三崎町三丁目通信

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映画『ジャケット』(ネタバレ&考察)──タイムリープ系の良作②【裏?設定あり】

投稿日:2018年8月26日

 

 タイムリープ系の良作その①として取り上げた『ミッション:8ミニッツ』に続いて、その②では2005年の映画(日本では2006年公開)『ジャケット』について書いていきます。

 

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 主演は『戦場のピアニスト』(’02)でアカデミー主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディと、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや、個人的に大好きな作品『はじまりのうた』でも人気のキーラ・ナイトレイの二人。他にジェニファー・ジェイソン・リーやダニエル・クレイグなども出演しています。興行成績としてはあまり良くなかったようですが「限られた時間の中で生まれた愛」「自己犠牲によってもたらされる幸せ」「避けられない別れ」といった、タイムリープ系の映画ならではの展開が詰まった良作です。

 

 

 ですが、今回これを書くにあたり何度も見直して、さらに海外のレビューやYouTubeの動画のコメントに書かれていることを(翻訳の力を大いに借りてw)読んでいたら、感動的な物語とは正反対の裏設定?らしきものがあることを知りました。こちらは2ページ目に書きますので、感動で終わりたい方はこのページのみご覧ください(笑)。

 

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ジャックを助けることはできなかったのか

 

 

 2007年のジャックとジャッキーが、かつての病院関係者に会いにいった際にベッカー医師とロレンソン医師の二人から聞いたことを、1992年の(現実世界の)ジャックはベッカーとロレンソンそれぞれに話しています。「君が話した」「あんたはペチャウスキーやマグレガー、ケイシーの話をした」といったように。

 

 であるならば、ジャックが死ぬ原因を2007年のロレンソン医師は知っているわけだから、自分に会いにきた男が“ジャックの甥”ではなく、1992年からやってきたジャック本人だということに(100%ではないにせよ)気付いているはずです。

 

 それならばジャックが会いに来たとき、何かしらの忠告をすることは出来なかったのでしょうか。信じていないから言わなかったのか、それともジャックを助けたいとは思わなかったのか──いずれにせよ、ジャックを助けることが出来たのはこのロレンソン医師だけだったのに、それをしなかったことが気になっていました。

 

「私が手を貸すまで絶対に一人で立ち上がらないように…」

 

全てジャックに課せられた宿命だった

 

 

 しかし、何度も何度も見てみると、仮にあそこで転ばなかったとしても彼の寿命はそこまでだったんだなと思えるようになりました。あの転倒による死は、イラクでの「最初の死」から運命として決まっていたことだったのだと感じます。

 

 

 ジャックはイラクで少年に頭を撃たれたとき、本来であればそこで死んでいたはずだが、ジーンとジャッキーの母娘、そして重い障害を持ったババックを救うことがジャックの宿命だったのでしょう。そしてそれを果たしたことで彼は役目を終え、「最初の死」と同じ頭部への致命傷によってこの世を去ったのではないかと。

 

 

 

 なぜそう確信したのか──その答えはエンドクレジットにありました。

 

 

 

 キャスト名の中に、このような表記が。

 

 

 

Babak/Iraqi Boy

 

 

 

 電気治療により回復した少年ババックと、イラクでジャックを撃った少年を演じているのは同じ役者だったのでした。

 

 

 似てるなぁとは思っていましたが、同じ役者だったのですね…。もちろんイラクの少年=ババックと言うことではないでしょうから、そういう宿命なんだ──ということの暗示なのでしょう。冒頭で頭を撃たれたジャックの脳裏に浮かんだ光景は、2007年にジャッキーと訪れた雪が積もった病院の墓地でした。イラクで頭を撃たれてそのまま死ぬのではなく、ババックとジーン&ジャッキー親子たちを救うという宿命を、ジャックには課せられていたのでしょう。

 

 

光に包まれる最期

 

 

