アダムの行動とループ②
以前の記憶がある「2回目のアダム」は、前とは違う行動(アンナと一緒に逃げようとする)を取りますが、それでも結局アンナはデジューが運転する車にはねられ、死んでしまいます。
ここでアダムは立ち去ろうとはせず、アンナの元へ駆け寄ります。するとそこへ1台の小型トラックが通り過ぎ、その荷台に「前の自分」が乗っていることに気付き、うろたえます。
このときアダムは初めて「前の自分」を直接その目で見ることになりました。(ただし見えたのは荷台を摑んでいる手のみ)
当初のアダムの目的はデジューから逃げることでしたが、今度は自分とアンナを殺したデジューを探し出し、銃を奪って逆に撃ち殺すのでした。
「デジューからの逃亡」という意味ではここでデジューを殺したことで自由にはなりますが、アンナは死に、そして自らも殺人犯となってしまったのでもちろんこのままではバッドエンドです。
というかこのループからまだ出られません。
そのあとで病院へ向かったアダムは、地下の駐車場で父の車を開けようとしますが、以前と同様にドアは開きません。
そして病院内を歩いていると、通路で看護師の男性に妙なことを言っている女性患者に遭遇します。
「“彼女”が喋っている声がずっと聞こえるの」
「どこまでも追いかけてきて耳の中でこう言うの」
「あなたは私でもあるのよ 逃げられるわけない」
このように、女性は今直面しているこのループ状態を暗示させるかのような意味深なことを、横を通り過ぎるアダムに対して語りかけるのでした。
その後アダムは公衆電話で自宅の留守電に向かって話しているアンナを見つけます。(ここでアンナが話している内容は、最初にアダムが部屋の留守電を再生したときに流れていたもの)
【このループ世界での法則】
どうやらアダムが陥っているこのループ世界は、
↓
・映画内の視点での「主人公アダム」が経験するタイミングで他のキャラも「それぞれがその場所で最初に取った行動」に沿って登場し
↓
・アダムがそれぞれの場所で経験する「2回目以降の出来事」では、1回目のアダムと2回目のアダムのどちらと遭遇するかは状況による。
↓
・その場合、過去の自分の発言や行動とはわずかに違いが見られる。
という法則に基づいているようです。
多くの場合は「ひとつ前の自分」との遭遇となりますが、例外的に3回目のアダムが1回目のアダムと対峙する場面も存在します。
アンナを連れて屋上へやってきたアダムは「警察へ行きましょう」というアンナに対し
「またその話か」
と返しますが、アンナは
「“また”って何?」
と聞き返します。つまりここにいるアンナはまだデジューに捕まっていないアンナということになります。
ここでアンナは「私を愛してないでしょ」と立ち去ってしまいますが、アダムは追いかけないので、この「2回目のアダム」はまだ自身のアンナへの愛に気付いていません。
その後、病院の階段でアダムはアンナが履いていた靴が片方だけ落ちているのを見つけます。アンナはデジューに捕まって部屋に戻ってきたときも、そのあとで車にはねられたときも片方しか靴を履いていません。それは終盤でアダムが靴を渡すまでどのループ段階でも同様です。
また靴を発見した場所で、消化器がまかれた形跡があることにも気付いたアダムは、このあと「屋上で居合わせた、病院で働いている女性・ファニー」に通路で話しかけられ、3分ほど前にアンナがデジューに連れ去られたことを知ります。
地下の駐車場へ急ぐと、一足違いで救急車が出ていき、父親の車は予備タイヤを残して消えていました。
(最初にアダムが父の車に乗ったとき、予備タイヤを外してその場に置いていった)
走って自宅へ向かったアダムは、最初に自分が乗り捨てた場所に父の車があるのを見つけます。
自宅ではさっき自分がデジューに撃たれたときの光景が繰り広げられている真っ最中。植木鉢を手に入り口へにじり寄りますが、デジューが自分の死体をバスルームへ運ぶためにこちらへ来たため、少し離れた場所へ逃走します。
このとき植木鉢を落としてしまい、その音に反応したデジューが通路まで出てきますが、猫の仕業と思ったらしく部屋へ戻ります。
(この植木鉢を落としたときの音と、デジューが通路へ顔を出すという行動は最初の同じ場面でもあったもの)
その後アンナが逃走し、デジューが追いかけて無人となった部屋にアダムが戻り、バスタブに横たわっている自分を見ます。
その「撃たれたアダム」は目を開け
「あの女のせいだ」
「あいつを捨てて逃げろ」
と言い残して死んでしまいます。が、困惑したアダムが洗面台で顔を洗っていると急に周りが暗くなり、顔を上げたアダムが振り返ると、バスタブで死んでいるアダムを覆っていたシャワーカーテンが元通りになっていて、アダムの死体も消えていたのでした。
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