設計図入手までの行程
まずはローグ・ワンの面々が惑星スカリフでデス・スターの設計図を盗み出すまでの行程をおさらいします。ものすごく端折って言えば以下の通り。
①ジンとキャシアンが設計図のある場所へ辿り着く
②設計図のデータを見つけ、入手する
③データを持ち帰り、反乱軍の手に渡す
これが最短ルートですが、当然スカリフは帝国軍の基地惑星なので「わかりました。どうぞどうぞ」とはいかず、様々な障害を乗り越えなければなりません。
実際にはスカリフ潜入後、このような行程を経て設計図を入手することに成功しました。
❶ジンとキャシアンが設計図のある場所へ辿り着く
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❷設計図のデータを見つける
惑星を覆うシールドは閉ざされ、さらに惑星の周りは帝国軍の艦隊が固めているので自分たちがデータを持って脱出することは不可能と判断
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❸データを送信し、シールドの外にいる味方の艦隊に受信してもらうことにする
データの容量が重いため、シールドを開けないと設計図を送れないことが判明
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❹データを送信するためにシールドを開けなければならないことを、味方の艦隊に伝える
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❺味方の艦隊と話すため、スカリフの送電線を引き込んで通信手段を確保する
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❻ローグ・ワンが乗ってきた船に送電線を繋ぐ
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❼通信するための電力が必要なので、マスタースイッチを探し電源を入れる
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❽味方の艦隊と通信し、シールドを破壊するよう伝える
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❾シールドを破壊する(スカリフの外にいる反乱軍艦隊が遂行)
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❿デス・スターの設計図のデータを反乱軍艦隊へ送信する
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⓫データを持った反乱軍が撤退する
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⓬レイアにデータを託す→EP4の冒頭へ
7人のならず者の任務と最期
つぎに、ローグ・ワンの中心メンバーである7人が、スカリフで担った役割とその結果を振り返ってみたいと思います。
K-2SO
デス・スターの設計図がある場所を見つけ、ジンとキャシアンに伝える
設計図の場所を表示させる。その後、追ってきたストームトルーパーたちを食い止めるため操作盤を叩き壊し、保管庫をロックしたのちトルーパーの銃撃を浴び、機能停止
メルシ軍曹
味方の艦隊と通信するために必要なマスタースイッチの場所を見つける
マスタースイッチの前まで辿り着くも、敵の攻撃により死亡
チアルート
メルシが見つけたマスタースイッチの電源を入れる
敵の銃撃が飛び交うなかマスタースイッチがある場所まで辿り着き、電源を入れる。その直後に爆撃で吹き飛ばされ死亡
ボーディ(元帝国軍パイロット)
通信が出来るように船と送信ケーブルを繋ぎ、味方の艦隊にシールドを開けるよう指示
ケーブルを繋ぎラダス提督にシールドのことを伝えた後、敵の手榴弾にて船ごと爆死
ベイズ
チアルートの援護と敵の掃討
チアルートの任務遂行とボーディのいる船の爆発を見届ける。幾度も被弾しながら残りの敵を倒す。しかし最後の敵が持っていた手榴弾により爆死
なおここでベイズは初めて「“チアルートが信じる”フォースへの信仰」を信じることになる。
それは「フォースを信じる」というよりは「最後までフォースを信じ、そのフォースに護られるようにして任務を果たしたチアルート(の信仰=フォース)」を信じた、というほうが正しいのかもしれない。
キャシアン
設計図の入手およびジンの援護
ジン
設計図を入手し、反乱軍へデータを送る
設計図のデータを送信後、デス・スターの攻撃により、キャシアンとともに死亡
スカリフの外での戦い
ローグ・ワンの面々が繋いだ設計図奪取への行程の中には、惑星スカリフの外での反乱軍の重要な任務も含まれます。そう、シールドの破壊です。
今作の後半はエモーショナルな場面の連続でしたが、非力な反乱軍がスター・デストロイヤーを撃墜し、それによってシールドを破壊することに成功したこの場面もまた、声を上げたくなるほどに心が震えたシーンでありました。
ep6『ジェダイの帰還』で、反乱軍がエグゼキューターを落としたあのシーンを思い出した人も多いことでしょう。
シールド破壊までの流れ
Yウイングがイオン魚雷を集中的にスター・デストロイヤーに浴びせることで動力を消失させることに成功。スター・デストロイヤーは宇宙に浮かぶただの箱と化す
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ハンマーヘッドが箱状態のスター・デストロイヤーに体当たりをし、出力を全開にして押し出す
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動力を失っているスター・デストロイヤーはハンマーヘッドに押され、別のスター・デストロイヤーに激突
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激突されたスター・デストロイヤーはえぐられるようにして粉砕し、シールドを作っているコロニーに落下
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コロニーが破壊されシールドが消える
この場面で多くの人が気になった
箱状態のスター・デストロイヤーは電力を失っても浮かんでいたのに、削られたほうのスター・デストロイヤーがコロニーに「落ちた」のはなぜ?
