることもありませんでした。ヒーローものや復讐ものの映画を見ていて「いやそれ他の一般人も巻き添え食らってるだろ…」という場面をたまに見ることがありますが、エリックは
死すべき者は誰か
ということをちゃんと知っているのです。
次回はブランドン以外の登場人物を演じた俳優についてや、DVDの特典映像やブックレット、雑誌の特集などで語られていたことに加えて、当時の若者の総称であった「ジェネレーションX」のカルチャーが色濃く反映されたサントラについてなどを書いていこうと思います。
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