映画『12モンキーズ』──タイムリープ系の良作③【キャサリンはジェームズのことを知っていた?】

12Monkeys ENTERTAINMENT
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物語のタイムラインとポイント

 物語の要点となるポイントを映画のタイムライン順にまとめてみました。

未来:①

1 ジェームズがいつもの夢を見る。

2 監獄らしき場所。日は当たらずコンテナのように積み重なった金網の牢獄で、劣悪な環境である。

  囚人のジェームズ・コールが、自分の名が呼ばれたことについて囚人仲間のホセと話をしている。ホセは特赦のチャンスだと言うが、ジェームズ曰く呼ばれたものは二度と戻らないか、頭がイカれて帰って来て7階に収容され、外部から遮断されるのだそう。

3 防護スーツを着用したジェームズが、エレベータで地上へ出る。地上の世界は雪が積もっており、暗く、人が生活している気配はない。熊やライオンなどの野生動物が街の中をうろついている

  生きている虫を採取する傍ら、ボードのようなものにスプレーで描かれた何かを発見する。

4 科学者らしき者たちの前に連れて来られるジェームズ。壁には「治療法はない」「“もう間に合わない”と科学者」などと書かれた新聞の記事が貼られている。

  成功すれば大幅な減刑となる「人類を地上へ戻す助けとなり得る任務」を受ける。観察眼と記憶力に優れ、精神が強靭であるという理由でジェームズはこの任務に選ばれた。

★囚人が駆り出される任務は「ボランティア」と呼ばれている

1990年4月:ボルティモア

1 身元不明の不審者として留置所に入れられたジェームズに、精神科医のキャサリン・ライリーが接見する。

  ジェームズはここが1996年の10月だと思っているが、実際には1990年の4月である。

2 精神病院へ収容されたジェームズは、そこでジェフリー・ゴインズという患者と出会う。

3 院内でキャサリンをはじめとした数人の医師の面談を受け、そこでウイルスがばらまかれたことによって1996年から1997年の間に世界の人口の99%である50億人が死ぬことを話すが、1990年の彼らとはまともに会話が成立しない。電話をかけさせてくれれば証明できると懇願し、電話を掛けるも1990年時点でジェームズが掛けた番号は全く無関係の人間が使用していた。

★キャサリンはジェームズに「どこかで会った気がする」と言う

★夢の中の金髪の女性はキャサリン

★夜、ジェフリーはジェームズに細菌の話をするまた彼の父親は何かしらの分野での大物であるという

4 ジェフリーが騒ぎを起こし、その混乱に乗じてジェームズは脱走するも薬で朦朧としているため、捕まってしまう。

★ジェフリーはテレビで動物が新薬開発の実験台にされている映像を見て非難し「自分たちは実験用の“猿=モンキーズ”だ」とジェームズに言う。他にも「モンキービジネス」など、度々「猿」に関する発言をする。また、実験台として残酷な目に遭わされているウサギの映像を見たジェームズが「人間はひどい。絶滅するのも当然だ」と言うと、ジェフリーは「絶滅? それは名案だ! 最高!」と賛同する

★テレビからはフロリダ・キーズでのバカンスや、マルクス兄弟の映画『いんちき商売』(原題『Monkey Business』)のCMが流れる

★キャサリンはここでも「どこかでジェームズに会った気がする」と言う

5 手足をベッドに拘束され、独房のような個室に監禁されたジェームズが忽然と姿を消す

未来:②

1 ジェームズ、いつもの夢を見る。空港で黄色いジャンパーを着た男が逃げるのを少年が見ている。男の顔はジェフリー

2 どこかから聞こえるしゃがれた男の声で目覚めるジェームズ。男はジェームズのことを「ボブ」と呼ぶ隣の房にいるらしい男の姿は見えない。

★「男」は、自分は隣の房にいるジェームズと同じボランティア(任務を負った囚人)かもしれないし、監視するために科学者たちがよこしたスパイかもしれない。もしくはジェームズが頭の中で作り上げた想像かもしれない、と語る。

