プロダクション・ノートより
パンフレットの中にある「PRODUCTION NOTES」がなかなか面白かったので、一部だけですが引用します。意外と気付かなかった部分なんかも知ることができて、興味深い内容でした。
(中略)
空想の中で、ミティはパワフルで決断力があり、直感に従って行動する。しかし、現実では彼は徹底して用心深い。彼がティーンエージャーの時に父を亡くしたせいで、家族の世話をする責任を感じているからだ。だからこそ、コンラッド(ストーリーおよび脚本を担当したスティーブン・コンラッド)はミティがその慎重な態度をかなぐり捨てるほど強いモチベーションを見つけなければならなかった。
ミティは、失われたネガを見つけるため、取りつかれたように探求の旅に駆り立てられる。そのネガには“LIFE”誌の最終号の表紙を飾る社員が含まれている。コンラッドはミティのためにもう一つのインスピレーションを組み入れた。“LIFE”誌の有名なモットーは、人々を励ます。
「何千マイルも離れたところにあるものを見よう。壁の後ろや部屋の中に隠されたもの、危険かもしれないものを見よう。見て、そしてびっくりしよう……これは素晴らしいモットーだ。要するに、深く世界を知って、他の人々に会うべきだと言っているからね」とコンラッドが言う。「人は誰でもこういうことを、時にはやらなければならないと言っているんだ」
ミティは独身男で、女性に必死になって突進するというよりはネットで様子を見ている。だがコンラッドは、ミティを無能な人間とは決して考えなかった。「我々にとって、彼が弱い男ではないことには重要な意味があった」と彼が言う。「このウォルター・ミティには強い心と素質がある。我々がやるべき仕事は、彼が自分の本心に気づく場所に連れていくことだった」
『LIFE』誌のモットーとは
上の引用にも出てきた『LIFE』誌のモットーもパンフレットに書いてありました。映画の内容ともリンクしていて、また劇中でもオープニングのクレジットと同様に場面の背景に文字を馴染ませて印象的に見せています。
TO SEE THE WORLD
世界を見よう
THINGS DANGEROUS TO COME TO
危険でも立ち向かおう
TO SEE BEHIND WALLS
壁の裏側をのぞこう
TO DRAW CLOSER
もっと近づこう
TO FIND EACH OTHER
お互いを知ろう
AND TO FEEL
そして感じよう
THAT IS THE PURPOSE OF LIFE
それが人生の目的だから
comment
Kさん、どうも。スーダラです。
大好きな作品です。
主人公が「変わる」「成長する」のではなく、変わることなくプロとしての矜持を全うし、内なる自分のパッションを解放する形になっているところが実に良心的で、且つリアリティがありましたね。
こういう骨太な雑誌や、それを支える本物のプロフェッショナルたちが隅っこに追いやられるばかりでは味気ないですね。
https://cinemanokodoku.com/2018/03/31/life/
スーダラさん
ありがとうございます〜。
ホントそうですよね…。たしかにウォルターの人生が動き出すきっかけはあったとしても、結局のところ自身がそれまで真摯に取り組んできたプロとしての仕事や、父の代わりに家族を支えてきたことなどが大事なところで報われたり役に立ったりしたからこその物語で、決して「都合よく幸運がやってきて冒険の主人公になった」という男の話ではないところが良かったです。
そういう意味でも、あの最終号の表紙のメッセージは強いなぁと思いました。