映画『移動都市/モータル・エンジン』──やたらと感じるスター・ウォーズ的な要素と、主役は誰なんだ問題

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キャラに関してもの申す

 この映画、全体的にキャラの扱いが雑なんですよねぇ(笑)。

 サブキャラの多くが、バックグラウンドとまではいかないまでも「とりあえず何者なのか」についてほとんど語られないまま話に絡んできて「誰だよお前はw」状態であることや、そうかと思えば不自然なくらいにメイン級の取り上げられ方&活躍をする人がいたりと、なにかとモヤッとさせられるのが気になりました。

 まず準主役よりさらに一段下に位置するサブキャラ連中について。

 繰り返しになりますが「ロンドン」側と「楯の壁」側のどちらも、人物描写が薄すぎてサブキャラとしての役割が今イチ果たせていません。

 ヒューゴ・ウィーヴィング演じるサディアス側の若者(トムが隠していたものをチクった男)や、キャサリンに協力するエンジニア見習いのベヴィスなど、割と物語に絡んでいたはずなのに後半から忘れられたかのように消えてしまいますし、『楯の壁』側の一緒に戦う連中や総督の側近などは、そもそも何者なのかの描写がほとんどないまま話が進むので、戦闘で自らを犠牲にしてロンドンの砲撃を止めるといったエモい演出を見せられても、こちら側としては今イチ誰だか分からないので感情移入できません。。

 ちなみに劇場公開時のチラシには、通常のB5ペラ1枚のものとB4二つ折りの2種類あったのですが、B4二つ折りのほうは中面に主要キャラ紹介が載っていまして、そこで紹介されているのは次の7名でした。

【巨大移動都市・ロンドン側】
サディアス
シュライク
キャサリン
ベヴィス
【反移動都市側】
ヘスター
トム
アナ

 先にも書きましたが、ベヴィスとはキャサリンと一緒に大聖堂に忍び込んだエンジニア見習いの若者です。私が見落としていたのかもしれませんが、サディアスが市長を殺すのを見たあとキャサリンと離れてから所在不明に……。最後の人の列にも見当たりませんし、キャラ紹介に出てくるくらいの重要キャラならせめてどうなったのかくらい見せてくれよ(笑)。

© Mortal Engines
これのどこが醜いのか

 

 あと主人公のヘスター「顔に傷があるから醜い」という設定であることもいささか無理があるような…そりゃまぁ映画ですから美人が主人公なのは当然のこととして問題ないんですけど、競りにかけられる場面で

 

「この女は醜いので、値段もそれなりに」

 

 なんて言われていて、いやいや言うほどたいした傷じゃないし、そもそも顔の一部に傷がある人は醜い人間である、なんてこの半ヒャッハーな世界じゃ誰も思わないだろ。。

某キャラについて、さらにもの申す

 あとはまぁ…見た方のほとんどは違和感バリバリだったのではないかと思われる点についてですが……

 

 アナとかいうお尋ね者のあの人。。。出番の多さといい、場面ごとの細やかな描写といい、その役割の重要度といい台詞回しといい…その全てが主人公を食う勢いで、しかも強引なくらいに聖人かつスーパーヒーロー然として描かれているのがあまりにも不自然(笑)。

 まず、競りにかけられている人たち(主人公のふたり含む)や集まっている人々が皆、その状況設定に合う顔や服装の汚れ具合であるのに対して、さっそうと登場したアナ・ファンは今さっき奇麗にメイクしてきましたとばかりに髪型はキメキメ、顔はつるっつる。おまけに真っ赤なコートはくすみもなく色鮮やかです(笑)。グラサンにまでケチをつけるのは忍びないのでやめますが。

 念のために確認しておくと、移動都市の動力は黒い煙がモクモク上がる蒸気機関で、大地はもちろん整備などされていないので、普通に生きてるだけでいくらでも汚れ放題な環境かと思われます。

 百歩譲って「だって反移動都市は煙モクモクじゃないし!」っていう理屈も通らないことはないですけど…

© Mortal Engines
周りの人と比べても明らかに浮いている小綺麗さ…もはや都市伝説界隈でおなじみの「昔の写真に写り込んだタイムトラベラー」並みの違和感ww

 

 終盤「ロンドン」に乗り込んだ際、ヘスターに

 

「合図まで隠れてて」

 

と言い、それを聞いたヘスターが

 

「合図ってどんな?」

 

と聞き返すと

 

「大丈夫 すぐわかるから」(ニコ)

 

などと思わせぶりなことを告げるもんだから、よほどの覚悟を伴った行動を以てしてヘスターを大聖堂まで辿り着けるようにするものと思っていたのですが…

 

ただ単に待ち構えていた数少ない敵を陰から攻撃して一掃しただけw

 

 いやいや、そういうところはしっかり回収しとかないとダメだろw

 結局この人の見せ場はのちに用意されていた(しかも過剰にw)わけですが、どの場面もやたらと多いズームアップとキザったらしいタメの入った台詞回し

 

「お前は主役じゃねぇだろw」

 

 と言いたくなる扱いの特別さが見られ、かなり興醒めしてしまいます。

 まるで例えるなら『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のハン・ソロの役どころを、初めて登場する「見る側にとって何の思い入れもない」まるっきりの新キャラにやらせるような違和感とでも言いましょうか……

 自分の飛行艇を「こいつを頼む」とトムに託すときのあの“間”にしてもですね、ハン・ソロがファルコン号を誰かに託すのであれば私たちはソロとファルコン号の物語をよーく知っているから、そのときに発するひと言に重みを感じることができるわけですが……。お前が(以下略)

 

 またサディアスとの対決でも舞台の演劇かよってくらいに、ヘスターを加えた3人のやり取りにずいぶん長い尺が割かれていてなかなか落ちていきませんでしたが(笑)、ここでもどんだけカッコ付ければ気が済むんだよというくらいに劇的な落ち方で消えてゆくアナ…。

 

 お前ー! あのハン・ソロでさえもっとあっさり落ちていったんだぞ!w

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