3 録音されたテープの音源を聞かされるジェームズ。

  「動物解放協会の事務所が“12モンキーズ”の秘密本部。事を決行するのは奴らです。私はもう限界、さようなら。メリー・クリスマス」

  科学者たちに自分は誤って1990年に送られたのだと話すが、情報を集められなかったことを責められる。また事件に関係していると見られるデモの写真の中にジェフリー・ゴインズと思われる男を見つけるジェームズ。そしてまた過去へ送られることに。

1917年:フランス戦線の戦地

1 ジェームズが送られた先はなぜか戦場で、しかも兵士達が話しているのはフランス語である。状況も掴めず兵士と話も通じないなか、担架で運ばれるホセを見つける。ジェームズはホセの元へ駆け寄るが足に被弾。そして次の瞬間、ジェームズはまた時空を移動する。

1996年11月:ボルティモア

1 キャサリンが「破滅論者と狂気」というテーマで講演を行っている。そのなかでひとつの事例として、1917年にジェームズがホセと遭遇したときの写真と、その後のホセの発言について語る。

  講演後、長髪の男性がキャサリンの著書にサインしてもらいながら自身の考える終末論を一方的に語る。

2 講演を終えて車に戻ったキャサリンは、車内に潜んでいたジェームズに拉致される。

★キャサリンが運転する車でフィラデルフィアへ向かう途中、カーラジオからはフロリダ・キーズでのバカンスのCMや、井戸に落ちた少年のニュースが流れる

★井戸に落ちた少年のニュースを聞いたジェームズは“狼少年”の話をする

★翌日もラジオから井戸に落ちた少年の続報が流れる。ジェームズは「奴は納屋に隠れていたんだ」と話す。

1996年11月:フィラデルフィア❶

1 街の中に赤いスプレーで描かれた“12モンキーズ”のマークを発見するジェームズ。そこへひとりのホームレスの男が現れ「奴らからは逃げられないぞ、ボブ」「奴らは歯に追尾装置を埋め込んでいるんだ」と忠告する。

2 “12モンキーズ”のアジトを発見し、二人はそこへ乗り込む。銃で脅して話を聞き出すと、ジェフリー・ゴインズが関わっていることが判明する。ジェフリーは細菌学者でノーベル賞を受賞した父親に対し動物実験反対運動の抗議デモを行い、時代の寵児となっていた。

★写真に写るジェフリーの父親は、未来で壁に貼られていた新聞記事の科学者である

3 キャサリン、ジェームズの脚から弾丸を摘出する。

4 ジェフリーの父親の晩餐会に乗り込んだジェームズは「12匹の猿」という言葉を持ち出すことでジェフリーに会うことに成功するが、1990年のジェームズとの会話を誤って記憶している(もしくは歪曲している)ジェフリーに拒絶され、警備員たちに負われながら屋敷を脱出することになる。

★井戸に落ちた少年を救うため、籠にサンドウィッチを持たせたを乗せて井戸へ下ろす作戦が取られる。

5 林の中を抜け、車のトランクを開けて閉じ込めていたキャサリンを解放する。ジェフリーに「お前は父の細菌を盗んで人類を滅亡させる計画を立てていた」と言われたことで、ジェームズは「人類を滅亡させるのは自分なのか?」と混乱する。

6 ジェームズ、姿を消す。

1996年11月:フィラデルフィア❷

1 解放されたキャサリンは、警察にジェームズをかばう説明をする。その後ニュースを見て井戸に落ちた少年が「実は納屋に隠れていた」というジェームズの言葉が真実であったことを知る。

未来:③

1 有力な情報を持ち帰ったジェームズは自由の身となる特赦を与えられるが、タイムトラベルも目の前の科学者たちも全て妄想だと笑い、鎮静剤を打たれて意識を失う。

2 またも謎の男の声で目覚めるジェームズ。男は澄み切った大空と青い海、空気のきれいな地上の世界でキャサリンと結ばれたいのなら頭を使え、とジェームズをけしかける。

1996年11月:フィラデルフィア❸

1 警察からの電話で、ジェームズの脚から摘出した弾丸は1920年以前のものであることを告げられ、何かを思い出したキャサリンは仕事部屋の資料を漁り、その中から講演でも使用した1917年のフランス戦線でのホセの写真にジェームズが写り込んでいるのを発見する。

