いろいろなことを「やり直す」
「過去に戻る」というのはある意味チートな展開でしたが、それによって何人かの人が大切な誰かとの関係にきっちり区切りをつけることが出来たのはグッときました。
お別れの言葉はかけられなくても、最後にハグすることができたり、関係を修復できたり、実現出来なかった約束を果たすことができたりと、インフィニティ・ストーンを集めるという展開だけにせず、こういった要素を練り込んでいるところも本当によく考えられてるなぁと。
トニーとハワードの親子関係(さらにジャービスも登場させたり)、ソーと母親、ガモーラとネビュラの姉妹関係などなど。
とりわけソーに関しては、完全に自信をなくし立ち直れない状態だったことを考えると、エーテルを持って帰るという任務と同じくらい重要なミッションとなっていました。このときの母との対面がなければ最後までソーは戦力にならなかっただろうし、結果として今回もサノスには勝てなかったのでしょうね。母というものの偉大さを感じます。。
映画を見ていたときにはソーのビール腹に軽く失笑していましたが、よく考えればこの人はサノスにとどめを差し損ねたことのみならず、故郷と両親と姉・弟、そして共に戦った仲間や多くの民を失った自責の念や喪失感を抱えていた男なので、その辛さは誰よりも大きかったんですよね。よくぞ立ち直ってくれました、といった感じです。身体が最後まで戻らなかったのは笑えましたが(笑)。
また過去に戻ったとき以外でも、トニーとスティーブの友情関係の復活や(もちろんこれが起こらないと何も始まらないわけですが)トニーとピーターの疑似親子の結び付き(何気にこれが胸熱)、スティーブとサム、バッキーの強固な友情の再確認、そして何といってもスティーブとペギーの果たせなかったあの約束が実現できたことと、スティーブの指輪ですかね…
スティーブ・ロジャースが正義のために全てを捧げ『キャプテン・アメリカ』として生きてきた長い旅路が終わり、キャプテン・アメリカとして生きたことで失った多くの時間と人生をやり直して帰ってきて最後にしたことは、かつて自身が追われる身となったときもチームがバラバラになったときも常に一緒に戦ってくれたサムに「キャプテン・アメリカ」を託すことだった──
なんでしょうねこの流れ。よくこんなに色んな要素を盛り込んで3時間で作れたもんだと感心しますわ。。
ちなみに私は、水辺のほとりのベンチに座るスティーブ・ロジャースの姿を見たとき「あれっ、もしかして血清を打つ前の身体に戻ったとか!?」などとトンチンカンなことを考えていました(笑)。
このチームでの最後にして最大の戦いとなる今作ですが、その戦いの部分をちゃんと描くだけでも大変そうなのに、そこにこれほどの家族愛や友情を織り込むとは…。
そう考えると『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の次作にジェームズ・ガンが復帰することになったことが本当に嬉しく思います。今作の家族や仲間との愛と結束は『ガーディアンズ~』の世界の拡張版みたいな印象を受けました。
クライマックスの戦闘シーン
ここもやはり、様々な胸熱シーンがてんこ盛りでした。
同じNY出身のキャップとスパイダーマンは『シビル・ウォー』でお互いの出身を言う場面があって、お互い少年時代を過ごした(ピーターは現在進行形)街がともに移民が多く住むエリアで、どっちも裕福な家の出身ではないことを「クイーンズ」「ブルックリン」という地名だけで伝え合っていましたが、今回は晴れて味方同士となったスパイダーマンにキャップが「クイーンズ坊や」と呼んでいました。
トニー・スタークとピーター・パーカーは親子のような関係でしたが、このふたりにはNYの下町(?)出身という独自の共通点があることを使って、キャップは若い新入りをチームに溶け込ませようとしていたんでしょうかね。
またスパイダーマンがガントレットを運ぶ際にちょっと弱気になっていたとき、彼を守ろうと集結したのが全員女性だったところもなんか良かったです。そりゃまあムキムキのマッチョ揃い(ひとりビール腹がいますがw)のなかにひとりか細い少年が混じっているわけですからね。お姉さんたちも助けたくなるのでしょう。
あと結局役に立ったのかどうか解らないままでしたが(自分が見落としていただけかも…)、車を改造したタイムマシンを動かしにアントマンとワスプが向かった場面。スコットが「コードを直結させてエンジンをかける」という、泥棒のお約束みたいなテクをあの重要な場面で使うところが原点回帰っぽくて面白かったです。ちゃんとそれぞれのキャラを活かした演出を入れてくるんですよね~。
そして以下のふたつは、すぐには意味がちゃんと理解できなかったのですが、あとで気付くと「うおぉぉぉ~」となったところです。
ひとつめはキャップがムジョルニアを持って戦う場面。「なんでキャップがそれを持てるんだよ…」と最初思いましたが、ムジョルニアはたしか「それを持つに値しない人間には持ち上げられない」ものだったかと…。それを持ち上げ武器として戦うのがキャップというのが泣かせます。
