スペイン発の大ヒットホラー映画『REC/レック』のリメイク作『REC: レック/ザ・クアランティン』の続編がこちらの『REC: レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』(なんか説明がくどい…w)。
…なのですが、本家『REC/レック』シリーズの特徴でもあったPOV形式(Point of view=手持ちカメラの映像など、登場人物の視点で物語が進行していく手法)でのカメラワークが終盤までほとんど登場しない点や一連の惨劇の原因がまるで違っていたりと、すでに本家とはほとんど関係ないものとなっていて、単なるパニックホラー映画の様相を呈しております(笑)。
でも結局、ほぼ忠実に作られていた前作と比べたらこちらのほうが面白かったりするんだから不思議なものです。きっと色んな意見を取り入れたのでしょう…。空港へ向かうタクシーの車内でなぜかCAが制服に着替えるという、唐突なプチお色気シーンから映画は始まります(笑)。
本家にはあって前作にはなかった要素のうち「可愛い主人公」「軽いお色気w」がオープニングからクリアされているところはさすがアメリカといったところでしょうか(笑)。
ありがちな下ごしらえ
アメリカのパニックホラー映画などではよくある下ごしらえとして、
最初から怪しい行動を取っている人が何人もいる
というものがあります。今作で言うと「誰がウイルスを機内に持ち込んだのか」が分からないくらいに怪しい人(または動物)が多い──というやつです。
※なおこの「犬にうつされた」という設定と、例のマンションから全く別の場所での出来事であるという点は、オリジナル版の『REC/レック3 ジェネシス』に近いものがあります。
こういった面々に加え、
といったいかにも問題を起こしそうな乗客と、さらに衛生兵であるという若い女性シーラ(既婚)、主人公ジェニーと同僚のポーラ、空港の荷物係エドたちが空港のターミナルに隔離されることに。
結局感染源は…
怪しい人・動物がいっぱいいましたが、結局のところ直接の感染源はヘンリーが持ち込んだハムスター(実はウイルスに感染しているネズミ)でした。
そのネズミがラルフを噛んだことでラルフが発症→彼を飛行機のトイレに閉じ込めていた機長と副操縦士が襲われて感染→そこからどんどん被害が広がっていく──という事態となりましたが、最初にラルフが機内で吐いたときにその吐瀉物を猫が食べており、その後に猫も発症→おばさんが感染、という枝分かれルートもありました。まぁどちらも元はあのネズミだったわけですけど。
さらに感染の調査でターミナルに入ってきたCDC(実は違う組織だった)の男も襲われて感染、という流れは本家『REC/レック』とリメイク版の前作に寄せてきています。
生き残り予想と『REC』的視点
終盤、いよいよ感染していない者の数も少なくなり、ジェニー、ジョージ、ヘンリー、シーラの4人となって、一体誰が最後まで生き残るのか、それとも「全員、アウト~」「デデーン!」といったバッドエンドが待っているのか分からないまま、クライマックスへと向かっていきます。
まず最初に、一乗客ながら大車輪の活躍を見せたシーラが感染していることが発覚。最後まで大活躍だったシーラは、CDCが持っていた暗視ゴーグルをジェニーに渡し、POV形式の映像という『REC』のアイデンティティをここで復活させたのと同時に、自分がおとりとなって凶暴化した感染者の中に飛び込んでいくという、男前にも程がある勇気あふれる行動を取って消えていったのでした。
そして次の脱落者は、今回の事件の元凶であったテロリストのヘンリー。
…ですが彼の正体がバレた時点で感染するのはもう予想できたのでこいつは置いといて(笑)、あとのふたり、ジェニーと少年ジョージがどうなるのかが見物でした。
やっぱりコンプライアンス的に少年が死んでジェニーが助かるっていうのはないかなぁ~、なんて考えながら見ていましたが、ジェニーも(ストーリーの盛り上がり的に)都合良く?感染してしまい、最後はジョージ少年だけが空港を脱出できた、という、ある意味では予想通りのオチに。
でもジョージのすぐ傍にはネズミがおり、また途中で感染が発覚した猫も結局始末されていなかったように見えたので、最終的にはホラー映画によくある「この先にはバッドエンドしか待っていない」的なエンディングに…
この辺の終わり方は『REC/レック4 ワールドエンド』にも通ずるものがありますね。ただし映画が作られたのはこの『REC: レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』のほうが先ですが。
最後に
まとめると、本家『REC/レック』とはもはや無関係の内容と言ってもいい作品だったわけですが(笑)、ターミナル施設の空間構造や脱出までの行動フローなどが、ゲーム『バイオハザード』を彷彿とさせるものがあって面白かったです。『ターミネーター』シリーズなんかもそうですが、こういった施設だったり、オートメーションで動く大きな機械や溶鉱炉などがある工場と、「何かから逃げるという設定」は相性がとてもいいようですね。
それにしても(前作も含めて)ウイルス事件の原因が「カルト集団による生物兵器テロの実験によるもの」だったというのが、いかにもアメリカンすぎる展開で「またか」という印象ではありました。まぁそれでもそこそこ面白かったのでこれはこれでいいのかなと思いましたけど(笑)。
ちなみに主人公ジェニーを演じたメルセデス・マソーンさんはドラマ『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』にオフェリア役としてシーズン1~3まで出演していたそうなのですが、私は本家の『ザ・ウォーキング・デッド』だけで十分お腹いっぱいなので『フィアー~』は全く見ておらず、誰なのかさっぱり分かっていません(笑)。
comment