未来:④

1 任務のためもう一度自分を過去へ送るよう科学者たちを説得するジェームズ。

1996年:フィラデルフィア❹

1 ゴインズ博士のもとへキャサリンが忠告の電話をするが、「ジェフリーが細菌を盗む」と思っているキャサリンの話は説得力に欠け、相手にされず電話を切られる。「きっと彼女は破滅論者なのですよ」と言う助手はかつてキャサリンの講演で終末論について執拗に語っていた長髪の男で、念のため細菌の警備を厳しくするようゴインズ博士に頼まれる。

★結果的にこのときのキャサリンからの忠告によって、この助手が細菌を自由に持ち運ぶことが可能となった

未来:⑤

1 ウイルスが撒かれる具体的な時期と都市についての最終確認をする科学者たちとジェームズ。

★壁に貼られた事件に関する記事や写真の中に「ここからウイルスが? 50億人が死ぬ?」とスプレーで書かれた壁の写真がある

1996年12月:フィラデルフィア❺

1 キャサリン、“12モンキーズ”の拠点の窓にスプレーで「ここからウイルスが? 50億人が死ぬ?」と書く。そこへジェームズが現れるが、全部自分の妄想だった、自首して君に治療を頼みたいと告げる。

2 ホテルへ逃げ込むふたり。ジェームズの言っていたことを信じるようになったキャサリンに対し、全ては自分の妄想だったと、逆に現実を受け入れなくなってしまうジェームズ。しかしこれが妄想でなかったときのためにと、ジェームズはナイフで自分の奥歯を抜く

3 6年前にジェームズが電話を掛けた番号にキャサリンが電話する。通話先はカーペットの清掃会社で、やはり未来の科学者は妄想だったと喜ぶキャサリン。だが伝言に残したメッセージは未来でジェームズが聞いた「動物解放協会の事務所が“12モンキーズ”の秘密本部。事を決行するのは奴らです。私はもう限界、さようなら。メリー・クリスマス」というものであり、全ては事実でメッセージは未来に届いていたことを知る。

★ふたりが変装のための服やカツラを買う店はフロリダ・キーズ・ウエストという名前

4 “12モンキーズ”が計画を実行、ジェフリーらに拉致されたゴインズ博士は「先手を打って細菌室に入る暗証を自分が知らない番号に変えた」と話す。

★細菌室の暗証番号を知っているのは助手の男である

★「先手を打った」という博士に対してジェフリーは「 Too Late!」と声を荒げる。なお未来の世界で壁に貼られた新聞記事にあったゴインズ博士の言葉は「Too Late For Cure」である

7 映画館でキャサリンがジェームズに変装用のヒゲを付ける。ジェームズはうたた寝してしまい、また金髪のキャサリンが男を追いかける夢を見る。目が覚めるとカツラをつけていて、キャサリンの姿は消えていた。慌ててロビーに出ると、電話でキー・ウエスト行きの飛行機の予約をしている金髪にウエーブがかった髪のキャサリンがいた。その姿を見たジェームズは「夢に出てくる女はやはり君だった、いつも(この姿の)君だった」と確信する。

★上映している映画(ヒッチコックの『めまい』)の中の台詞として出てくる中国の諺は「人の命を救ったら、永遠にその責任を負う」

★キャサリンがここでも「あなたのことを前から知っているような気がする」と言う。さらに「(今のこの姿の)あなたを覚えている」とも

1996年12月:フィラデルフィア❻

1 空港へ向かうタクシーで、ふたりは“12モンキーズ”の計画とは動物園の生き物を街に放すことでウイルスとは関係ないことを知り、安心する。

2 空港へ着いたとき、ジェームズはここが夢に見る場所であり、ウイルスのために人がバタバタと死んでいく一週間前に実際にここに来ていたことを思い出し、キャサリンにそのことを伝える。

