三崎町三丁目通信

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映画『恋する惑星』──「制服が似合うね」「私服もすてきよ」【本棚通信⑥】

投稿日:2018年11月9日

 

 まだ中国に返還される以前、1994年のウォン・カーウァイ監督作品『恋する惑星』(原題:重慶森林 英語タイトル:CHUNGKING EXPRESS)。

 日本人の父親を持つ台湾の新星・金城武、これが映画初主演作となるアジアの歌姫フェイ・ウォン、ともに香港を代表する俳優であるブリジット・リントニー・レオンという4人の魅力に加え、香港という街が持つ独特の賑わいや活気、そして印象的に使われる楽曲の良さなどがミックスされた今作は、日本でも当時かなり話題になり、普段はあまりアジア映画を観ない客層にも支持され大ヒットしました。

 

 当時観たときの印象は、とにかく後半パートが面白かったということと、最後の二人のやり取りからエンドロールに突入するところの多幸感ときたらもう!という感じでした。

 エンドロールが始まっても「まだ続きが観たい!まだ終わってほしくない!」と思うような映画は、作品自体の善し悪しはもちろんですがそれを観たタイミングも大きく関わってくると思うので、なかなか巡り会えるものではないように感じます。そんな素敵な映画のひとつがこの『恋する惑星』でした。

 

 で、当時の私はどうやらすっかり気分良くなってたみたいで、パンフはもちろん普段は買わないポストカードなんかも購入していたようです(笑)。

 

『恋する惑星』と『天使の涙』のパンフ、ポストカード、主題歌『夢中人』収録のフェイ・ウォンのアルバム、冊子『カイエ・ドゥ・シネマ・ジャポン』16号('95年6月発売号)、撮影監督クリストファー・ドイルによる『天使の涙』フォトブック

 

英語タイトルと2つのパートの名前

 上にも書いた通り、英語タイトルは『CHUNGKING EXPRESS』ですが、これは前半パートと後半パートの名称を組み合わせたものとなっています。

 

前半パート『CHUNGKING HOUSE』

ブリジット・リン扮する“金髪の女”が泊まっている宿の名称

 

後半パート『MIDNIGHT EXPRESS』

警官633号が通い、フェイが働く小食店の名称

 なお小食店「MIDNIGHT EXPRESS」は、ウォン・カーウァイ監督の次作『天使の涙』でも登場します。

 

『恋する惑星』と『天使の涙』の関連

 ウォン・カーウァイ監督は当初『恋する惑星』を3部構成で作る予定でしたが、2つのパートだけで映画1本分になってしまったために残りのパートは使われませんでした。

 その使われなかった3パート目を元に作られたのが次作『天使の涙』です。そういった流れから、『天使の涙』では『恋する惑星』に出てきた要素が上記の「MIDNIGHT EXPRESS」以外にもいくつも登場します。(期限切れパイナップルの缶詰、金髪のかつら、スチュワーデス、「重慶森林」、223番、など)

 

 『天使の涙』も公開されてすぐに観に行きました。で…おそらく多くの方もそう感じたとは思いますが、正直言って微妙でした…。

 今年の夏にHuluで改めて見直してみまして、面白いと思える部分ももちろんあるにはあるものの、感想を書きたいと思うほどでもなく。。。

 

 

「すれ違い」の前半パートと「入れ替わり」の後半パート

 前半パートでは「すれ違う」ことにより、後半パートの二人が物語に一瞬登場します。そして後半パートでは「入れ替わり」という要素が物語の重要なポイントとなっています。

 

前半パートでの「すれ違い」

映画冒頭で“刑事223号”が紙袋を被った男を追いかけている途中、“金髪の女”とすれ違う

「その時彼女との距離は0.1ミリ。57時間後、僕は彼女に恋をした」

 

空港から逃げたインド人たちの情報を得た金髪の女が佇むおもちゃ屋から、大きなトラのぬいぐるみを抱えて出てくる“フェイ”

このとき持っていたトラのぬいぐるみは、のちに“警官633号”の部屋に置かれることになる

 

元恋人のメイに電話したら知らない男が出たことにショックを受け、電話を切って雄叫びを上げながら止まっているエスカレーターを一気に駆け上がる刑事223号。その上の踊り場に警官633号が佇む

 

前半パートのラスト、「MIDNIGHT EXPRESS」の店先でフェイとすれ違う刑事223号

「その時ふたりの距離は0.1ミリ。6時間後、彼女は別の男に恋をした」

 

後半パートでの「入れ替わり」

633号の部屋をフェイが勝手に模様替えし、いろいろなものが入れ替わっていく。だが633号はなかなかその変化に気づかない

ずっと片思いしていた633号から逆にデートに誘われることになったフェイ。だがデート当日、フェイはいとこである「MIDNIGHT EXPRESS」の店主に手紙を託し、633号と会わずに去ってしまう

二人がデートの約束をした店の名前は「カリフォルニア」。しかしフェイが行くことにしたのは本物のカリフォルニア

フェイが恋した633号には、出会った当時スチュワーデスの彼女がいた。そしてフェイはのちにスチュワーデスになって633号の前に現れる

633号は警官時代「MIDNIGHT EXPRESS」の常連客だった。その後633号は店を買い取り、自身が店主となる

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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