映画『藍色夏恋』──公開から16年、あらためて見て思うこと

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 今年の4/28から新宿K’s cinemaで開催され、その後同じく東京のユジク阿佐ヶ谷、愛知のシネマスコーレ、大阪のシネ・ヌーヴォ、そして仙台のフォーラム仙台と展開していった「台湾巨匠傑作選2018」。昨年にもこれよりやや小規模な企画で台湾映画の特集があり、そのときは『牯嶺街少年殺人事件』『恐怖分子』『台北ストーリー』の3作を観たのですが(『牯嶺街少年殺人事件』以外は初見)、今回のラインナップに『藍色夏恋』があったので迷わず鑑賞。

 

映画『牯嶺街少年殺人事件』1992/1998/2017 〜過去の雑誌とチラシ、パンフレットより〜【本棚通信④】
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 台湾の青春映画の中でも名作に数えられる『藍色夏恋』ですが、私も2002年に観たときには、高校生ならではの爽やかさと少し前の日本を追体験するような懐かしさみたいなものを感じたものでした。

 

 この90年代後半に見た『牯嶺街少年殺人事件』が自分の中では絶対に外せない映画の一本になっていたこと、そして90年代にブームとなったウォン・カーウァイの作品が大好きだったこともあって、2000年代初頭は香港や台湾、中国の映画を以前よりも見るようになっていた時期だったんですが、この『藍色夏恋』を見たことで、それまで台湾という国に対して抱いていた好印象がより強まったように記憶しています。

 

今回の「台湾巨匠傑作選2018」の総合パンフと2002年公開時の前売り券

 

 

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16年経って2度目の鑑賞

 

 というわけで台湾映画の中でもイチ推しの一本であった『藍色夏恋』なのですが、今回改めて観てみるとストーリーの流れをかなり忘れていたことに気付かされました。。。核となる部分はもちろん覚えているのですが、この子たちの三角関係(?)って最後どんなふうに収まるんだっけ…っていう大事な部分がすっかり抜けていたり…。まぁ逆にそれくらい忘れていたことで、もう一度新鮮な気持ちで鑑賞できたっていうのもあるのですが。

 

 ただし、やはり以前に観たときと違い、今回は主人公のモン・クーロウ(孟克柔)ちゃんの「秘密」を知っているので、最初の場面からずっと「あぁー」とか「そっかぁ~」といったように、彼女の切ない気持ちに寄り添うように見ることになるんですよね。「何にも悪いことしてないのにどうしてこう、人生ってうまくいかないもんなのかねぇ…」と。

 

 あと『藍色夏恋』以降に見た他の台湾の青春映画と比べて、絵的な面で大きく違っていたのは、この『藍色夏恋』はとにかく「南国っぽい」という点。街路樹や差し込む日光の強さに、他の映画にはない「夏の台湾のキラキラ感」を感じます。

 

© 2018【公式】台湾巨匠傑作選2018

 

2000年代初頭という時代

 

 2002年公開なので、それからもう16年も経っていることに驚くというか、ちょっとショックだったりもするのですが、この2000年代初頭という時代には、今とそんなに変わっていないようにも感じつつ、でも結構年数は経ってるんだよなぁ~っていう近くて遠い、妙な感覚を持っています。いろんな面での“ミレニアム”の大騒ぎを越えた後という時代で、ケータイも普通に持っていればネット環境もそこそこ、今も続いている夏の主要ロックフェスもこの時期に出揃った感じがありましたし、髪型やファッションなんかも流行り廃りはもちろんあるものの、割と今に繋がるものが出来上がっていたなぁというのが2000年代前半の個人的な印象です。

 ですので、モン・クーロウのローライズな着こなしや「O型で蠍座、水泳部でギタークラブ」チャン・シーハオ(張士豪)のダボパンなんかは「そうそう、そういう着方してたよね」って思いながらも、古い映画を見て感じることが多い“ファッションのダサさ”みたいなのはそれほどでもないというか。ただモン・クーロウ役のグイ・ルンメイちゃんの若さと素朴さには「あれ、ここまで幼かったっけ!?」と軽く驚きましたが(笑)。

 

 

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