【長い友情の終わり】映画『TENET テネット』その②──スタルスク12での戦闘シーンの検証と考察など【ニールの正体】

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ミッションと同時刻のキャットの行動

 このミッションが行われている間に同時進行していた、セイターとキャットのパートについてはとくに難しいものはありませんでしたが、キャットの行動で理由があって連動している箇所について書いておきます。

 

元々の時間軸でキャットがセイターにブチ切れてガラスの容器(土のようなものが入った灰皿?)を床に叩き付けて船を降りる

セイターの部下がホースで水を流して掃除する

未来から来たキャットが泳いで船に上がる(服は当然濡れている)

部下から「自分が掃除する」とホースを受け取り、自分の体にかける(服が濡れているアリバイ作り)

転落防止のために張られているロープを外しておく

床を水で濡らし続ける

セイターとの会話中、日焼け止めのクリーム? を床に大量に撒く

セイターの背中に日焼け止めのクリーム? を塗る

セイターを殺す

女性の力ではセイターを海に投げ落とせないので、クリームと水とで滑らせておいた床を利用してセイターを海に落とす

 

 ということをキャットは行っていました。あの絶対に失敗してはいけないぶっつけ本番の状況にあって、恐ろしく冷静に先を読んで行動しているところが怖い気もしますが、それよりも怖いのは、

 

世界の破滅を防ぐ唯一の機会であるにも関わらず「顔を見て腹が立ったから」という理由でフライングして殺してしまう歯止めの効かなさ

 

 ではないでしょうか(笑)。女性というのは理屈で生きる男と違って感情で生きる右脳型の生き物なのかもしれませんが、いくらなんでもこの大事な局面でそれはないだろと(笑)。

 結果的に成功に終わったから良かったものの、結果オーライで済む話じゃないのだが……w まぁでもそれも含めて未来から来た者はこの結果を知ってた、ということなんですかね。

「何か問題ある?」
© 2020 – Warner Bros. Pictures

 

ニールの正体について言われていること

起きたことは仕方がない

この世界の理だが、何もしない理由にはならない

 その言葉を残し「起きたこと」を「起こすため」に死ぬという結末が待っていることを知りながらも過去へ向かったニール。

 見終わってから考えると、この映画の真の主人公はニールだったのかもしれない…とも思えてきます。ちなみに英語版のWikipediaではニールの役柄は

主人公のハンドラー

 と表記されています。

 主人公に名前が与えられていないのは、この物語の本当の主人公は彼ではなくてニールだからなのかもしれませんね。

 そしてこれはひと通り書き終わってからYouTubeで海外の動画を見ていて知ったことですが(日本の方が考察したものは見ないことにしています。その理由はレビューその①の最初に書いています)

 

ニール=キャットの息子・マックス

 

 という説が出回っているようです。しかもかなり信憑性の高い説であるもよう。

 

 マックスの本名はマキシミリアンで、綴りは

Maximilien

 です。で、この綴りの最後の4文字「lien」を逆から読むと

Neil

 となる………なるほどー!

 スタルスク12で主人公とアイブスを救出したあとの会話によれば、ニールにとってはこれが主人公との「長い友情の終わり」であり、主人公にとってはこれがニールとの「長い友情の始まり」であるとのこと。

 この言葉の意味を考えると、ふたりが強い絆で結ばれる友人(同士のような)として出会うことになるのはずっと先のことであると想像できます。

 成長したマックスがある時点で主人公と出会い「TENET」のメンバーとなって逆行、ときには順行を繰り返すなどして活動を支えるようになり、最終的に主人公が「TENET」に初めて接触するきっかけとなった事件(オペラ劇場の偽テロ事件)まで遡って順行状態に移行し、主人公とともにミッションの完遂を果たす──というものなのでしょうか。

 「長い友情の終わり」と言ったのはニールがこのあと逆行状態となって地下の格子扉を開ける役目を果たし、そこでボルコフに殺されることになるから。

自分の死の道連れに(正確には違うみたいですが)、世界を終わらせようとする父親と……

 

自分の命を犠牲にし、世界を救うことを受け入れた息子……

 

 たしかにこの説は一度聞かされると非常に説得力のあるもののように思えてきます。ただしこの理論が正しいものであることを証明するには、ひとつ大きな疑問を解消させなければなりません。それは

逆行している状態のとき、肉体の成長・老化はどっち方向に進むのか

 

 ということです。もし「逆行状態では歳の取り方も逆方向(ベンジャミン・バトン状態)」なのであれば、そのままずっと逆行状態で過ごした場合どんどん若返っていくことになります。そうなるとこのマックス=ニール説は成り立ちません。

 反対に、逆行状態でも肉体の経年変化はその世界(通常の順行状態の世界)の時間の進行方向と同じであるならば、この映画でのマックスの年齢から想像すると、今からだいたい10数年前後くらい経った時点で逆行を開始しなければ、お互いの年齢(不明ですがそれぞれの役者の実年齢と同じ30代前半~中盤くらいと仮定して)が映画内のお互いの見た目にはならないものと思われます。

 そしてそのニールが長い逆行の旅をしている間にも、主人公と一緒に少なくとも何度かは活動していることになりますので(ニールがすでに主人公を知っていること、自分を任命したのが主人公であることなど)その都度順行状態になって主人公と行動を共にしたのか、または主人公も未来のどこかで逆行してニールと行動を共にしたのか、はたまたその両方があったのではと思われます。

 まぁマックスが20歳前後で逆行を開始して、そのままずっと主人公とムンバイで出会う直前まで逆行しっ放しだったわけではないでしょうから…(笑)。つーか10数年逆行するとなると、その間にかかった生命維持のための費用も莫大なものとなりそう。。

 

 でもその理論だとまた別の疑問が出てきます…。

 

 逆行状態では運動するものは全て逆方向に進み、酸素を肺へ送り込むこともできず熱エネルギーも逆方向(熱いものは冷たく、冷たいものは熱く)に変換され、発せられる声も逆再生で聞こえるという法則の中で、自身の細胞の分裂・破壊と再生だけが順行のルールで進むっておかしくない? って話なんですよね。。

 

 いやちょっと待てよ……

 

 オスロ空港で順行状態に戻ってから、どこかでまた逆行状態になってミッション当日(主人公とキャットはさらにもう少し前まで)まで逆行していたようですが、あの船の部屋ではマスクを外していたから、

逆行状態中でも順行状態のように過ごすことが出来る空間が存在する

 ってことですね。

 じゃないとずっと逆行しっ放しっていうのは無理があるし、食事とか排泄とかどうすんだよ…ってことになりますもんね。。

 

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