裏解釈:ジャック=テッド・ケイシー
最初のタイムリープのあと、ベッカー医師がジャックに対してこのように語っています。
ジャックが精神病院にやってくる2年前に、テッド・ケイシーという7歳の少女を○○したという男が、精神異常と判断され刑務所行きを免れてここへやってきたが、ある日、親戚を訪ねてきた幼い女の子をコソコソと盗み見るテッドに「被害者の女の子の服装を覚えているか」と聞くと、テッドは「もちろんだ、よく覚えているよ(後ろにテッドのクククという笑い声が被る)」と答えた。
この鬼畜がジャック本人なのだ、と言われているようです。
テッドは彼の頭の中にいくつかの人格を作り、彼の良心の呵責のためか、“治療”の苦しさから逃れるためか──想像の中で子どもを助けようとする。それがジャッキーでありババックである、とのことだそうです。
その根拠となるものは例えばこのようなもの。
上記のベッカー医師の説明を聞いているとき、テッドの台詞のところだけエコーがかった幻聴のような音、もしくは内側からの声のようになる
最初にマッケンジー(ダニエル・クレイグ)が挨拶しに来たときに「あんたが警官殺し?」と聞く(おそらく本人が話さない限りそういう情報は公表されないはずなのに、なぜ知っているのか?)
病院から抜け出したジャックと追いかけるロレンソン医師との会話
ロレンソン「あなたは妄想障害に苦しんでいる」
「あなたは妄想と現実の区別がつかないのよ」
ジャック「彼に(“治療”)をやめてほしいのかどうか、俺には分からない」
ロレンソン「効果はあるの?」
ジャック「別の人になった気がする」→この台詞のあとのロレンソン医師の沈黙と、非常にこわばった表情
ジャックがジャッキーにあげたドッグタグの縄と、ジャックが転んだときに窓から覗いているマッケンジーが指に巻いている縄、そしてパブにいる警官殺しの男が手にしている縄が同じ(つまりみんな妄想の産物)
ジャックはイラクへは行っていない。イラクのイメージは病院のテレビで見たもの
ババックとイラクでジャックを撃った少年は同一人物(こちらの設定での解釈ではどちらもテッド=ジャックの妄想が生み出した同一人物)
2007年に教会の外でベッカー医師が3人の名前を言ったとき、ペチャウスキーとマグレガーのときは墓石や知らない男の写真が叫び声とともにフラッシュバックで現れるが、ケイシーの名前を出すときに現れるのはジャックの写真とクククというケイシーの笑い声
他にもありそうですが、ざっとあげるとこんな感じです。
ちなみにこの映画のベースとなっているのは、1915年にイギリスで出版された「The Jacket」(アメリカでは「The Star Rover」、日本では「星を駆ける者」)という小説のようです。私は読んでいませんが、レビューなどをちらっと読んでみたところ、この小説がベースなのであればこの裏設定も十分ありえるような気がしました。
まぁ映画にする段階で、小説の部分的な設定だけ残して物語自体は美しくロマンティックなものとした──ということなのかなと私は解釈することにしました。後から吹き込まれる情報よりも自分が受けた感情が全てだと思いますので、感動した後で万一ここを見てしまった人も、純粋に感動だけ受け取ればよいのではないかと(笑)。
「ループもの」作品としてはこちらも面白いです
こちらは記憶を巡ることで真相へ辿り着く物語
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