【考察】映画『ふたりのベロニカ』──ふたりの役割、オープニングとエンディングの繋がり、そしてふたりを知る唯一の人物について【ツインレイ】

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ふたりの役割、ふたりの運命とは

 これらのシンクロ・共通する点のほかに、非常に重要な出来事がふたりには起こります。

 それは共通とかシンクロというものとは少し違っていて、大いなる力によって定められたふたりの運命のような何かを感じざるを得ません。このふたりにはそれぞれの役割というものがあったのです。

 

【ポーランドのベロニカ】

いつからか「もうひとりの自分が存在している」ように感じていた

【フランスのベロニカ】

「いつも別の場所にいるような気がしている」

「何となく先のことがわかる」

 

 この「お互いの存在を意識する」点についてのふたりの微妙な違いには、ふたりのベロニカが持っているそれぞれのツインレイとしての役割の違いが現れているのではないかと思うのです。

 ポーランドのベロニカは常に先導者としての役割を持っていて、まず彼女が動き、何かを体験します。そしてそこで起こる出来事がフランスのベロニカに伝達され、それを教訓として対処することで難を逃れることになるのです。

 ポーランドのベロニカは、かつてはピアノを弾いていて才能もありましたが、指を怪我したことでピアノを諦め声楽の道へと進むことになりました。そしてもしかしたらそれが彼女の命を奪うことにも繋がっていたのかもしれません。(彼女の心臓はあのソプラノの音域を舞台で出し続けられるものではなかった)

 一方フランスのベロニカも音楽の才能がありずっと続けてきており、(それについての説明はありませんでしたが)これまで怪我などの外的要因による挫折は経験していません。きっと「どこかで回避していた」のではないでしょうか。それは彼女の

 

「何となく先のことがわかる」

 

 という言葉からも読み取れます。

 また、このようなふたりの関係で決定的な出来事も起きています。

 

【ポーランドのベロニカ】

心臓に異変を感じる(病院へは行かない)

コンサートの最中に倒れ、そのまま息を引き取る

【フランスのベロニカ】

心臓に異変を感じる(病院へ行く)

病院へ行ったことで対処することができた

(もしくは音楽をやめた時点で危険を回避していたのかも)

 

 ポーランドのベロニカが先導者として経験し、それをフランスのベロニカが直感的に受け取ることで大きな危機を回避できていることが、この点からも分かります。

 さらにそれを証明するかのような描写もありました。

 フランスのベロニカが出会った絵本作家のアレクサンドルが、ベロニカをモデルとした新しい人形とともに考えた新作の内容は

 

ひとりの少女がオーブンで火傷をする。

その数日後、もうひとりの少女がオーブンに触れようするが、霊感のようなものが働いてやめる

 

 というものでした。また、この人形のシーンでは「ふたりのベロニカ」が持つ悲しい運命が象徴的に描かれてもいます。

  ベロニカをモデルとした人形が2体あっても、それらは同時に劇に登場することはありません。あくまでもどちらかはバックアップとして存在することとなり、どちらかが壊れたときに表舞台に登場することになります。

 これはポーランドのベロニカが亡くなったあと、その後の「ベロニカ」の人生を引き継ぐかのようにフランスのベロニカが物語に登場すること、そして「ふたりのベロニカ」の物語が劇中で同時進行で語られることはない──ということとリンクします。

 ポーランドのベロニカは「もうひとりの自分が存在している」ように感じていました。それは「もし自分に何かが起きてこの世を去ることになったとしても、もうひとりの自分はどこかで生きている」ことを心の中の深い部分で潜在的に感じていたのかもしれません。

 一方、フランスのベロニカは「いつも別の場所にいるような気がしている」「何となく先のことがわかる」と感じていたことから、いつも別の場所にいる「もうひとりの自分」が何かを経験することで、それが霊感のように自分に伝わり、何となく先のことが分かって危機を回避したり運命の相手と出会えたりする──のだという解釈もできます。

 

【ポーランドのベロニカ】

クラクフで観光バスの中から写真を撮っている「もうひとりの自分」と遭遇する

【フランスのベロニカ】

クラクフで撮った写真のなかに「もうひとりの自分」を見つける

 ここでもやはりポーランドのベロニカが先で、フランスのベロニカが後です。

 ふたりが同じ場所にいたことを最初に知るのがポーランドのベロニカで、フランスのベロニカは自身が撮った写真によって(しかも恋人となる男に言われて初めて)「もうひとりのベロニカ」の存在に気付くのです。

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