誤解のないように言っておきますと、全体を通して最後まで面白かったのですが、とりわけ前半部分、ミステリオが何者がが判明するあたりまでの展開が神懸かり的面白さだった、ということです。
『アベンジャーズ:エンドゲーム』で失ってしまった大きな存在への想いと、その後を引き継ぐことが自分に出来るのだろうか──というシリアスな面と、この“学校主催のヨーロッパ旅行”で大好きな女の子との距離を何とかして詰めたい、っていうか告白したい!!という、その辺のティーンエイジャーとなんら変わらない青春真っ只中の少年の能天気さ(もちろん本人にとっては大真面目なのでしょうけどw)が共存する、“親愛なる隣人”スパイダーマンならではの軽やかさが存分に堪能できる、素晴らしい作品でした。
これまでのスパイダーマンシリーズはもちろんのこと、前作『スパイダーマン:ホームカミング』と比べても楽しさや笑いの要素がかなり多めでありつつも、例の「大いなる力には大いなる責任が伴う」というテーマは今作でも常にピーターと共にあり、それが「アベンジャーズの一員」として、また「トニー・スタークの意志を継ぐ者」としての責任となった今、ピーターがどのようにそれを受け止め、そして成長していくのかという芯の部分もしっかり描かれています。ってか『エンドゲーム』を見た人は皆そこが気になるわけですが…。
そんな『エンドゲーム』後の物語という、非常に大事な意味を持つ作品なのにも関わらず……
この面白さは何なのか(笑)。
オープニング&エンディングの曲
まさかオープニングのMARVELロゴが映し出されるところにあの曲が流れるとは(笑)。
オープニングとエンディングでホイットニー・ヒューストンとベリンダ・カーライル(曲はゴーゴーズのものでしたが)の歌声を聴かされることになるとは思いませんでしたが、前作でのラモーンズの『電撃バップ』といい、今作でのゴーゴーズの『バケーション』といい、とにかく選曲が最高なんですよね。
ラモーンズはNYパンクの象徴的存在であり、キャッチーな曲とGパンにスニーカーという出で立ちも含めてスパイダーマンの軽やかさにピッタリでしたし、ゴーゴーズの『バケーション』のキラキラ感はピーターやMJ、ネッドたちによる「夏休み青春わくわく海外旅行記」を締めくくるにふさわしい絶妙の選曲だったと思います。
でももしピーターがこの『バケーション』を聴いたら「僕もバングルス好きだよ」とか言ってしまうのかも(笑)。
で、そのオープニングを見ていて、自分がヴィジョンの存在をほとんど忘れていたことに気付きましたw
いや、もちろん『エンドゲーム』での、リミッターを振り切ったようなワンダのえげつない強さの源は何なのかは皆が知っているところですので、100%その存在を忘れていたわけではないんですが、スタークさんのことだったり、ブルックリンのあの人の人生やり直しに気を取られていてコロッと忘れてましたw そういやアナタいなかったですね、っていう。。
前半の青春コメディ映画路線
少年少女たちによる青春わくわく海外旅行とは別に、もういい歳の大人でありながら(現在は)お互い独り身であるハッピーとメイおばさんというカップル?については、少ない大人の登場人物の中でうまいことくっつけたな、という印象でしたが(笑)、冷静にみればどちらも相当の優良物件同士ですからね。(メイおばさんはその美貌と器量の良さ、ハッピーは仕事や地位と人の良さという面で)
序盤でハッピーが舌なめずりしていたのを見て今作のコメディー色の強さが予想されましたが(笑)、その後も前作以上に面白くなっているネッドとの掛け合いや、そのネッドとベティの「お前らいくら何でも都合良すぎだろw」という展開、そしてしつこいくらいに繰り返される天然男・ハリントン先生と心配性男・デル先生のやり取りなど、前半パートはかなり露骨に笑いを取りに来ている構成となっていました。
ピーターの宿泊している部屋へニック・フューリーがやって来たときの、ニックに麻酔銃を撃たれたネッドの転がり方から(さらに自分が麻酔銃を撃たれたことを喜ぶという無邪気さや能天気さもw)、大事なところで誰かが部屋を訪れては何度も会話が止まる流れといい、「これ完全にコントじゃねーかw」っていう展開が続き、ベタながらだいぶ笑わせてもらいました。
またトイレ休憩で立ち寄った先で、ニックの部下の女性エージェントから服を着替えるように命令され、ズボンを下ろしているところを恋敵ブラッドに目撃されて完全に誤解されてしまうあたりも、コメディではお約束的展開なんですが、やはり面白い(笑)。
このズボン下ろしネタは、スティーブ・マーティンとかレスリー・ニールセン、最近だったらセス・ローゲンとかサイモン・ペグあたりが好んでやりそうな感じですが、彼らのネタだったらきっと一緒にいるのは女性ではなく男でしょう(笑)。
予告編を見る限りでは、『エンドゲーム』後の世界で父親のような存在だったトニー・スタークを失って大きな喪失感に包まれているように感じられたピーターでしたが、やはりそこは今どきのティーンエイジャー、「それはそれ、これはこれ」というポジティブさが前面に出ていて安心しました。やっぱりたとえアベンジャーズであってもピーターには青春を謳歌してほしい、ということで(笑)。
ところで劇中、MJがよくやっていた「ややシニカルなリアクションをするときの、目を細める表情」が、めちゃめちゃ既視感があるのですが、はたしてそれは映画だったのかドラマだったか思い出せずモヤモヤしています。。なんだったけなぁ~
『ビッグバン★セオリー』でもペニーがこういう表情をやってたりしましたが、もっと他に「これ!」というのがあったはず…あぁ思い出せない。。なんだっけな……
あと『アベンジャーズ:エンドゲーム』で疑問だった
「5年後に帰ってきた人と生き残っていた人とは同じ世界でどういう融合がなされたのか問題」
については、校内放送での説明による実にいい加減なw回答がなされていました。いやいやいや…それで納得出来るわけねぇだろ、っていう(笑)。
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