香港が中国に返還される以前の1994年に公開(日本では95年公開)されたウォン・カーウァイ監督作品『恋する惑星』(原題:重慶森林/英語タイトル:CHUNGKING EXPRESS)。
日本人の父親を持つ台湾の新星・金城武と、これが映画初主演作となるアジアの歌姫フェイ・ウォン、そしてともに香港を代表する俳優であるブリジット・リンとトニー・レオンという4人の魅力に加え、香港という街が持つ独特の賑わいや活気、印象的に使われる楽曲の良さなどが相まった今作は、日本でも当時かなり話題になり、普段あまりアジア映画を観ない客層(自分含む)にも支持され大ヒットしました。
当時映画館で観た印象としましては、とにかく後半パートが面白かったことと、最後の二人のやり取りからのエンドロールへの流れがひたすら素晴らしく、多幸感に包まれテンション上がりまくりで帰宅したのを覚えています。
エンドロールが流れてからも「まだ続きが観たい!まだ終わってほしくない!」と思わせてくれる映画にはそうそう出会えるものではありませんが、自分にとってこの『恋する惑星』はまさにそんな作品だったのでした。
で、当時の自分はどうやらすっかり気分良くハマってしまったようで、パンフはもちろん普段は買わないポストカードなんかも購入していたようです(笑)。その他雑誌や主題歌が収録されたフェイ・ウォンのアルバムなども…
英語タイトルと2つのパートの名前
上にも書いた通り、今作品の英語タイトルは
ですが、これは前半パートと後半パートの名称を組み合わせたものとなっています。
※これはブリジット・リン扮する“金髪の女”が泊まっている宿の名称
※これはトニー・レオン扮する警官633号が通い、フェイ・ウォン扮するフェイが働く小食店の名称
※なお小食店「MIDNIGHT EXPRESS」は、ウォン・カーウァイ監督の次作『天使の涙』でも登場します。
『恋する惑星』と『天使の涙』の関連
ウォン・カーウァイ監督は当初『恋する惑星』を3部構成で作る予定でしたが、2つのパートだけで映画1本分になってしまったため、残りの1つは使われませんでした。
その使われなかった3パート目を元に作られたのが次作『天使の涙』なのだそうです。
そういった流れから、『天使の涙』では『恋する惑星』に出てきた要素が上記の「MIDNIGHT EXPRESS」以外にもいくつも登場します。
『天使の涙』も公開されてすぐに観に行きました。で…おそらく多くの方もそう感じたとは思いますが、正直言って微妙でした…。
今年の夏にHuluで改めて見直してみまして、面白いと思える部分ももちろんあるにはあるものの、感想を書きたいと思うほどでもなく。。。
<追記:2021.03.31>
少し前からNetflixで『欲望の翼』(と『2046』)の配信が始まったのでレビューを書きました。ちょっと長くなってしまったので2回に分けています。
それぞれの登場人物ごとに感想を交えて考察してみたのと、あとパンフレットや雑誌の記事に掲載されていたウォン・カーウァイ監督へのインタビューの中から興味深かった箇所などを引用して紹介しています。よろしければこちらもぜひどうぞ。
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