【考察】映画『ミッドサマー ディレクターズカット版』──見ていて不安になる要因、ラストのその先、5つのエレメンツ【MBTIの話題も】

ENTERTAINMENT
スポンサーリンク

スポンサーリンク

オープニングの絵

 ストーリーの進行上、一度映画を見終わってからでないと意味が分からなかいものが序盤からいくつも登場します。そのひとつがオープニングに映し出される不気味な絵

 この絵は4つの要素に分かれて構成されていますが、それぞれが春夏秋冬の季節を表していると同時に、映画で起きる展開がそのまま描かれています。左から冬→春→夏→秋という流れになっていますが、最後の右端に描かれている太陽の邪悪そうな笑顔と骸骨などがこれから起こることの不気味さを物語っています。

 

 

 左から見ていくとこのような感じになっています。

左端(冬)

→ダニーが妹と両親を亡くす(死)

左2(春)

→悲しむダニーと、それを慰める恋人のクリスチャン(後ろからダニーの肩に手をかけているが身が引けていて手を焼いているような印象)、そして木の上には絵を描いているペレの姿(上から見ている→俯瞰している→状況を全て把握、コントロールしていることを暗示させる)

左2から右2にかけて(夏至?)

→笛を吹くペレに連れられてヘルシングランド地方にあるホルガの儀式へと向かう一行。ペレのすぐ後ろを歩くマークは道化の帽子を被っている

右2(夏)

→太陽を模したゲートをくぐり、儀式に参加する一行。村人はグラスと髑髏を持って出迎える。牛や熊、崖の上から飛び降りる男女の老人のほか、天上に浮かぶメイクイーンの台座?も描かれている

右端(秋)

→長テーブルで食事をする村人や、メイポールを囲んでダンスする若い女性と骸骨、音楽を奏でる骸骨、恐ろしげに笑う太陽が描かれている

 

 ここで注目したいのが、左2から右2へとまたがって描かれているダニーたち一行の様子

 笛を吹くペレの後ろをマーク、ジョシュ、クリスチャン、ダニーの順で歩いていますが、マークは道化の帽子を被っていて、ジョシュは本を沢山抱えており、クリスチャンは手ぶらで宙を見上げ、何も考えていないように見えます。

 マークは何かにつけ軽卒でモラルに欠けた発言や行動をしてしまう、典型的な愚か者タイプの男。彼のその軽卒な行動が死へと繋がることとなり(といってもどのみち殺されるのでしょうけど…)、マークは皮を剥がされ、それを被った何者か(皮を被っていたのが障がい者のルビンで襲ったのがウルフ?)にジョシュは襲われます。そして最後の三角小屋に運ばれたマークの死体(皮)には道化の帽子が被せられていました。

 そして一行がホルガに到着した日に子どもたちがやっていたのは「Skin the fool」(愚か者の皮剥ぎ)と呼ばれる遊びです。

 ジョシュは学問のために掟を破り、夜中に「ルビ・ラダー」の写真を撮ろうとして殺されました。花壇の中に埋められていたようで、片足が植物のように地面から真っすぐ伸びていましたが、ほとんど隠す気がないという点にも恐怖を感じます。。

 クリスチャンはその適当さ、自分自身で強い意思決定をせず流されるように従う性格に目をつけられ、近親交配を避けるために用意される「新しい血」としてマヤと交配する(そして生け贄とされる)役割を与えられます。

 そんな彼らが笛を吹くペレについて行くようにホルガに向かう──というこの絵に描かれた様子から連想されるのは、童話でも有名なあの「ハーメルンの笛吹き男」

 

 

 この「ハーメルンの笛吹き男」についてWikipediaで調べてみたところ、次のように解説されていました。

 

 

1284年、ハーメルンの町にはネズミが大繁殖し、人々を悩ませていた。ある日、町に笛を持ち、色とりどりの布で作った衣装を着た男が現れ、報酬をくれるなら町を荒らし回るネズミを退治してみせると持ちかけた。ハーメルンの人々は男に報酬を約束した。男が笛を吹くと、町じゅうのネズミが男のところに集まってきた。男はそのままヴェーザー川に歩いてゆき、ネズミを残らず溺死させた。しかしネズミ退治が済むと、ハーメルンの人々は笛吹き男との約束を反故にして報酬を払わなかった。