3 ジェームズ、“清掃会社”へ電話をし“12モンキーズ”はウイルス事件の犯人ではないこと、自分は任務を果たしたからもう未来へは戻る気はないことを告げる。

4 助手の男が、ウイルスがばらまかれたとされる都市へのチェックインを済ませる。

5 トイレで付け髭を直すジェームズに、またも謎の男が「お前はここにはいられない、元の場所へ戻れ」と語りかける。

★【未来:③】では望みを叶えるために頭を使えとけしかけた謎の男が、ここでは元の世界へ戻れと言っている

6 キャサリンの元へと向かうジェームズの前に、さっきの電話を受けて未来からやってきたホセが現れ、ジェームズに無理矢理銃を渡そうとする。

7 搭乗カウンターで長髪の男とすれ違うキャサリン。そのすぐあとに業者が搬入した新聞を見て、長髪の男がゴインズ博士の助手で、ウイルスをばらまく犯人が彼であることに気づく。

1996年12月:フィラデルフィア❼

1 ホセが「もし命令に逆らうのなら、俺があの女を撃つ。それが俺が受けた指令だ」「仕方がないんだ、俺には選択肢がない。早く銃を取れ!」とジェームズにけしかけ、つかみ合いとなる。

★ホセとジェームズがエスカレーターで言い争っているときに空港に流れるアナウンスは「Volunteers now boarding at gate 37.」である

2 キャサリンと合流したジェームズはゲートを通してもらうよう係員に詰め寄る。その間に長髪の男は荷物チェックを通過し、立ち去ろうとする。(荷物チェックの際、男はウイルスが入ったシリンダーを開ける)

3 ジェームズ、ゲートの前に立つ警察を殴って男を追いかけ、キャサリンもその後に続く。その様子を子供時代のジェームズが見ている

4 銃を構えるジェームズだが、キャサリンの声に反応し振り返る。そのとき警察が発砲し、ジェームズは胸を撃たれて倒れる。

5 男が逃げてゆく。キャサリンはジェームズの胸を抑えるが溢れ出す血は止まらない。ジェームズの手がキャサリンの頬に触れる。キャサリンがその手を握り返すなか、ジェームズは息を引き取る。

6 警官に拘束されながらキャサリンは辺りを見回すそしてひとりの少年を見つけ、悲しげに微笑む。

7 飛行機に乗った男の隣には、未来の女性科学者が座っていた。科学者は「名前はジョーンズ、救済保険業よ」と名乗る。

8 両親とともに空港を後にし、車に乗るジェームズ少年。飛んでいく飛行機を見ている。

★キャサリンが必死に周りを見渡して誰かを探していたのは、空港に着いたときにジェームズが語った言葉から「いつも見る夢の光景は、小さい頃のジェームズが実際に目撃したもの」であることを知ったから

 

*****

 

 最後のキャサリンが子供時代のジェームズに微笑むシーンは、映画を見た当時は

「この少年がジェームズだと確信していたわけではない」

 もしくは

「ひとりの少年が見ていることに気付いたため、彼がジェームズなのだと気付いた」

 と思っていたのですが、ちゃんと映画を見てみるとキャサリンは明確な意思を持って周りを見渡し、ジェームズ少年を探していることが分かります。

 このときのキャサリンの胸の内を想像すると切なくなりますが「でもジェームズはいまここに生きていて、たとえウイルスが撒かれても彼は生き延びる」ということだけが、救えなかったこの世界の中でひとり残された彼女の唯一の光なのかもしれませんね。

 おそらく“救済保険業”のジョーンズが犯人の助手を始末するなどして事件は防がれるのだろうとは思いますが、すでに荷物チェックの際に一度ウイルスは外に出てしまいましたので、完全に事件を防ぐには他の新たなタイムラインが必要なのかもしれません。

 

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comment

  1. 匿名 より:

    なんかとんちんかんな感じw

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