 頭を打ったあとの最後のタイムリープで、ジャッキーの車の中で後方からの眩い光に包まれながらジャックは最期を迎えたのだろうと思われます。ジーンが生きていること、ジャッキーが幸せに暮らしていることを確認できて満足したのでしょう。「Better now」という言葉は自分の頭の怪我のことではなくて、不幸だったジャッキーの人生が良くなった──よかった、これでもう安心だよ、という意味なのかなと思いました。

 

 そして光に包まれ、BGMが消えた後の「How much time do we have?(あとどれくらいの時間があるの?)」というジャッキーの台詞は、ジーンが火事で死ぬという過去が書き換えられたことで消えてしまった時間軸──二人が2007年に“再会”し、僅かな時間を共に過ごした世界でのことを思い浮かべているジャックの、頭の中に聞こえている声──と受け取るのが自然なところでしょうか。最後に引き出しに入ったときにジャックの瞳に浮かぶ残像は、2007年の世界で最初に出会ったときのジャッキーの姿でした。

 

 

 ですが、これとは別の、もっとエモーショナルな解釈も出来るような……

 

 

 過去を書き換えたことでジャッキーの未来は変わりました。

 

 母親ジーンは生きていてジャッキーは病院努め、車はVWになり、ダイナーへは仕事ではなく客として寄っています。

 

 ガソリンスタンドの前に立っているジャックを見つけたときと、車に乗っていく?というやり取りの際にジャッキーが見せた反応は、彼のことを全く知らなかったとは思えないものだったようにも感じられます。

 

 

 もしかしたら幼い頃に会いにきたときの記憶に加えて、母ジーンから何か聞いていたのかもしれません。さらに都合の良い解釈をすれば、過去が書き換えられて二人が一緒に過ごした2007年という時間軸は本来であればなくなっているはずですが、二人の間に生まれた感情が、書き換えられた新しい時間軸のジャッキーにも何らかの形で残されていたのかもしれません。薄れていく意識の中でジャックが聞いた「How much time do we have?」は横にいるVWに乗ったジャッキーのものだったのかも。そしてそのあとに流れる歌は「We have all the time in the world」と続きます。「いつだってこの世界にいる」という言葉は死ぬときに大事な人が悲しまないようにかける言葉のようではありますが…

 

 

 荒んでいたジャッキーが乗っていた車には、輪っかの部分がなくなって足(?)だけになったドリームキャッチャーの残骸らしきものがぶら下がっていましたが、幸せな時間軸でのジャッキーの車にぶら下がっていたのは、ちゃんとしたドリームキャッチャーでした。

 

 

 ドリームキャッチャーは、悪い夢はその網に絡めとられ、良い夢だけが輪っかの網の部分を通り抜けてやってくると言われています。不幸だったジャッキーの車についていたドリームキャッチャーには、その網の部分がありませんでした。

 

 

 

おまけ:キーラ・ナイトレイの出演作

 

 

 不幸な時間軸のジャッキーは育ちの悪そうな子、という雰囲気を出そうとしていましたが、キーラ・ナイトレイは今いちヨゴレになりきれていなかったように見えました。まぁあんまりヨゴレが似合いすぎてもどうかと思うのでこれでいいのでしょうけど(笑)。

 

 あと子ども時代のジャッキーを演じた女の子の、あの「真っすぐな視線」がとにかく素晴らしかったです。あの子の演技があってこそ、ジャックと大人ジャッキーとの心の繋がりが説得力のあるものになっているように感じました。

 

 

 というわけでおまけとして、『ミッション:8ミニッツ』のレビューでも(勝手にw)紹介した、女優の出演作をダイジェストでまとめているナイスなYouTubeチャンネルの動画から、キーラ・ナイトレイの出演作一覧(2016年時点)の動画を引っ張ってきましたので興味がある方はどうぞ。

 

 

 

 すっかり忘れていましたが、パドメの影武者役ってこの人だったんですね。。。もちろん公開当時は無名でしたので、『ファントム・メナス』のパンフレットにも写真は一枚も載っていません。

 

 

 

 というわけで次のページで問題の「裏設定」について書いていきます。しつこいようですが感動した人は読まないほうがいいかもしれません(笑)。

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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