主演サイモン・ペッグ、相手役にケイト・ベッキンセイル、さらに銀河を牛耳っているエイリアン「評議会」の声をモンティ・パイソンの面々(監督もモンティ・パイソンのテリー・ジョーンズ)、そして犬のデニスの声はこれが最後の出演作となったロビン・ウィリアムズといった、妙に豪華な顔ぶれのSFコメディ映画『ミラクル・ニール!』、Netflixにあったので見てみることにしました。
とりあえずの感想
サイモン・ペッグとモンティ・パイソンという、好きな人にはたまらない英国の新旧コメディアン達の組み合わせとなっていますが、これが良いのか悪いのか……
面白いんだけど、まぁそこそこかなぁといった感じの作品でした。
声だけの出演ではあるものの、モンティ・パイソンらしい「ここは笑うところなのか…?!」と一瞬考えるようなシュールな会話のやり取りとか、サイモン・ペッグお得意の「失敗しては独り言w」の連続で畳み掛ける笑いが満載で、決して嫌いではないんですが、このふたつのノリが今いち相性が良くなかったのかなぁ…という印象で、笑えはするものの……っていう感想だったのが正直なところでした。
空の上のモンティ・パイソン
モンティ・パイソンが声を担当している、空の上…というか銀河を牛耳る「評議会」エイリアン達の造形のバラバラさとか、喋りがいちいち長かったりシュールな言い回しだとか、クラゲの宇宙船やCGの微妙なショボさなんかは「らしさ」が出ていて悪いとは言わないのですが、地球でサイモン・ペッグ扮する主人公のニールが次々と引き起こすドタバタ劇と比べてノリが違いすぎるので、宇宙のシーンと切り替わるたびにテンポが合わなくて、ちょっとそこでダレてしまうように感じました。
犬のデニスくん
それでも、せっかくの能力をまるで上手く使いこなせずにいちいち失敗するところなどは普通に面白いし、犬のデニスが何だかんだでニールのことが大好きっていうところも、笑いの中にもペットと飼い主との愛情があってイイ感じですし、さらに全体を通してのケイト・ベッキンセイルの無駄遣い感は逆に嫌いではなかったです(笑)。ただストーカーの大佐は話が進むにつれどんどん不快なキャラになっていったのがちょっと嫌だったかも。
「犬が喋る」という設定も映画の中ではよくある展開ですが、懐いてはいるものの欲求に対して抑えがきかないタイプなのか、喋ることで分かり合えるどころか余計なことをベラベラ喋る面倒な奴となってしまいました(笑)。
そのせいでニールの扱いもややぞんざいになっていったデニスくん、喋ったら逆にバカ犬扱いされてしまったものの、それでも飼い主のニールへの愛情と信頼はさすが飼い犬!といった感じで、ニールがデニスを助けるために大佐の要求を全飲みするのと合わせて「何だよいい話じゃねぇか……」とあやうく感動するところでした(笑)。
主題歌とエンディングテーマも
宇宙人に殺された生徒を生き返らせようとしたら世界中の死人が一斉に蘇ってしまうところや(死体安置所で蘇った死体がなぜかやたらとギャーギャーうるさいのも笑えるw)、キャサリンの様子を覗こうとしたら向こうからもこっちが丸見えで、慌てて「見えなくしろ」と命じたら自分の目玉が白くなって見えなくなるところとか(北斗の拳のカーネル/大佐みたいにグルンと白目になるw)、雨降りが嫌だからロスの天気にしろと言ったら時差の関係で夜になったり、ソーセージに変身させられたレイを持って入ったパン屋とのやり取りが無駄に長かったりするところなどは素直に面白いので、できればこのドタバタ路線を加速させてラストまで突っ走ってもらいたかったなぁと思いました。
あとオープニングテーマの『Absolutely Anything』がクイーンのロジャー・テイラー、エンディングテーマの『Absolutely Anything and Anything At All』がカイリー・ミノーグと、楽曲のほうも英国の映画らしい顔触れとなっています。カイリー・ミノーグは出身こそオーストラリアですが、人気が出たのはイギリスからですし、現在では生活・活動拠点もイギリスのようです。
まぁサイモン・ペッグ主演の映画で音楽のことを言うとなると、やはり『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』が、マッドチェスターやブリットポップなどのムーブメントに乗っかったおっさん世代にとっては一番ニヤニヤしてしまう作品でしょうかね。
そういえばサイモン・ペッグの出演作をWikipediaで念のためチェックしてみたら、なんと公開当時(2000年夏)観に行ったオムニバス映画『チューブ・テイルズ』や『24アワー・パーティー・ピープル』に名を連ねているではありませんか。どこで出ていたのか全く分かりませんが。
っていうか『チューブ・テイルズ』なんかはもう内容まるっきり忘れてたりしてw
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