映画『ハン・ソロ』(ネタバレ)──D社はもうゴメンナサイするべき

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映画としてはまとまっていたが…

 

 全体のざっくりとした感想ですが、映画としてはまぁまとまっていましたのでそれなりに楽しめました。…が、SW作品としてのワクワク感というものは正直あまりなく…というかほとんどなく。。。また物語としての盛り上がりとか心に響く何かがあったわけでもなく、まるで『クローン・ウォーズ』や『反乱者たち』を見ているような淡々とした映画──といった感じでした。面白くないとは言わないけど、そのかわりこれといった感動もない、みたいな。。

 

 

ハン・ソロっぽい動き

 

© Disney
TM & © Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved

 

 主演のオールデン・エアエンライクは、ハリソン・フォードが演じた“ハン・ソロ”をよく研究して寄せてきているのは始まってすぐの場面で分かります。エミリア・クラーク演じるキーラ(可愛い)と向かい合って話すときに赤べこみたいに首を振りながら喋るところなんて「あーそうそう、そうやって喋るよね」っていう。

 

 他にも予告でも出ていた、西部劇風にブラスターに手をかけるかかけないか、みたいな動きを後ろから撮っている場面とか、ブラスターを撃つときの姿勢、歩き方、ファルコン号のコクピットでの仕草などなど、しっかり作り込んでるなという印象でした。

 とはいえ、『エピソード1/ファントム・メナス』から『エピソード3/シスの復讐』で若き日のオビ=ワンを演じたユアン・マクレガーもサー・アレック・ギネスのしぐさや話し方などを相当研究して寄せて演じたとかつてインタビューで語っていましたし、同じ人物の若い頃を演じるのだからそうするのは当然のこと。なので特別感心したというわけでもなかったり(笑)。

 

 

大したことが起こらない

 

 

 スピンオフなんだから無茶言うなw と突っ込まれるかもしれませんが(笑)。ジェダイでもなければ反乱軍でもなく、のちに大物になる男ではあるけどもこの時点では単なる使いっぱレベルなんで、冒険といっても起こる出来事のスケールが(SW的には)非常に小さい…だから地味………。

 

 最近のスピンオフ映画だと、たとえば『ローガン』はそれまでのX-メン作品の中でもかなり地味な展開でしたが、その物語性と、長年愛されてきたウルヴァリンという不死であったはずのキャラクターの最期を、意味のあるものとしてきっちり終わらせたことによりX-メン作品の中でも名作のひとつとなりました。個人的には『ローガン』は劇場で一度見ただけで、今のところそこまで思い入れのある作品ではありませんが…。ローラが車の中でわーっと超早口のスペイン語で捲し立てたときにちょびっとしか聞き取れなかったことに落ち込んだのはよく覚えています(笑)。

 

 ということで、本編の壮大さに比べて展開が地味だからといって必ずしもそれが作品の善し悪しに繋がるか──というと、決してそうではないのは『ローガン』でも実証済み。こちらは人気キャラクターの最期を描いたものですが『ハン・ソロ』はその逆で、人気キャラクターの若き日、コレリアの若者が“あの”宇宙海賊ハン・ソロになった日の冒険を描いたもので、設定・素材としては十分面白くなってよいものだと思うのですが。。。

 

 

平熱……

 

 

 序盤のトバイアスご一行&チューバッカとの出会いから列車強盗(なんか『キャプテン・アメリカ』みたいな絵面でしたね。。バッキーが落ちる場面が何度か頭をよぎりました…)の流れも、出てくるキャラに感情移入できるほどの描かれ方がされていないので、見ていて正直つまらなかったです。襲ってくるクラウド=ライダーズも怖さがないし、この時点では重要なキャラなのかモブ崩れのレベルなのか全然分からないし……ってかそのクラウド=ライダーズのリーダーの面が割れたところなんかも、「えーっ、あの人だったのぉぉ~!!!」みたいな繋がりが(少なくとも今作の時点では)まるでないのでマスクを取っても「だからなに?」としか…。。とか言って『反乱者たち』に出てくる人だったらスミマセン。途中からもう見なくなったんで。。

 

 あとランドとの賭けのシーンもなんか長い…しかも2回あるし。いやもちろんソロがファルコン号を手に入れたいきさつの説明として2回必要なのは分からなくもないけど、メリハリがないというか。。

 

© Disney
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 はいはいケッセル・ランね、12パーセク。はいはいスパイス鉱山ですよね。あぁ、そうですか。このときからファルコン号ごとデカい生き物に喰われそうになったりしてたんですか。はいはい。あぁ、それクラウド・シティなんですよね(私は気付きませんでしたけどw)。えぇ、えぇ、あなたマントにこだわりがあるんですね。はいはい、のちに炭素冷凍される直前にレイアと交わす言葉の逆バージョンみたいなのをランドと交わすんですね。えぇ、えぇ、してやったりって感じなんですよね。あぁ、そうですよね、やられる前に撃て、っていうのはこのとき学んだわけですね。でもってそれがあの酒場で目の前の男すら撃ち損じるNOVA JAVAは人気校」とか言ってたグリードとのやり取りで役に立つわけですね。

 

 なんか全体に素材を食い散らかしただけみたいな感じがして勿体ない、という気がしました。チューバッカとの絆が生まれる流れにしても、もっと深く描くことだって出来たように思うのですが…今となってはドロイド2体を除いたら一番長くSWサーガに関わっていて、なおかつ現役っていうのはこのチューバッカだけなんですけど。。

 

 細かい設定の回収とか説明が至るところにある今作ですが、それを見せられても「だから何だよ…」って思ってしまうという。。そしてそんなふうに思ってしまうくらいに、そういうのを見つける・見せられることに疲れきった自分が悲しい

 

 

「翼の折れたエンジェル」かよw

 

 

 ちなみに過去の作品からの歴史や世界観、素材を最高の形で活かしているお手本のような映画がこちら。

【ネタバレ】映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』──始まりと、終わり
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 それと、もはやこの流れは止められないんでしょうけど、アメリカのSFやヒーローものの大作映画に、欧米社会の何らかの思想や問題(ってかアメリカの問題ですかね)をキャラに被せてねじ込む──っていう、いつものアレを今回はドロイドでやっちゃってましたね。それ自体の善し悪しは置いといて、その描写も何だか取って付けたような感じで浮いていたように感じました。まぁいいんですけど(笑)。

 

 

ってかあのドロイドの最後の落ち着き場所って……お前はハーロックのトチローかw

 

 

公開時期のせい?

 

 『ハン・ソロ』がかなり興行収入的にまずいみたいで、オビ=ワンやボバ・フェットのスピンオフも一旦白紙に──なんていう話が出ている状況のようですが、D社の言い分というか言い訳のひとつが「公開時期が良くなかった」ということになってるみたいですね。

 

 

 本当でしょうか。

 

 

 まぁ「公開時期」というのを違う意味で捉えるのであれば正しいかもしれません。本編の『最期のジェダイ』から半年ちょっとという短いスパンでの公開は、SW中毒者に禁断症状が現れるにはやや早すぎたということもあるかもしれませんし。

 

 ですがそれ以上に大コケした理由はつまるところ、

 

 『最期のジェダイ』の失敗があまりにも大きすぎて、そこから立ち直るだけのものを「要素としては軽め」なテーマであるハン・ソロのスピンオフという作品で作れるはずがなかった──ということではないかと…。

 

 でもねぇ。それにしてもねぇ…。

 

 だってスター・ウォーズですよ?っていう。。

 

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