【病気や不調と】ブライアン・L・ワイス著『前世療法②』──続編は多数の実例をまとめた良書【過去世の関係】

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 アメリカの精神科医ブライアン・L・ワイス博士によって書かれた『前世療法』は、キャサリンというひとりの若い女性患者との一対一のセッションで起きた驚くべき体験をまとめたスピリチュアル的要素の強い素晴らしい内容でした。そこでは

 

人が「死」と呼ばれる経験によりこの肉体を離れたのち、その魂はどこへ行くのか──

 

輪廻転生とはどのようなものなのか、またそれはどういった意味を持つのか──

 

 といったことに深くフォーカスが当てられています。

 「死」とは私たちの魂が別の場所・別の次元へと移行するときに起こるものであり、死んだらそれで終わりというものではなく、私たちは何度も生まれ変わる存在であること、そして「死」を通過したあとで体験する安らぎや癒しはとても感動的なものであることなどが書かれていました。

 また過去世で体験したことが今の人生にどのような影響を及ぼしているのかということや、過去世で縁が深かった相手とは今世でも何らかの形で深い関わりを持っていたりすることなどが語られています。

 

 

 今の自分が日々思い悩んでいること(人間関係であったり身体の不調であったり、原因が分からない恐怖症や囚われといったものなど様々)が、実は過去世からカルマとして引き継いできたものであることが分かり、前世療法という形でその原因となった過去の人生を認識・体験することで癒され、これまでいかなる治療をもってしても治らなかった症状が解消されてゆく話は、とても不思議で感動的なものでした。

 前作ではキャサリンへの前世療法を通して輪廻転生や死後の世界、高次の存在といったものがどのようなものであるのかが書かれていましたが、そのスタイルは博士とキャサリンが退行催眠のセッションで体験した感動的なストーリーの中で死後の世界や輪廻転生について解説される──というような形式だったので

 

「私たちは死んだらどうなるのか」

 

「輪廻転生はどのようにしておこなわれているのか」

 

「死とは何なのか」

 

「自分はこの人生で何を学ばなければならないのか」

 

 といった人生の永遠の謎に対する答え(の一説)が知りたい、その謎を探求したいと思っている人にとっては大変面白いものとなっています。

 

【死後の世界】ブライアン・L・ワイス著『前世療法』とエドガー・ケイシーのリーディングについて【輪廻転生】
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 それに対して続編となるこの『前世療法②』では、前作を発表してからワイス博士の周りで起きた予想外の反応や、さらに他の多くの人たちに対して行われたセッションなどの実例をもとに

 

「現在抱えている問題や悩み、身体の不調はどこから来ているのか」

 

 ということを前世療法で探っていき、そして実際にそれらが解消した例が多数紹介されていて、こちらはより実践的なものとなっています。

 真理を探求したい、という目的で読むなら間違いなく前作をお勧めしますが、実際に今現在、身体の不調や人間関係での悩み、生活の中で起きている問題などに苦しんでいて、何よりもまず今の苦しみからどうすれば解放されるのかを知りたいという方は、この『前世療法②』を先に読まれたほうがよいかもしれません。この2つにはそれくらい読み物としてのスタイルに違いがあります。もちろんどちらも大変素晴らしい内容ですので、余裕があればぜひ両方を読んでみてください。

 

 

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キリスト教社会と輪廻転生の概念

 現在のキリスト教では輪廻転生という概念は認められていません。

 仏教やヒンズー教などでは輪廻転生という概念はその軸となるものであるため、ごく自然に受け入れられています。私たち日本人の多くが持つ死生観もそうでしょう。もちろん個々人の中では信じていない人もいるでしょうが、“生まれ変わり”という言葉を聞いて「なんだそれ」と強い拒絶反応を示す人は滅多にいないはず。

 実は本来のキリスト教にはもともと輪廻転生の概念があったそうです。しかし宗教を用いて民を統率し支配したいと考える者たちにとって、それは都合が悪いために書き換えられたのです。その代わりに人生はただ一度しかなく、死後に訪れる「最後の審判」によって天国へ行けるか地獄へ落ちるかのジャッジメントを受けるという概念が採用されることとなりました。

以下、本書からの引用です。

 

 

 キリスト教の歴史を調べてみると、紀元前四世紀にコンスタンチヌス帝によってキリスト教がローマ帝国の国教となった時に、新約聖書にあった輪廻転生の記述が削除された、ということがわかりました。皇帝は輪廻転生の考え方は、帝国の安定にとって脅威となると考えたのです。もう一度、人生を送るチャンスがあると信じている市民は、一回だけ最後の審判があると信じている人に比べて、従順さに欠け、法も守ろうとしないと思ったからでした。

 さらに、紀元前六世紀のコンスタンチノープルの宗教会議は、輪廻転生は異端であると公式に宣言しました。コンスタンチヌス帝と同様に、キリスト教会は輪廻転生の考え方は成長しつつある教会の力を弱め、土台を危うくするのではないかと恐れました。前世があるという考えでは、救済される日まで時間がありすぎるからでした。信者に正しい行動をさせるためには、最後の審判というおどしが必要だと考えたのでした。

 

 

 このあたりについては「ニカイア(ニケーア)公会議」で検索するとすぐに出てきます。

 

 前回の記事でも書きましたが“眠れる予言者”と呼ばれるエドガー・ケイシーは、自身が授かった特別なリーディング能力によって「人間とは輪廻転生を繰り返して魂を成長させてゆく存在である」ことを人々に教え、また様々な悩みや身体的苦痛などに苦しむ多くの人々を救ってきました。

 ケイシー本人は敬虔なキリスト教信者であるため、自身がリーディングによって見ることができる聖書の教えに反する輪廻転生という概念を受け入れるのは大変困難なことだったそうです。ですがそれでもケイシーは最後まで神への信仰を守り通しながら人々の助けとなる活動を生涯にわたって続けました。

 人の手によって改ざんされたキリスト教/聖書の教えを全て否定する必要はなく、私たちは何度も生まれ変わってきているということを認めつつ、神への信仰も持ち続けることは可能であり矛盾するものではない、ということはケイシーの生き方が証明しています。

 

 

 そしてワイス博士の『前世療法』『前世療法②』で書かれている、過去世への退行催眠で知ることとなった前世の記憶とそれがもたらす奇跡のような癒しもまた、輪廻転生が嘘ではないことを証明しているようです。

 退行催眠を受けて過去世での「死」を追体験した人たちは、その先にある愛と安らぎに満ちた世界の素晴らしさも身をもって知ることとなりましたが、それは神の存在を否定するものではなく、むしろ宗教というフィルターを外してより真理に近付いた、ということなのではないかと私は感じています。

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