【死後の世界】ブライアン・L・ワイス著『前世療法』とエドガー・ケイシーのリーディングについて【輪廻転生】

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 二ヵ月ほど前のことになりますが、アメリカの精神科医ブライアン・L・ワイス博士のベストセラー『前世療法』を読みました。

 ブライアン・L・ワイス博士の名前については以前からネットで幾度も目にしていて、YouTubeにもワイス博士の名前を入れた退行催眠へと誘導する動画なども数多くあったのでソルフェジオやヘミシンク、瞑想用のBGM動画などとともにそれらの動画を視聴することもありましたが、著書を読んだのは今回が初めてでした。

 また退行催眠・ヒプノセラピーというものについても前々から興味があり、いつか自分も受けてみたいと思っていたため興味津々で読んでみたのですが、正直ここまで面白い本だとは思いませんでした。

 

 

 私は子どものころ、ある不思議な体験をしました。そのときの数時間の記憶はごっそりと欠落しており今でも思い出すことができません(その前後の記憶はちゃんとあります)。もちろんただ単にある一時期の記憶がないというだけではなくて、そのときに色々不可解なことが起きたので、そのことはずっと気になっていました。

 それで「退行催眠というやつを受けたらそのとき何が起きたのかを知ることが出来るかも……」と思い、退行催眠というものに興味を持っていたのでした。

 また前世療法についても、もともと死後の世界や死んだあとの魂の行方、輪廻転生などに強い関心がありましたので、これもいつか機会があったら受けてみたいと思っていました。

 ちなみに私は高校の頃に体験した別の類の不思議…というか恐怖体験によって、人の魂(意識を持つもの、意識の根源のようなもの)はこの世界では身体と一体になっているが、身体と魂はイコールではなく、魂は身体から離れても存在するものであり、私たちはこの世界に生きるにあたって自分たちの身体に魂を入れ同期させているのだということを身をもって知りました。

 よく聞くような臨死体験だとか、スピリチュアル界隈でたまに聞く「ワンネス」体験のようにポジティブなものだったらよかったんですが、私の場合は人生で最も怖い体験としてそれを知った、というのがなんとも…といったところです。。

 これらふたつの体験も記事にしていますので(それらしいタグで辿るとすぐに出てくると思います)、よろしければそちらも読んでみてください。

 

 

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ワイス博士とエドガー・ケイシー

 「前世を知る」ということでいうと、以前にも別の記事で取り上げたこともある“眠れる予言者”エドガー・ケイシーが有名です。

 ケイシーについての本はこれまでに何冊か読んでいて、それらの本からもかなり感銘を受けました。また死後の世界ということで言えば私が20代前半頃に世界的にブームとなった『チベット死者の書』も当時読みまして、それもまた大変な衝撃を受けたりもしました。(なお本書『前世療法』の中でもこの『チベット死者の書』について少し触れられています)

 今も『死者の書』で書かれていることを全て信じているのかというと正直言って微妙ですが、それでも私の中では今でも強く印象に残っており、知人や親戚などが亡くなったりしたときにはそれを思い出し、どうか正しい選択をして無事に成仏してほしいと願っていたりもします。(もし死後のプロセスが本当にあのようなものになっているのであれば、ですが)

 エドガー・ケイシーの場合は自分自身が対象となることもありますが、基本的には依頼者や対象となる人の前世をケイシーがリーディングするというもので、ケイシーという特殊な能力を授かった人物を通して対象者は前世を知ることとなります。

 それに対してワイス博士が本書で書かれている「前世療法」は、ケイシーのそれとは異なり、退行催眠を施してセラピーを受けた本人が自分で自身の前世を見る、というもの。

 

 

 精神科医として名を馳せ「輪廻転生」などという科学的に証明できないものを全く信じていなかったワイス博士が、ある日患者としてやってきたキャサリンという女性に催眠療法を施したところ、突然彼女が自身の前世について次々と語り出すという不思議な現象が起こります。

 またその療法の合間には「マスター」と呼ばれる大いなる存在たちがキャサリンを通じて(憑依するような形で)ワイス博士に重要なメッセージを授けるということも起き、それらが事実と合致することや、キャサリンが知るはずがないワイス博士自身のプライベートなことまで言い当てていたことなどから、博士は大変驚き困惑します。

 しかしキャサリンへの催眠療法によって彼女の前世を思い出すことを続けていくうち、それまでの通常のセラピーではほとんど改善しなかったキャサリンの症状がセッションを行うごとにどんどん良くなり、最終的に完治したことからワイス博士はもはや過去世や輪廻転生というものの存在を信じざるを得なくなります。

 有名な精神科医としてのキャリアを持つワイス博士にとって、過去世や輪廻転生、さらには「マスター」達という非現実的な存在を受け入れるのは、きっと私たち一般人がそれを受け入れるのよりも大変難しいことであったと思われます。もしこのことを同僚たちに話したり、論文などで発表したらそれまで築いたキャリアを失うかもしれませんし、そもそも博士本人が長年に渡って学び携わってきた医学に対してどう向き合っていけばよいのか分からなくなってしまうことでしょう。

 そして前述のエドガー・ケイシーは、子どもの頃からの敬虔なキリスト教徒で、やはり「輪廻転生」という概念がキリスト教の教えに反するものであったため自身に備わった特別な能力がもたらす結果に当初は大変苦しんだそうですが、彼は最期まで自身の信仰を貫きながら自らの能力を人のために使い、多くの人々の病気を癒し、問題を解決し続けてその生涯を全うしました。

