映画『Vフォー・ヴェンデッタ』(ネタバレ)──時代はこの映画に追いついてしまうのか【追記あり】

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 『マトリックス』シリーズで助監督を努めたジェームズ・マクティーグの監督デビュー作で、製作・脚本は『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉妹(表記が兄弟→きょうだい→姉妹へと変更)、そして主演が『マトリックス』シリーズでスミスを演じたヒューゴ・ウィーヴィングという、チーム・マトリックス的なメンツによる2006年公開の映画『Vフォー・ヴェンデッタ』。以前スカパーで見たのですが、録画していたDVDレコーダーが壊れたため(笑)、Huluにて今回改めて見直しました。

 

 自身の復讐のため、ひとり巨悪と戦うダーク・ヒーローの物語ですが、公開から12年しか経っていないというのに世の中は狡獪なやり方でゆっくりと変わってきており、公開当時よりもリアリティのある内容となっているあたりが、なかなか興味深い作品です。

 

 単にヒーロー物の映画として見るならば、“敵”との戦いは比較的地味に感じるかもしれません(相手に戦闘力はないので基本的に無双。また特殊能力的な描写もとくにないので)。また過去に起きたある事件と、今回「V」が起こしている事件との関連を暴いていくという、犯罪ミステリー的な映画として見た場合でも、謎解きの仕掛けや展開のアップダウンなどはやや弱めなので大盛り上がりする作品ではないかもしれません。

 

 ですがこの映画には、人の心を動かすものがあります。これを読む人はおそらくすでに映画を見た方ばかりだと思われますが、まだ見ていないという人にはぜひ一度見ていただきたい、おススメの一作です。またヒューゴ・ウィーヴィングの代表作といったら個人的にはこの『Vフォー・ヴェンデッタ』を挙げたいと思っています。

 

 

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あらすじ

 

© 2006 – Warner Bros. All rights reserved.

 

 第三次世界大戦後イングランドはアダム・サトラーの独裁政権下で個人の自由な主義・思想が許されない全体主義国家となっていた。アメリカ合衆国は事実上崩壊し、小麦とタバコを送るから替わりに医薬品を援助してほしい──と、イングランドに泣きつくような状態。夜間の外出は禁じられ、会話は盗聴され、メディアは日々政府に都合のよいプロパガンダを発信する世の中。

 

 弟をウィルス汚染事件で亡くし、後に活動家になった両親が目の前で連れ去られ後に収容所で死亡するという過去を持つ女性イヴィーが、夜間外出禁止令を破って出かけた際に「秘密警察」たちに捕まり襲われそうになったところをガイ・フォークスの仮面を被った謎の男・Vに助けられる。

 

 Vは今の独裁政権の異常さを正すことと自身の復讐のため、次々と目的の人物を処刑してゆく。そしてイヴィーを助けた1年後の11月5日に、人々に国会議事堂に集まり、この世界を変えようとTVをジャックして呼びかける。

 

 Vのもとに匿われていたイヴィーは殺害を続けるVに怖れを感じ、上司ディートリッヒの元へ逃げる。イヴィーはそこで、ディートリッヒが政府が禁じる同性愛者であり、同じく厳しく禁じている異教の教典(コーラン)をコレクションとして隠し持っている男であることを知る。その後、サトラー政権を痛烈に風刺した番組を放送したことでディートリッヒは捕まり、コーランを所持していたことがばれてその場で処刑されてしまう。

 

 このとき逃げ出そうとしたイヴィーも捕まり、監禁され拷問を受けるが、それは「今の社会が間違っていることは誰よりも知っているけど、父や母のように強くない自分が悔しい」と語ったイヴィーの精神を解放へ導くためにVが仕掛けたことであった。イヴィーは牢獄されている間、壁の穴から見つけた、かつて同じように投獄され処刑された同性愛者の女優・ヴァレリーの日記に勇気づけられ、最後まで自身の信念を貫き、そこで解放され真実を知る。

 

 そのころ、Vによる一連の事件を調べていた刑事のエリックは、政府によって隠蔽・ねつ造されていた過去の事件を知ることになる。Vとは何者で、なぜ彼はサトラーとその側近たちを狙うのか、その理由を突き止めてゆく。

 

 ロンドン中の家庭にVよりガイ・フォークスの仮面が届けられ、街中に混沌が広がってゆく。仮面をつけスプレーで「V」のシンボルを書いた少女を「秘密警察」が射殺したことから暴動が発生、11月5日に向けて街は緊迫した状態になってゆく。

 

 最後の復讐を前に、Vは自分の持つ全てと、国会議事堂を爆破するための地下鉄を発車させる選択をイヴィーに託す。全身に銃弾を浴びながらも全ての復讐を果たし、イヴィーの元へ帰ってきたVはついに息を引き取る。そこへ刑事エリックが現れるが、イヴィーの手により爆弾とVの亡骸を乗せた地下鉄は12時の鐘とともに放たれる。

 

 仮面をつけた国民たちが大挙として国会議事堂へ向かう中、サトラーやその部下を失って統率する者がいなくなった軍隊はその機能を停止。国民が取り囲み見守る中、予告通り国会議事堂は爆破され、花火が打ち上がる。Vによるたった一人の戦いは国民を動かし、独裁政権はここに崩壊した。

 

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