約束を破られ怒った笛吹き男は「お前たちの大切なものを代わりにいただこう」と捨て台詞を吐きいったんハーメルンの街から姿を消したが、6月26日の朝(一説によれば昼間)に再び現れた。住民が教会にいる間に、笛吹き男が笛を鳴らしながら通りを歩いていくと、家から子供たちが出てきて男のあとをついていった。130人の少年少女たちは笛吹き男の後に続いて町の外に出てゆき、市外の山腹にある洞穴の中に入っていった。そして穴は内側から岩で塞がれ、笛吹き男も子供たちも、二度と戻ってこなかった。物語によっては、足が不自由なため他の子供達よりも遅れた1人の子供、あるいは盲目と聾唖の2人の子供だけが残されたと伝える。

 

 

 ホルガで行われる90年に一度(これについてはまた後で気になる点があるので書きます)の祭りが行われるのは夏至祭の時期であり、老人が身投げをする儀式が始まるのはダニーの誕生日と同じ6月20日です。

 祭りを仕切る者のひとりである女性シヴが、開催の挨拶で「儀式は9日間行われる」「9日間の祭りの始まりに乾杯!」と言っていたので、この6月20日が祭りのスタート日であると考えられます。

 そしてマークが神聖な古木に小便をしてしまい、それを守る役割のウルフが激怒し泣き崩れる──という場面がありましたが、それを見たクリスチャンが他の男性に「どのようにして役割が割り当てられるのか」と訊ね、その男性は「彼には大事な一週間だから」と答えていました。それがぴったり7日間という意味なのかどうかは分かりませんが、儀式が始まった6月20日から7日後は6月26日になります。

 映画の中での日にちと出来事を照らし合わせると以下のようになりますが、白夜の季節で昼と夜の境目が曖昧となっているこの場所で、映画の中で描写されている出来事が本当に同じ日に行われていることなのかどうか、はっきりとはしていません。見たままの日数カウントなのかもしれないし、そうではないのかもしれません。映画のラストが祭りの9日目ではなさそうですが、違うという確証もまたありません。

 どちらにしても「ハーメルンの笛吹き男」が子どもたちを連れ去った日にちとこの『ミッドサマー』の祭りの時期がほぼ重なることは間違いないようです。こういう細かいところにも仕掛けが施されているところが怖い……。

 

 

6月19日

・ダニーに友人のエイミーから1日早い誕生日のお祝いメッセージが届く

・ダニーたちがホルガに到着する

・祭りを開催する宣言が行われる

 

6月20日

・老人の身投げ

・夜の湖での儀式

・ダニーが寝る前にジョシュに頼んで睡眠薬をもらう

・自分だけを置いて3人が車で帰っていく夢を見る

 

 

6月21日

・マークが木に小便をする

・サイモンが消える

・コニーが消える

・クリスチャンにマヤの陰毛が入ったパイと、マヤの生理の血が入ったジュース(他の人たちよりも明らかに色が濃い)が昼食に出され、クリスチャンはそれぞれ口にする

・マークが女性に誘われて食事中に出ていったまま姿を消す

・夜にジョシュが「ルビ・ラダー」の写真を隠れて撮影しているときにマークの皮を被った者に襲われる

 

 

6月22日

・メイクイーンを選ぶダンスが行われる

・ダニーがメイクイーンになる

・クリスチャンとマヤが交わる儀式が行われる

(ここから先は同じ日かどうかが不明)

・生け贄となる9人のうち、身投げした老人2名とサイモン、コニー、マーク、ジョシュの計6名の他に3名を選ぶための集会が行われる

・三角小屋で9人(うち5名または6名はすでに死亡している。5名かもしれないとする理由は後に書きます)を小屋ごと焼く儀式が行われる

comment

タイトルとURLをコピーしました