この『アサシン クリード』という作品は、ゲームのほうはやったことがないのでさらっとしたことしか知らないんですが、世界観もビジュアルも格好いいし、ゲーム自体面白そうだから人気があるのも解る…という印象を持っていました。
映画館で予告を見ても結構面白そうだったし、個人的にマイケル・ファスベンダーが大好きなので当時気になっていた作品ではありました。ですが世間の酷評をさんざん見聞きしてしまったため、録画したままなかなか見る気が起きず、今回ようやく重い腰を上げたものの「はたして一体どれだけのク○映画なのか…」とかなり構えておりました(笑)。
が、後半まで普通に面白かったので「なんだよ、世間の目はずいぶん厳しいなぁ……もしかしてゲームに思い入れのあるコアなファンが猛烈にダメ出ししているとか??」と、やや不思議に思いながら見ていたのでした。
で、最後まで見たあと、「あぁ、なるほど」と。
何が酷評されたのか、理解しました。
何がしたかったんだ…
世界観も興味をそそるし、コスチュームや武器をはじめとしたビジュアルもかなりイケている。さらにアクションシーンも(あの衣装がイケてることもあって)いい意味でゲームっぽくて良かったし、何より他の作品よりだいぶ身体を作ってきたと思われるマイケル・ファスベンダーが本当に格好いいので、なんであそこまで酷評されていたのかイミフなんですけど。。と思いながら見ていたんですが、後半〜クライマックスへ向かうあたりで
「あれ、なんかおかしくなってきたぞw」
という展開に(笑)。
とにかく酷評だったということだけは覚えているのですが、具体的に何がダメだと言われていたのかは私は覚えていません。でも皆さん同じような感想なのでしょうね…。
あらすじ
死刑執行されたはずの主人公カラムが目覚めたのは謎の施設。そこでカラムは「アニムス」と呼ばれる装置に接続され、15世紀のスペインでアサシン教団の一員である自身の祖先・アギラールの半生を追体験することで、ずっと隠されきた“禁断の秘宝”「エデンの果実」のありかを探る任務を負わされることになる。
だが施設にいた父親から母親の死の真実を聞かされ、また「アニムス」によって祖先アギラールの記憶の中を生きることで、カラムはついにエデンの果実のありかを探し当てる。
しかしその施設を運営するアブスターゴ社は実はアサシン教団と対立していたテンプル騎士団と繋がっており、エデンの果実を探す目的が「人の暴力性をなくし、平和な世界を作る」ためではなく、テンプル騎士団がそれによって人類を支配するためであったことを知ったカラムは、自身に流れるアサシンとしての血に目覚め、同じ施設内にいた同士たちとともにエデンの果実を奪還すべく立ち上がる…
と、こんな感じのストーリーでしたが…
感想
なんでしょうかこれは。
途中までいい感じで物語に入り込んでいたのに、クライマックスがあまりに雑でなおかつ唐突に終わってしまうので拍子抜けするというか、せっかく世間の酷評に真っ向から反論するつもりでいたのにいきなり梯子を外されたような肩すかし感。。。
人類を支配するための秘宝にまつわる一大イベントなのに、そして中世から続いてきた対立する2つの教団による争いがついに最終決着を!という展開なのに「えっ、それがこの物語のエンディングなの!?」っていう盛り上がらなさ加減……一体どうしてくれるんだ(笑)
ゲームの世界観を作ることで力を使い果たしてしまったのでしょうか…。
くどいようですが、人類を支配できるほどの力を持つ“禁断の秘宝”「エデンの果実」を中世からずっと探してきて、それをようやく手に入れたテンプル騎士団が、そのお披露目の場で(何百年も争ってきたアサシン教団もそれを狙っているというのに)ロクな護衛をつけておらず、びっくりするほどザルな警備であっさり奪還されるって(笑)。でもってそこからテンプル騎士団のボスキャラ的なものと戦うような展開もなく、カラムたちの「自分探しの旅」これにて終了──みたいな。
まるで打ち切りが決まった連載漫画を、ラスト2話くらいで無理矢理端折って完結させたような感じ…そら酷評されるわ(笑)
