【総統閣下シリーズ】映画『アイアン・スカイ』──笑える部分と笑えない部分について【ディレクターズ・カット版】

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「おかしい」と思わないとしたらそれはもはや異常

 さて、このレビューはたぶんここからが本題です(笑)。といってもいえそれほど深くは掘り下げられませんが、もしもまだこの異常性に気付かない人がいるとしたら、ちょっとだけでも考えるきっかけになれば幸い…といった感じです。

 では一体何がおかしいのかと申しますと、それは

映画やテレビ業界のほか、マスメディア全般のナチスに対する異様なほどの特別扱い

 という点です。もちろんここでの「特別扱い」は優遇と真逆の方向での意味となります。

 念のためもう一度言っておきますが、ナチスドイツの行ったことを肯定するつもりは毛頭ございませんので、その辺はくれぐれも誤解なきよう、宜しくお願いいたします。

内に秘めた暴力性を“正当に”解放するための対象

 他のレビューでも何度か同様のことを書いていますが、海外の(ってか主にアメリカ)映画やドラマを見ていてしょっちゅう思うこと以下のことです。

あぁ、やっぱりこいつらは普段「差別はいけない」だの「暴力反対・銃社会反対」だのと言ってるけど、本当は自身の内面にマグマのように煮えたぎった恐ろしいほどの暴力性がパンパンに詰まってて、どっかでそれを解放させたくて仕方がないんだな…

 その抑え込んで破裂しそうな内なる暴力性を、映画やドラマの中で爆発させることでガス抜きしている──ということなのだと思うのですが、たとえフィクションの世界であっても表向きには倫理観というものを考慮しなければなりません。

 そこでご登場いただくのが、

「駆逐対象として問答無用でぶっ殺していい存在」(=完璧なサンドバッグ)

 です。その存在は誰にとっても100%「悪」であり、彼らを倒すことは自分たちの世界、愛する家族、そして罪のない多くの人々を救うことになる「正義の行い・聖なる戦い」である──とのお墨付きですので、何の遠慮もなく堂々とぶっ殺していいわけです。ときに例外もあるでしょうが、基本的にはどれだけエグい殺し方をしてもOKだったりします。

 そんな「最高に都合のいい悪の存在」として大活躍してくださっているのは主にこういった方々。

 

・地球を侵略する宇宙人または謎の生命体

・突然変異で凶暴化(大抵の場合、巨大化か大量発生する)した動物や昆虫など

・人類に反旗を翻す機械・ロボットなど

悪魔や悪霊の類い

ゾンビ

ナチス

 

 さてこの中で「生身の人間」はどれだけいるでしょうか。

 そうです、ナチスだけです。

 

 ゾンビや悪霊は、かつては人間だったとしてもその状態になった時点でもう人間とは呼べない存在ですからね。

※もちろん「彼らが行ったことはもはや人間の所業とは呼べない! 彼らは悪魔だ!」という意見もあるでしょう。それについては論点をずらしたくないので何も言いません。

 またシリアルキラーやマッドサイエンティスト系の存在も「絶対悪」ではありますが、これらはあくまでも個人レベルの犯罪者・異常者なので全くの別モノです。

 

 こうやって並べてみると、ナチスという存在がいかに「特別枠」であるかが分かってきます。人類はこれまでの歴史のなかで数え切れないほどの戦争をしてきて、ほとんどの民族は歴史上どこかで必ず他者と争い、人を殺して何かを奪うことで生きながらえ、そして国を造り領土を拡げたりしてきたはずです。ほとんど争いをしない人たちというのも存在するのかもしれませんが、それら(極端に厳しい自然の中でお互いに助け合わなければ絶滅するような環境に暮らす民族や、私たちが出会ったことのない高度な精神性を持った民族など)は例外中の例外でしょう。

 そういう意味では、過去の特定の民族、集団が行った蛮行について否定・批判することはやむを得ないことだとしても、世界中が「特定の対象を」「問答無用で」袋だたきにし続けるというのはちょっと異常ではありませんか。当事者とその周りの方々以外で、そこまでできる資格がある人間っているのでしょうか?

