【解説】映画『LOOP/ループ -時に囚われた男-』──加算型ループ映画、そしてミシェル・ゴンドリーのMVとの共通点

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アダムの行動とループ③

 ループの3回目でアダムはようやくアンナへの愛と、何が正しい行動なのかに気付くこととなります。

 

 部屋を出たアダムはピザ屋のスクーターに乗ってデジューを追いかけます。

 同じ頃アンナは曲がり角で最初のアダム(切符を取り返しにきた、ループを知らないアダム)と鉢合わせしています。

 デジューの乗る救急車の横に回り、車を止めるようアダムは呼びかけますが、それにより脇見運転となったデジューはアンナをはねてしまうことに。

 ここでもアンナを救うことが出来ず、建物の非常階段の陰から倒れているアンナとトラックに隠れて逃げる自分を見つめるだけのアダム。

(この場にいるのは荷台に隠れている1回目のアダムと、それを見ている3回目のアダム)

 

 たまたま通りかかった医者と駆けつけた救急車のクルーが蘇生を試みますがアンナは息を引き取ります。それを見たアダムは涙を流しつつも、その場から逃走。次の行動へ出ます。

 2回目のループで、車の洗車場にいたデジューを撃ち殺した場面に向かい、ふたりがもみ合っている最中に車に忍び込む3回目のアダム。

 

 助手席に隠れているアダムに気がついて呆然としているデジューを2回目のアダムが銃で撃ち殺し、その場を離れてます。

 その後で3回目のアダムは前回は車に残したままだった「ブツの入ったカバン」デジューの銃を持って2回目のアダムの後をつけ、ふたりのアダムは病院へ向かいます。

(2回目のアダムは手ぶらで、3回目のアダムは手にカバンを持っていて腰に銃を隠し持っている)

 

 カバンを持った3回目のアダムは電話の前で待ち、現れたアンナを連れて父のオフィスへ行きます。そこで自分が何をしているのかを父に白状し、薬物を渡して自分はカタをつけに行くが、もし自分が戻らなかったら警察へ行ってほしいと告げるのでした。

 同時にアンナ(とふたりの子ども)とこれからも一緒に生きてゆく決意をし、検査で撮ったお腹の子のエコー写真をアンナと半分ずつに分けて、それをこのループ世界の中での

「アンナとの愛を誓った、今の(3回目の)アダムである証拠」

として持ち歩くことに。

 そしてアダムはアンナとキスをし、父のオフィスを後にします。

 銃を装填して再度腰にしまった3回目のアダムは、階段へのドアを開けようとしたところで最初のアダムと出くわしてしまい、姿を見られないようにドアを締めてやり過ごします。

 その直後にエレベーターでデジューとばったり遭遇。エレベーター内で彼のIDを奪い、気絶させてから監視ルームへ向かうアダム。そこで2回目のアダムをモニターで見つけ、屋上へ上がって直接確認します。

 

 意識が戻ったデジューはアンナを発見し、階段でもみ合いとなり消化器の液体を顔に浴びるも彼女を薬で気絶させて連れ出します

 屋上から階段で戻る途中、アダムはアンナの靴を見つけてアンナが連れ去られたことを知り、父のオフィスから自分が母の胎内にいたときのエコー写真が入ったアルミケースをカバンに詰めて父の車で外へ出ようと試みます。

 このとき、父から鍵を受け取って地下の駐車場へやってきた最初のアダムと鉢合わせるも、無事に病院を出ることに成功。

 

 ガス欠になった車は、以前とは違って手で押しながら少し先の開けた場所(アンナがはねられたエリア)へ停め、ビデオテープを拾ってから部屋に戻り、留守電を消去したあとで父の車をレッカー移動してもらうよう業者へ連絡します。

 その次にビデオテープをデッキに入れて録画したところでアンナを連れたデジューがやってきます。

 今度は逃げずにデジューと対峙するアダムですが、それでも撃たれてしまい、バスルームへ運ばれてカーテンで覆われます。このとき部屋の外には2回目のアダムが潜んでおり※、逃げたアンナを追ってデジューが出ていってから部屋へ入ってきてバスルームにやってきます。

※2回目のアダムは父の車に乗れなかったので自宅へ帰るのが遅くなる

 

 さっき撃たれた3回目のアダムは、胸に隠し入れていたアルミケースのおかげで助かっており、やってきた2回目のアダムと直接話をすることに。

 ここで後からやってきたアダムが

 

「駐車場にいたろ」

 

 と言っていることと、

 

撃ち殺されたアダム(最初のアダム)はもうこのタイムラインには存在しない

 

 という事実から、駐車場に向かったら予備タイヤだけが残されていた「2回目のアダム」と、駐車場で自身と鉢合わせになった「最初のアダム」は統合されたものと思われます。

 ここで対峙している2回目・3回目のアダムはもちろんどちらも同じ自分ですが、あとからやってきた2回目のアダムとの違いは「アンナを見捨てない」ことです。

 2回目のアダムを窒息死させた3回目のアダムは、アンナの救出に向かいます。その頃アンナはあの曲がり角でまたぶつかって転倒しますが、今回ぶつかった相手はアダムではなく見ず知らずの男でした。

 同時に父の車はレッカー車に積み込まれている最中で、そこへデジューの運転する救急車がやってきますが、間一髪のところでアダムがアンナを助け、デジューの車はレッカー車に乗り上げて一回転して潰れてしまいました。

(この結果により、アダムはアンナを救い、デジューは勝手に事故死するのでアダムは殺人を犯さない/※窒息死させた時点で2回目のアダムはもちろん消える)

 

 その後、通りがかった医者の車に乗せてもらって病院へ向かったふたりは、子どもの無事を確かめたあと電車に乗って帰ります

 電車の中で二つにちぎったエコー写真を照らし合わせて安堵するアダムの手に∞マークをマジックで書くアンナ。そんな幸せそうなふたりの向かいに、映画の冒頭でアダムにバケットを恵んでもらったホームレスの男が座り、冒頭のシーンと同じようにバケットを頬張るのでした──

このとき電車に乗っている乗客(ホームレスの横に立っている革ジャンのカップル、奥の座席に座っているひとたち)は映画冒頭のシーンと全く同じです。

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