15世紀パートのクライマックスも、アギラールとマリアは格好良かったのですが、話の展開がどうにも穴が多く……教皇ほったらかしにしてたらそりゃ逃げるだろうさ、アホかとw
DCユニバースの映画『ジャスティス・リーグ』で、スーパーマンをホニャララするためにヒーローの皆さんが一堂に会してキャッキャキャッキャやってるうちに一番大事な(っていうかそもそもそれを守るのが目的)“箱”をステッペンウルフに持ち去られるという、救いようのないバカ丸出しな展開を思い出しました(笑)
これで続編があって、この消化不良感はあくまで壮大な物語のプロローグとしての作品ということで
「次がすごいんですよ!次が!!」
みたいな流れになってるんだったらまだよかったんでしょうけどね……
余談
中世のスペインが舞台のひとつということで、そのパートではスペイン語が話されていましたが、日本語字幕で「エデンの果実」とされていたところは「La manzana del Edén(ラ・マンサナ・デル・エデン)」と呼ばれていました。(といっても会話の中で毎回いちいちフルネームで呼ぶわけもなく、途中からは単に「La manzana」と呼ばれていました)
「マンサナ」=「りんご」ですので直訳すれば「エデンのりんご」となりますが、日本では「エデンの果実」という表現で通っていますね。ちなみにオープニングでスクロール表示される英語の説明部分も「Apple of Eden」となっていました。(こちらも途中から略されて「Apple」になっていました)
中世のスペインでアギラールとマリアも当然スペイン語を話していますが、改めて見てみたらほんの少しだけ「非ネイティブが話すスペイン語」といった印象がありました。発音は相当いいのですが、発音をちゃんとするため話すスピードがややゆっくりになってしまっている、といった感じです。
といっても非スペイン語圏の人でこれだけ綺麗に話せたら十分ペラペラと言えるレベルではないかと…。(なんて偉そうに書いていますが、私はスペイン語の国際検定試験であるDELEは6段階中の下から2番目までで止まっている初級レベルですw)
マイケル・ファスベンダーはドイツ語と英語がペラペラで、マリア役のアリアーヌ・ラベドのほうは、両親がフランス人で幼少期からギリシャ、ドイツ、フランスで過ごし現在はイギリスを拠点にしている、とのこと。そういえば『X-MEN』の若返りシリーズではマグニートーがスペイン語やポーランド語を話す場面がありましたが、スペイン語は短いセリフだったしポーランド語は全く分からないので流暢なのかどうかなんてもちろん判断できません(笑)。
さらにどうでもいい話
マイケル・ファスベンダー演じる主人公カラムの父親役であるブレンダン・グリーソン(『28日後…』でハンナの父親フランク役だった人だったのですね…)の息子は、『スター・ウォーズ』ep7~9でファースト・オーダーのハックス将軍を演じているドーナル・グリーソンだそうです。
そしてドーナル・グリーソンといえば『エクス・マキナ』では主人公ケイレブ役の人でもありですが、その『エクス・マキナ』でケイレブが恋愛感情を持ってしまうAIロボット・エヴァを演じたのが、マイケル・ファスベンダーの妻であるアリシア・ヴィキャンデルなんですよね。またこの二人は『アンナ・カレーニナ』でも共演しています。(見てないけど……ボソ)
でもってマイケル・ファスベンダーとドーナル・グリーソンは、ファスベンダーがデカい被り物で顔を隠しているバンドマンを演じた『FRANK -フランク-』で共演。たしかどこかの映画チャンネルで放送されたような気がするのですが、残念ながらそのときも見られず…なかなかの高評価らしいので気になっています。
なおマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデルは、これらの作品よりも後に作られた『光をくれた人』での共演がきっかけで交際し始めることとなり、2017年に結婚。
…だからなんなんだよ、という話ではありますがw
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