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映画『12モンキーズ』──タイムリープ系の良作③【キャサリンはジェームズのことを知っていた?】

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 ずいぶん間隔が開いてしまいましたが、以前「タイムリープ系の良作」シリーズとしてレビューを書いた『ミッション:8ミニッツ』『ジャケット』に続いて、今回は日本では1996年に公開された『12モンキーズ』について書いていこうと思います。

※この『12モンキーズ』は数年前にドラマ化され、映画版・ドラマ版のどちらもNetflixで見ることができます。(2019年9月上旬現在)…が、私はドラマ版は見ておりません。

 

 

 人類の99%がウイルスによって死滅した未来の世界で、犯罪者として収監されていたジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)が、その原因となったウイルスがばらまかれた事件の情報を集める任務を受け1990年代にやってくる。収容された精神病院にいた患者のひとり、ジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)の事件への関与が疑われるなか、同じくそこで出会った精神科医のキャサリン・ライリー博士(マデリーン・ストウ)とともに事件の真相を突き止めながら、心を通わせてゆく──といった物語。

 公開当時に映画館で観たときの感想や、物語のタイムラインなどを追いつつ、ここでは今回改めて見直してみて「おや?」と気になった点、

 

キャサリンはなぜジェームズのことを「以前から知っているような気がする」と思ったのか

 

 を主題として取り上げていきます。

 

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当時のマデリーン・ストウについて

 『12モンキーズ』が公開された頃、キャサリン役のマデリーン・ストウの美しさは当時、主演・主要キャストクラスだった他の女優と比べても別格なものがありました。

 90年代前半〜半ば頃、とある映画系の雑誌の仕事をちょっとだけやっていたので(駆け出しレベルでしたが)インターネットはおろかケータイもそんなに普及していない世の中ながら、そこそこ映画の最新情報を得ることができて今思えば楽しい時代でした。

 そんな時期に、たしか最初に『不法侵入』や『張り込みプラス』あたりを見て、そこから後追いで『張り込み』を見て「うわー美人…」と衝撃を受けたのがマデリーン・ストウさん。

 個人的に当時、似たような別格さを感じた美人というと『ツイン・ピークス』のシェリー役だったメッチェン・アミックあたりが思い出されます。ドラマのキャラの中ではシェリーはそこまで好きではなかったけど、もちろん奇麗だとは思っていました。『ツイン・ピークス ザ・リターン』でも相変わらず奇麗でしたが、ちょっと顔が四角くなっていたような(笑)。

 

 

 また『セックスと嘘とビデオテープ』のレビューにも書きましたが、当時アンディ・マクダウェルが大好きだったので、マデリーン・ストウと共演した1994年公開の『バッド・ガールズ』は個人的にかなりアツい映画でした。

 まぁ結局観に行かなかったのですが。(行かなかったんかい!w)

 

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当時の感想を振り返る

 日本でも大人気だったブルース・ウィリスとブラッド・ピットの共演、人気ジャンルであるタイムリープものに加えて終末論的な内容が絡む──というだけでも興味をそそられる(なんたって90年代後半ですからね)のに、ヒロインがマデリーン・ストウときた…。(西部劇はちょっと…だったけど)こっちはもう観ないわけにはいかない! ということで、観に行ってきました。

 今みたいに「可能な限りパンフは買う」と決めていなかったので、パンフが手元にないことが悔やまれます。

 

 で、皆さんそうだったとは思いますが、ストーリー以外でまず何と言っても印象に残ったのは、当時超イケメン俳優としてブイブイ言わせていたブラピの顔(というか目)とキャラクター。

 もしかして今の時代にこれをやると、どっかからいちゃもんつけられたりするんですかね…。いつもの“きれいなブラピ”を期待して観に行った女性は「うっ…」と引いてしまったかも。。

 でも今見てみると、実は同じ精神病院にいる他のモブ患者のほうがブラピよりもガチっぽくて怖いな~と感じてしまいます。

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© 1995 Universal Studios
この顔はそうでもないけど…

 またストーリーとしては、主演のふたりがそこそこの年齢だったのにも関わらず(笑)、最後までけっこうな純愛路線だったことが良かったように感じました。これがもし映画館から空港へ行くまでの間に二人きりになる時間や場所があったりしたら、間違いなくエモくてムーディーなBGM(笑)とスローな映像が流れることになる(例:『ターミネーター』をはじめ多数)のでしょうけど、さすがにそこはテリー・ギリアム監督作ということで、そんな安易な展開にはならなかったようです。

 当時はあまり細かいところまで気にしないで見ていたので「マデリーン・ストウ奇麗だなぁ」とか「ブルース・ウィリスのヅラ姿似合わねぇww」とか思いつつも、切なくて余韻の残るいい映画だった…という感想で終わっていましたが、今また改めて見直してみると、独特の近未来(というかパラレルワールド的近未来)感や狭い画角でのショットなどに、この頃は知らなかったテリー・ギリアム監督らしさみたいなものを感じたのでした。

 

「あなたのことを以前から知っていたような気がする」

 さて、今回の主題であるキャサリンの台詞「あなたのことを以前から知っていたような気がする」の意味するものは? という点について考えていきます。

 

みんなが最初に考えるであろう、一見ノーマルな考察

 まず、普通に考えたらここに結びつけるであろう推測はこちらです。

 

キャサリンが持っている第一次世界大戦時の写真にジェームズが写っていたことが、潜在意識に記憶されていた──

 

 ですが、冷静に考えると「この写真のジェームズが記憶の片隅に残っていた」というのもちょっと妙なものがあります。

 

