【トリコロール三部作】映画『トリコロール 白の愛』──“平等な愛”というものは存在するのか【BLANC】

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 ジュリエット・ビノシュ主演の『トリコロール 青の愛』に続く、ポーランドのクシシュトフ・キェシロフスキ監督による「トリコロール三部作」の2作目は、フランス国旗の真ん中の色である「白」と、国旗のなかの「白」が意味する「平等」がテーマ『トリコロール 白の愛』

 

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 主演はポーランドの人気俳優ズビグニェフ・ザマホフスキ(2015年の『杉原千畝 スギハラチウネ』にも出演)と、レオス・カラックス監督の『汚れた血』の他、『僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ』『キリング・ゾーイ』『三銃士』に続いての主演となったジュリー・デルピー

 

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あらすじ

 ポーランド人の美容師カロルは、美容師の国際コンテストで知り合ったフランス人女性ドミニクと恋に落ち結婚するも、言葉の通じないフランスでの生活によるプレッシャーからか性的不能になり、それが原因で離婚を突きつけられ、裁判が行われたその日にトランクひとつで放り出されてしまう。

 金も行く場所もなく、地下鉄の通路で知り合った同郷の男ミコワイの協力ののち、危険な目に遭いながらもなんとか帰国したカロルは、自由化の波が押し寄せるポーランドで意外な商才を発揮し、ミコワイを共同経営者にして青年実業家となり財を築いてゆく。

 そして今もなおドミニクを想うカロルは、財産を全て譲るという遺言状を作り自分が死んだことにしてドミニクを葬儀に呼ぶ計画を立てる。

 自らが受けた元妻からの仕打ちと、それでも未だ持ち続けている彼女への愛。どちらも一方向からのものだが、この計画でドミニクへの復讐を果たし、そして彼女からの愛を受け取る(愛においてお互い「平等」となる)ことはできるのか──

 

 

白の世界

 三部作の真ん中にあたる今作のテーマは「白」=「平等」

 雪のポーランドの寒々しい景色や凍った湖など、自然の中にある「白」と、カロルが大事に持ち帰った少女の石膏像やウエディングドレスのような、カロルが愛するドミニクをイメージさせる「白」を基調に、極端に色彩の少ないモノトーンのような世界が描かれています。また裁判や葬儀のときにドミニクが身につけている服などの「黒」がもたらすコントラストは、より「白」を引き立たせています。

 そして時折目に入る鮮やかな色彩は、三部作の最後を飾る次作のテーマである『赤』でした。

 裁判の翌日、自身の美容院にやってきたドミニクが来ていた服と、葬儀の日にドミニクが泊まったホテルのベッドシーツと枕の色です。前者は朝、光が差し込む白を基調とした美容院の中に映る赤なのに対し、後者は夜、灯りを消した部屋の中に鮮やかに浮かび上がるビビッドな赤でした。

 どちらも事に及ぼうとする場面ですが、前者はやはりうまくいかず、カロルは改めて三行半を突きつけられることとなり、後者はついにドミニクを心身ともに満足させ再び彼女からの愛を得ることに成功する、という展開に。

 

珍しく購入した前売り券

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