 相手が「ナチス」だということにすれば、それが免罪符であるかのように全ての暴力が許されるかのような風潮…。ここまで露骨で異様だと、この刷り込まれた共通認識みたいなものは

「100%の悪なる存在をいつまでも吊るし上げ続けることで、自分たちの悪行に目を向けさせないようにする」

 ために用意された計画的なものなのではないかと。。。

 

 さらに異様に感じるのは、

実際に蛮行を働いたのだから
「どのようなことを」
「どれだけの規模で行い」
「どれだけの犠牲を出したのか」

 ということを教訓として後世に正しく伝えるために「はっきりと」そして「徹底的に調べ上げて」「絶対に言い逃れできない」誰が見ても明白な証拠を叩き付けて明白にするべきなのに、驚くべきことに何故かナチスについては

 

そういった「検証」を行うことは一切禁じられている

 

 のだとか。つまり権限を持つ側が「これこれこうだ」と主張し、それが一度承認されたら、その主張・データが真実かどうかを調べるという、本来であれば至極当たり前のことが一切禁じられているということです。

 

何故でしょか。

 

何か都合が悪いことでもあるのでしょうか。

 

 っていうか、虐殺を行った者をいつまでも叩くんだったら南北アメリカ大陸を征服したときに欧州の国々がしたことはどうして同じように叩かないの? アフリカは? オーストラリアは? インドや東南アジア諸国は? 自国の血塗られた歴史は正しいの?

 という、誰でも考えるような簡単な疑問にさえ、納得できる答えを聞くことができません。

 ところで第二次世界大戦の敗戦国であるドイツと日本が、それぞれ国連でどのような立場・扱いとなっているかはご存知ですよね。今までの話の流れでいったら、ドイツと日本はだいたい同じ立場・扱いとなっていてもおかしくないはずなのですが、この両国が全く違うのはなぜでしょう。

 もうね、いろんなことがおかしいんですよ、この世界は。嘘と欺瞞で満たされていて、映画などの娯楽のほか報道や教育でさえもバリバリに操られて洗脳されてしまっているのが普通の状態となっているのですから、本当のことなんて見えやしません。

この世界で起きる大きな出来事は全て偶然じゃなく、計画されたものである──

 ということも、もはや納得せざるを得ない世の中になってきていますよね。

 まぁこの辺りの話をしてしまうとキリがなくなるのでやめますが、とりあえずこの『アイアン・スカイ』は、ナチスを思いっきり皮肉ってはいるものの他の露骨なサンドバッグ映画とは少し違って、都市伝説や陰謀論界隈で語られている「実は彼らは生き延びていた」という説(個人的には間違いないと思っています…)やUFOテクノロジーなどに絡めてきている点、そして「現代の主要国こそ狂ってるじゃないか」という観点で作っているところはかなり興味深いなと思いました。

 そしてまさかの続編(笑)、『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』が昨年公開され、今度は地下世界やヴリルといった「キターーーー!!!w」というキーワードが出てくるようなので、これをUPした後すぐにでもレンタルで見てみる予定でいます。

 この続編ですが、原題は

『Iron Sky : The Coming Race』

 といいます。この「The Coming Race」というサブタイトルはエドワード・ブルワー=リットンの小説『来るべき種族』からきているものと思われ、この小説に登場するフリーエネルギーが「ヴリル」であり、例の「ヴリル協会」の名前もここからきているようです。

 南極大陸やチベット、シャスタ山などにその入り口があるとされるアガルタシャンバラといったインナーアースに広がる世界の話が大好きな自分にとっては胸熱な設定でなかなか楽しみです。予告編を見る限り内容はちと微妙そうですが(笑)。まぁ続編ってだいたい微妙だからあまり期待はせずに見るつもりです。

 

 長くなったついでに書かせてもらうと、私はフラットアース理論について全面的に賛成は出来ませんが(星は全てプラズマ説とか)

南極点・北極点に何があるのかを世界中の国々が必死に隠している
人類はヴァン・アレン帯を超えていないと思われる(少なくとも人類の科学だけで作り出した乗り物では)

 この2点については完全に同意していますので、これをはっきりさせるためにフラットアーサー達と一丸になって真相を追求する、というのであれば大賛成です。そもそも、たとえ自分の考えと違っていたとしても彼らの話は面白いですからね。むしろ彼らのことを小馬鹿にしたように扱う連中のほうこそつまらないと思っています。

 

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