 フランス戦線で男(ホセ)が流暢な英語で「自分は未来から来た」と言い、その後突然姿を消した──という記録がキャサリンの研究において興味を引く点だったことは間違いないと思いますが、あの写真を見たほぼ全員が一番目につくであろう被写体はホセではなく、戦場にはあまりにも不釣り合いな裸の男であって、そこに気が行かないということはまずありえない、ということ。

 またあれだけ目立つ男が写真に写ってしまっているくらいなのだから、ホセに先駆けて(?)もうひとりの不審者であるジェームズもその場から消えていたことについて、何の証言記録も残っていないのは不自然。

 ですので、キャサリンが「ジェームズのことを以前から知っていたような気がする」のは、あの写真に写っていたのを潜在意識で記憶していたから──というのはちょっと無理があるように感じました。

 そしてさらに決定的に辻褄が合わない点が出てきます。

 

 

映画では語られていない、行間を読む考察

 海外のとある掲示板での『12モンキーズ』のディスカッションの中に、ちょっと面白いものを見つけました。

 この考察を証明できる場面が映画の中に存在しないため、現実的とは言えないかもしれませんが「タイムリープものの作品ならこれくらい奥行きがあるストーリーとなっていてもいいんじゃないかな」と思わされるものでした。それは、

 

映画の中では触れられていないが、タイムトラベラーであるジェームズはキャサリンの若い頃(映画の中でのジェームズ少年のように ※)に会っていた可能性──

 

 というものです。

 さらに、ジェームズはそのとき彼女に世界の終わりについて話し、それが記憶のどこかに残っていたことで彼女はカサンドラ症候群の研究をするようになったのだろう──という推測でした。

 なかなか面白い解釈ではないでしょうか。たしかに映画の中では語られていないものの、タイムリープものの特徴のひとつとして「何度も時を超え、何度も失敗しながら少しずつ答えに近づいていく」という要素があります。ですからこのような伏線があったとしても不思議ではないはず…

※以前に会ったのが「キャサリンの若い頃」としたのは、はっきりとした記憶として残っていないことから

 

「辻褄が合わない点」とは

 さらにこれに関連して気になる台詞がありました。それは映画館のロビーで、金髪のウエーブヘアに変わったキャサリンにジェームズが「夢に出てくる君はいつもこの(金髪の)君だった」と言ったあとのキャサリンの台詞です。

 

「I remember you like this.」

 

 と言い、それに対してジェームズがすぐさま「今の おれ?」と聞き返しています。

 先の海外掲示板の仮説とは少し時系列が違ってきそうですが、長髪にヒゲ姿のジェームズをキャサリンは「覚えている」と言い

 

「あなたのことを以前から知っていたような気がする」

 

 と続けます。

 ジェームズが夢の中でいつも「今の(金髪の)キャサリンを見ていた」のは、実際にそれを見た記憶があるからですが、キャサリンの場合それを裏付けるものはありません。

 先述した「第一次世界大戦時の写真」に写っているジェームズはスキンヘッドの、いつものジェームズであり「like this」ではないからです。

 

 「お前も野暮なこと言うなぁ~(呆)。相手に運命を感じてそんなふうに考えちゃう人なんて現実の世界にもいっぱいいるだろっての…」

 

 などと身も蓋もないことを言われたら話が終わってしまいますが(笑)、もしそんなふうに「愛する気持ちが高ぶってジェームズに運命を感じ、脳内で新たな記憶が作り出された」のであればそれはそれで全然OKなんです。それも十分ロマンティックですし…。

 

 ジェームズを愛するようになる前にもキャサリンは「あなたのことを知っているような気が…」と言っていましたが、そのときの発言の根拠はあの写真からくるものだとしても、長髪にヒゲのジェームズを知っているような気がするというのは根拠がないので、

  • 愛する気持ちがそう思わせた説
  • キャサリンも過去にジェームズと遭遇していた説

 のどちらかであろうと考えられます。

 で、この『12モンキーズ』はタイムリープものの映画ですから、個人的にはやはりここは「過去に遭遇していた説」を信じてみたい…と私は思いました。

 

 それでは何時、どのようにして長髪ジェームズはキャサリンの元へ現れたのか? という疑問については、

  • 長髪ジェームズが未来へ戻ったと思われる場面はなく、1996年の空港で死んでしまったこと
  • 時空間移動では、衣服などはおそらく転送されないこと

 の2点を考えると、ジェームズ本人が生きている間に(物語の中での最初の遭遇となる)1990年よりも前の世界へ行ってキャサリンと会った可能性は低いと考えられます。そうなると、

 

ポイント

ウイルス事件を防ぐにはジェームズとキャサリンの一連の行動が必要不可欠

さらにこの行動に導くためには、キャサリンの意識下に長髪ジェームズの記憶をインプットしておく必要もあったことを未来の科学者たちはのちに知ることとなる(ふたりの間に愛が生まれなければ事件は防げなかったため)

ジェームズは過去(1996年)の世界で死んでしまったため、別の誰かが長髪&ヒゲ姿のジェームズを装い、過去のキャサリンと遭遇するタイムラインを作った

そして映画の冒頭へ

 

 というような出来事があったのでは、という可能性のほうがタイムライン的には成立するように思いました。

 もちろんこれは完全に私の仮説ですが、どうでしょうか…(汗

 この『12モンキーズ』はタイムリープものの映画の中でも謎が少なく分かりやすい作品でしたが、キャサリンのこの台詞が意味するものは不明なままでしたので、こういった新たな考察を物語の行間に挟んでみるのも面白いかもしれませんね。

 冒頭でも書いたとおり、ドラマ版は見ておりませんのでもしそこに何らかのヒントや解答みたいなものがあったのであれば失礼しました、ということで(笑)。

 

 次のページでは物語のおおまかなタイムラインと、その中で押さえておきたいポイントなどを挙げていきます。

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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