映画『移動都市/モータル・エンジン』──やたらと感じるスター・ウォーズ的な要素と、主役は誰なんだ問題

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その他のツッコミどころ

 (気を取り直して)さて、スター・ウォーズ繋がりで言えば、ツッコミどころはまだまだあります。

 

 サディアスとヘスターの最後の対決で『帝国の逆襲』でのベイダーによる衝撃の告白をなぞるようなやりとりがあったかと思えば、自分がヘスターにつけたのと同じような傷を顔に受け

 

「さあ、私を殺してみろ」

 

 とけしかけるサディアスに、ナイフを捨てて憎しみによる報復よりも未来を生きるほうを選んだヘスターの行動も『ジェダイの帰還』で切り落としたベイダーの腕が自分と同じ機械の腕だったのを見て憎しみによる連鎖の無意味さに気づいたルークがライトセーバーを捨ててジェダイ宣言をする場面を見ているような展開でした。

 さらにトムはトムで、まるでデス・スターやスター・キラーを破壊した場面をトレースしたかのようなメイン動力源への爆撃によって「ロンドン」の暴走を止める、ということもしています。

 そういえばへスターとトムが競りにかけられる場面も、タトゥイーンでルークとオーウェン叔父さんがC-3POを買う場面を彷彿をさせますし、空中に浮かぶ基地(?)はベスピンみたいでもあり、シュライクの造形も(人間でいうところの心臓にあたる部分なんかはとくに)グリーバス将軍っぽく見えないこともないような(笑)。

 

 量子兵器の挙動もどことなく『スター・ウォーズ』っぽいし、少人数での戦闘機での突撃とそれに対する敵の要塞の砲撃なんかも『新たなる希望』でのデス・スター戦を思わせるものが…

 あと物語の本筋である「ロンドン」の侵略を止めることとは直接関係はないものの、空中の基地をひとりで潰してしまうほどに大暴れしたシュライクですが、その行動原理が今イチ腑に落ちないというか…

 ヘスターを悲しみから解放するために、自分と同じ人造人間化する──という「約束」を果たさずに去っていったヘスターを追いかけるところまでは分かるのですが、なんでそこまで憎しみを持って追いかけ、しかも殺そうとしているのかが意味不明。

 ってか「復活者」と呼ばれる人造人間は

記憶も感情もなくしている設定で、悲しみ(という感情)を感じることがない

 ということから「ヘスターも自分のようになれば楽になれる」とシュライクはヘスターに人造人間化を勧めたはずなのですが…

 

あんた結局家族の記憶もヘスターへの父親のような愛情も持ってたみたいだし、そもそも「怒り」っていう“感情”がモロ出しじゃねーか

 

 という矛盾が。。。

 

 そんなわけで色々とツッコミばかりを入れてしまった今作ではありますが、アナの不自然な扱いさえなければそこそこの映画ではあったように感じました。

 ヘスター役のヘラ・ヒルマーの美しさはこの映画の主人公に実によく合っていると思いますし、アナのほうに振り分けてられていた時間の半分でもサブキャラへの作り込みに充てられていたら物語の深みももっと増したのではないかな、と。

 

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