という疑問点。あくまで個人的な解釈ではありますが、
あのエリアはスカリフの重力か、もしくはコロニーが発する人工的な重力(ただしどちらも強くはない)が及ぶ範囲であり、戦闘機や戦艦などはその程度の重力であれば影響を受けずに飛行できる装置が標準で備わっている。そしてその装置は電力を必要としないものだが、装置が破壊された場合は重力の影響を受けてしまう
といったような理由からではないでしょうか。正直これは「設定の穴」なんだろうなとは思うのですが、あまにりも『ローグ・ワン』が好きなためにこんな小さいところでいちゃもんつけられるのが嫌なので、そう考えることにしました(笑)。
帝国軍の恐ろしさとベイダーの無双っぷり
ならず者たちの活躍もさることながら、今作では改めて帝国軍の戦力の強大さ、恐ろしさを見せつけられたようにも感じました。
虫の大群かよ…っていうくらいに続々と射出されてゆくタイ・ファイター
射程距離に入りスカリフの後ろにぬっと現れるデス・スター
設計図を奪取し、あとは全力で逃げるのみ!というところでハイパースペースの進路を塞ぐように出現するベイダーの母艦
そして反乱軍の艦隊に乗り込んできたベイダーの無双っぷり。残酷なまでの強大さでした。。
ですが今回のベイダーに関しては、ep2やep3でのアナキンのような、強さと華麗さを併せ持ったライトセーバーさばきの面影は全くなく、ただただ荒々しくて恐ろしい、まるでオークが棍棒でも振り回しているかのような力任せの剣術に成り下がっていました。
とくに2番目のゲートを塞いだところでの、ゲートの後ろでのベイダーの切り付け方なんて、フォースがどうとか関係なく、ただ単にブチギレて手がつけられなくなったヤバい人としか思えないひどいものでした(笑)。
「あぁ、やっぱりベイダーはもうアナキンじゃないんだな…」ということをここで改めて思い知らされた場面でもあります。
そういう意味では、ep3『シスの復讐』でのベイダー誕生時にはまだアナキンの名残を感じることができた「ダース・ベイダー」というキャラクターと、ep4で登場した「ダース・ベイダー」のキャラクターが合致しなくて不自然になったりしないよう、ここで整合性を持たせているのも良かった点ではないかと。
つまりep3からep4までの長い年月の間に、ベイダーは自分の中のアナキンを消していった(または消えていった)のだろう、ということです。
まとめ
今作がep4『新たなる希望』の手前の出来事であることはもちろん知っていましたが、まさかここまで直前の出来事に繋げてくるとは思ってもみなかったので、最後の「Hope.」からのエンドロールにはびっくりしました。
そして2回目の鑑賞以降は毎回見るたびに、あの命懸けのリレーを経ての「Hope.」と、その直後のデッデデッデデッデデデデに「うおぉぉぉーーー!!!!!」と叫びたくなる衝動に駆られています(笑)。
自分の中では、正直言って惰性と使命感(第1作から映画館で観ているというだけのw)のみで見続けていたSW作品だったのが、この一作でひっくり返った印象です。
これは修正版のレビューなので、書き直している現時点ですでにep8『最後のジェダイ』も『ハン・ソロ』も観ていますが「これを作れたんだからまだ希望はあるはず」と思っています。
それは逆に言えば『最後のジェダイ』があまりにも酷すぎたこと、そして『ハン・ソロ』も気の抜けた炭酸水のようで現在は相当絶望感が強いということでもあるのですが……
というわけで、私にとっての今後のSWを救うカギ「Hope.」は、この『ローグ・ワン』だったりします。
まぁ現時点でep9に期待できる要素は何もありませんが、『ハン・ソロ』のレビューでも書いたようにディズ…D社はとっととゴメンナサイして『最後のジェダイ』を作り直したほうがまだましなんじゃないかな、と。
それにしても、エピソード4でさらっと語られて終わりだったローグ・ワンの物語──、デス・スターの設計図の奪取とは、いかに多くの勇気と犠牲のもとに為し遂げられたことなのかを知り、ルークが放ったプロトン魚雷がどれほどの意味と重さを持っていたのかを理解した今、つくづくタトゥイーンの酒場でへちゃむくれに絡まれたときに殺されなくてよかったと思わずにはいられません(笑)。ってかあのへちゃむくれ、惑星ジェダにいたみたいですけどね。
その他、ソウ・ゲレラやゲイレン・アーソなどの主要キャラについてや、惑星ジェダの丘の形など、書きたいことは沢山ありましたが随分長くなったのでやめました。
最後にひとつだけ言わせてもらえれば、ベイダーは雑魚を持ち上げたり吹っ飛ばしたりしてないで、とっととデータが入ったディスクをフォースで引き寄せればよかったんじゃね? とは思いました(笑)。
【追記】最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のレビューもよろしければどうぞ!
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