常人の数倍程度の身体能力があるだけで、フィジカル面だけで判断するならばちょっとした強化人間レベルでしかないキャップは、これまでずっとその意志と信念と正義感の強さを源とし、自身が持っている能力以上の力を発揮してチームを導いてきました。
そのハートと信念の強さがついにムジョルニアを持ち上げるまでになったのかと思うと熱いものがありますね。
ふたつめはトニー・スタークがドクター・ストレンジに「これが1400万(605も加えていたかどうか失念しました)分の1の勝ちパターンなのか」みたいなことを聞き、ストレンジが「それを今言ってしまったら云々」と答えた場面。
最初は「それ言っちゃうとタイムパラドックス的なことが起きて失敗するからなのかな」と解釈したのですが、見終わったあとでこの場面を思い出すと、ストレンジが答えなかった理由がそれ以外にもあることが解ってまた泣けてきます…
知ってたんでしょうね。。
その他、疑問点やツッコミポイント
まぁツッコミポイントなんてつまらないことを考える必要がないくらいの感動作だったわけですが、公開前にどこかで聞いたこのフレーズ──
舞台は東京!
おいっ!っていう(笑)。
何ですか、この「どうしてもって言うんでスポンサーのお偉いさんの娘をどこかに出演させてもらえませんかねぇ」みたいな無理矢理な捻じ込み具合。おそらくある程度の数の日本人は「東京が決戦の舞台かぁ~」と期待していたと思うんですが…。全然関係なかった…w
そしてこれは展開の勢いに飲まれて深くは考えていなかったのですが、やはり気になりました。
現在のネビュラの記憶から計画を知った過去のサノスが軍隊を引き連れてやってきましたが、あれはどうやって? 過去から一足飛びに未来(現在)にやってきたんだとしたらどういった手段なのか解りませんでした。もしかしてこの最終決戦の日までじっと待ってたとか?w でも現在のネビュラもそこに一緒にいるわけだからパラドックス的な何かが発生しておかしくなったりしないものなのか、と。。
ガーディアンズ関連で言えば、まずガモーラは結局どうなるのか? については『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の3作目で明らかになるのでしょうかね。
ガーディアンズの一員としてのガモーラは『~インフィニティ・ウォー』でソウル・ストーンと引き換えに死んでしまったのでもう存在しません。
となると過去からやってきたガモーラが合流することになりそうだけど、はたしてそんなことが可能なのか…。でも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のノリからして難しいことはどっかに放り投げてしれっと合流しそうな気もします(笑)。
また、あのビール腹がまたしても船に乗っていましたがもしかしてこのままガーディアンズに加入するとか? わりかし馴染みそうなところが笑えますが、でももし本格的に合流するとなるとキャラの存在感がデカすぎるのではないかと…。ま、そんなことを気にする必要がないくらいに最高のものが観られるものと信じていますが。
あと最後のほうでトニー・スタークとのお別れにニック・フューリーも含めてみんなが集まった場面で「あれ、この若者は誰だったっけ?」と気になった少年がいましたが、あの少年は『アイアンマン3』のあの男の子だったんですね。なるほど……
“I Am Iron Man.”
以前にUPされた『アイアンマン』『アイアンマン3』のエンディングシーンの動画がYouTubeにあったりしますが、さっそくエンドゲームを観た人たちによってコメント欄が賑わっているようです。
『アイアンマン』での決め台詞ではありましたが、まさか最後にここまで重要な意味を持たせてぶっ込んでくるとは誰も思ってなかったから、とにかくみんな自分のこみ上げる思いをぶつけたくなるのでしょう。
分かります。よく分かりますよ。
※こういうふうに貼ってある動画をYouTubeのページ(またはアプリ)上で見る場合は、一度再生させたときに出てくる右下のYouTubeのロゴをクリックまたはタップすると移動できます。コメントなどはそちらで読むことができます。
<※追記2020/02/23:『アイアンマン3』のほうの動画は削除されたようです>
【『アイアンマン』エンディング】
【『アイアンマン3』エンディング】
『アイアンマン』から続いたこれまでのMCU作品の締めとなるフェイズ4の最終作は『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のようですが、すでに予告編にも登場している新キャラのお披露目なんかもあって、次のフェイズへの橋渡し的な役割も担っているのでしょうかね。
【『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』予告編】
(エンドゲームを観た人専用)
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