2008年の『クローバーフィールド/HAKAISHA』から、物語的にはほとんど繋がるところがなかったものの
「クローバーフィールドという名前」
「ロゴの一部がびろーん」
「怪獣らしきもの」
を踏襲?した2016年の『10 クローバーフィールド・レーン』、そして予算が膨らんでしまったため劇場公開できずにNetflixでの独占公開となった、2018年の『クローバーフィールド・パラドックス』の3作を『クローバーフィールド』シリーズとしてレビューをまとめてみました。
あらすじ
第1作『クローバーフィールド/HAKAISHA』の前日譚(えっ)となる今作のあらすじはだいたいこのような感じです。
地球のエネルギー資源があと5年以内に完全に枯渇すると言われている近未来。クローバーフィールド宇宙ステーションでは、成功すれば地球全体のエネルギー危機を永久に解決することができると期待されている「シェパード粒子加速器」を起動させる実験が行われていた。
だが強力なエネルギーを発生させるその実験は、行うたびに時空の膜を引き裂き、複数の次元を衝突させ現実を粉砕する「クローバーフィールド・パラドックス」を引き起こす怖れがあるという指摘もされていたのであった──
2年間におよぶ実験も47回目を数えたところでようやく成功したかと思われたが、火災をはじめとする大きな事故が起こる。
イギリス人科学者のエヴァやドイツ人科学者のシュミットら各国のクルーたちが何とか火災を収束させると、別次元の干渉により地球が姿を消しており、さらに信じられないような現象が次々と発生する。果たしてエヴァらは無事に地球へ還ることができるのか。そして地球はどうなってしまたのか──
キャストについて
第1作『クローバーフィールド/HAKAISHA』は、登場人物が持つカメラの視点で物語が進行するPOV方式が取られていて、リアリティを出すために出演者はほぼ無名の俳優たちで占められていましたが、第2作の『10 クローバーフィールド・レーン』からは有名俳優を起用しています。
最近ではレジェンダリー・ピクチャーズを筆頭に、アメリカ映画界では中国の影響力が増しているようで、今作でもチャン・ツィイーの起用(チャン・ツィイー自体は大作映画に出ていても何の不思議もありませんが)に加え、宇宙ステーションのクルーたちが英語と併用して普通に中国語で会話していたりします。
同じくnetflix独占配信となったドラマ『マニアック』では、日系企業が舞台でやたら日本語が飛び交っていましたが、リアルな現実で世界に対する影響力を考えたら中国語が(中国人以外の間でも)普通に話される近未来はありえない話でもなさそうなところがうーん、といった感じですが。。
個人的には、好きな俳優であるダニエル・ブリュールが出ていたのがよかったです。いろんな映画でドイツ人役として出演していて存在感を増していますが、スペイン語やフランス語、そしてカタルーニャ語も操るマルチリンガル俳優として今後ますます活躍されるのではないでしょうか。
あとWikipediaを見てみたら「声の出演」としてサイモン・ペグの名前があってびっくりしたんですが、全く気付きませんでした(笑)。J・J・エイブラムス繋がりなんでしょうけど『フォースの覚醒』に続いてまた顔の出ない出演に(笑)。
感想
とりあえず何はなくとも、上にも書いたように今作が「第1作『クローバーフィールド/HAKAISHA』の前日譚」というところにツッコミを入れたい……なんで前日譚のほうが未来なの(笑)。
まぁでも、タイトルに「パラドックス」って入れちゃってるしもう何でもアリなのかもしれませんね。。
で、「シェパード粒子加速器」によって別次元との衝突が起こり、世界が混沌の渦に飲み込まれるというのまでは分かるとして、「モンスター(Monsters)」「悪魔(demons)」「海獣(beasts from the sea)」が解き放たれる可能性が──という部分。。
“海”獣???
なんかそこだけずいぶん限定的なのが気になるんですが……しかもちょっと理論に無理があるような(笑)。『HAKAISHA』『レーン』に出てきた「謎の生き物」(といっても同じ生き物に見えないんですがw)をこの『パラドックス』で登場させるための理由としてはやや唐突だから先に識者に言わせておきました、っていうやつかw
あと、マイケルが子どもを助けて親のところへ届けるところや、ステーションで起こる出来事など、ところどころ「どこかで見たような」シーンや設定があって、それらを探しながら見るのも面白いのかもしれません。『エイリアン』っぽいところもあり『遊星からの物体X』っぽいところもあるような…
その他、近未来設定ということで、将来現実化しそうなテクノロジーがちらほらあって興味深いものがありました。
「細胞成長促進因子」や「磁石パテ」なんかはそう遠くない将来に現実になりそうな気もします。
投げっぱなしが得意のJ・J・エイブラムス
最後の最後にやっとそれかよ!っていう、それじゃ結局今回も「謎の生き物」が何なのか分かんねーんじゃん!!というオチとなった今作。。。
プロレスで言えば「投げっぱなしジャーマン」といった感じで、謎を放り込むだけ放り込んで一切回収しないというJ・J・エイブラムスお得意の手法がここでも取られていましたね(笑)。
目玉が外側を向いておかしくなったヴォルコフが鏡の中の自分に向かって「Yes, I know.」と言ってるのもどういうことなのか分からないままだし、壁から現れたミーナの行動も、単に別次元から飛ばされてきた人というだけではない、何かしらの意図を持っているようなものでしたがそれも最後まで回収されず……
J・Jさんは『フォースの覚醒』でも盛大に投げっぱなしで終わらせちゃいましたけど(笑)、『最後のジェダイ』があんなことになってブーメランとして返ってきた今、ep9ではちゃんと回収してほしいところです(笑)。
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