 ケイシーは9歳のときに地元にやってきた伝道師の説教を聞いたことでイエス・キリストに興味を抱き、両親に聖書を買ってもらってから13歳までの間に13回も通読し、その後も死の直前まで毎朝聖書を読むことを日課とし、一年に一回聖書を通読する週間を貫いたそうです。それほど信仰心の厚いケイシーにとって、聖書の教えと相反する概念を自身の能力によって知ってしまうということは私たちが想像する以上に悩み苦しむものだったであろうことは想像に難くありません。

 

 

ワイス博士の前世療法とケイシーのリーディングの共通点

 ブライアン・L・ワイス博士の前世療法と、エドガー・ケイシーによるリーディングによって導き出される「前世」の存在にはいくつかの共通点があります。

 まず、前世(いくつもの前世があります)の自分と現在の私たちには何かしらの因果関係のようなものがあり、現世で自分と繋がりがある人(親しい人だけでなく関係のよくない相手も)は過去世でも夫婦や親子、親戚などとして縁がある場合が多い、ということ。

 中にはいくつもの前世で家族関係だったりすることもあれば、前世で夫婦だった人と今世では医者と患者だとか教師と生徒といったような関係で繋がっている場合もあります。

 またどちらの場合でも、前世のカルマを今世で解消するという目的を持って人は生まれてくる、というようなことが言われていますが、エドガー・ケイシーのリーディングでは、前世で自身が行った間違いや成せなかったことがカルマとして今世に引き継がれている──という点をより強調しているように感じられました。

 ケイシーの場合は自身が依頼者の前世を読むので、依頼者の問題を解決するために必要な「解答」を伝える役割があるからそのような内容になってくるのかもしれません。

 

 

 ワイス博士が行った催眠療法によってキャサリンは自身の前世を知り、それぞれ誰とどのような人生を送ったのか、そしてどのようにして死んだのかを知ることとなりました。すると彼女はこれまでほとんど改善しなかった精神的な病気や症状が劇的に良くなっていったのです。

 

どうして前世を知ることが症状の劇的な改善に繋がるのか──

 

 これは非常に不思議なところではありますが、

 

現在自分が抱えている原因不明の不安や怖れ、怒り、苦しみといったような負の感情は、実は前世での体験に起因していた──

 

 ということを催眠療法によって自分自身で追体験し知ることで、その症状は消えていくもののようです。

 

いま起きていることには理由がある→起因する出来事がある→それを自分で追体験して知る

 

過去世で起きたことと今現れている現象の繋がりを知ることで、自分は今生で何を学ばなければならないのかに気付く

 

 きっとこういうプロセスによって癒されてゆくのではないかと。

 

 

 また症状が改善するとても大きな要素として、もうひとつ別の要因があることも分かりました。それは、

 

過去世での自分の「死」を追体験することで、魂が肉体から解放されたあとの平和と安らぎも知ることとなり、死への恐怖がなくなって魂が癒される──

 

 というもの。

 死への怖れは、全ての人間が抱いているものです。私たちは皆この世に生まれたときから「いつか死ぬ」という宿命を等しく負っています。誰一人この宿命から逃れることは出来ません。誰もが死からは絶対に逃げられない──がゆえに人は死を怖れます。

 この世とあの世は常に一方通行であるため、死後の世界について100%確証のある説というものはありません。確かめる術がないからです。臨死体験などでその入り口のようなところまで行ったという人は数多く存在しますが、その先の世界まで行った人がその記憶を携えてこの世に戻ってきたという例は(おそらくほとんど)ありませんし、いたとしても証明できないのでどちらにしても確証のある説とはなりません。

 ですがこの前世療法によって、臨死体験などをせずとも死後の世界の一端を知ることができ、さらにそこでは絶対的な平和や安心を感じることができると分かったらどうでしょう。きっと人が潜在的に持っている最大の恐怖(=死への恐怖)は、もうそれまでのような力を持つことはなくなるのではないでしょうか。

 キャサリンが体験した、ある前世での最期とその後の体験の一部を引用します。

 

 

「家が見えます。私はベッドの上です。(中略)私は胸がとても苦しい。息がうまくできません。胸は痛いし、背中もひどく痛みます。……ひどい痛みです。……痛くてもう話せません」。彼女の呼吸がひどい痛みの為に速く、しかも浅くなった。何分かひどく苦しんだあと、彼女の顔の表情がやわらぎ、体の力が抜けた。そして呼吸が元に戻った。

「私は体から抜け出しました」。彼女の声は大きなしわがれ声になった。

「すばらしい光が見えます。……人が大勢、私のほうに来ます。私を助けに来るのです。すばらしい人達。彼らは少しもこわがっていません。……私はとても軽くなっています」。長い沈黙が続いた。

「今、終わった人生について、何か思うことはありませんか?」

「そんなことはあとにして下さい。今はただ、平和を感じています。今はくつろぎの時なのです。みんなくつろぎが必要なのです。魂は……魂はここで平和を見つけます。すべての体の苦痛を地上に置いてくるのです。魂は平和で落ち着いています。すばらしい感覚です。……すばらしい。いつも太陽の光が降り注いでいるような感じです。光がすごく輝いています。すべては光から来るのです! エネルギーは光から来ます。私達の魂はすぐにそこに行きます。ちょうど、磁石の力に引きつけられてゆくのと同じように。すばらしいわ。力の源みたいです。光は私達をいやしてくれます」

 

 

 いかがでしょうか。この一節を読むだけで感動がこみ上げてきませんでしょうか。私たちもこの世を離れたら同じ場所へ行き、同じような平和と癒しを体験できるのだと想像しただけで心が軽くなるようです。

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