じゃあこの映画の何が「良い」のか
というわけで散々ツッコミを入れてきましたが、それらの要素も全部引っくるめて…というか全部受け切り(プロレス風)、そのうえで
「いや~最高ッス!w」
と言えるのがこの『ストリート・オブ・ファイヤー』の良さとは何か、ということですよね。
ダサいの上等、なんぼのもんじゃい、と。
この映画については色々な表現がされているのでしょうけど、何と言いますか、これはもう様式美の世界、おとぎ話というかハーレクイン小説の実写版というか、そんな感じです。
ミュージカルの世界観を持ってきたような「良い意味で奇麗すぎる」映画であり、宝塚とかでやったらすごく映えそうな雰囲気とでも言いましょうか…
それを裏付けるようなものとして、映画の冒頭ではタイトルが表示されたすぐあとには
A
ROCK & ROLL
FABLE
という文字が続きます。訳は
「ロックンロールの寓話(ぐうわ)」
そしてこの映画のポスタービジュアル(サントラも同様)はアメコミ風のイラストなのですが、ここにもロゴのすぐ下にこの
A Rock & Roll Fable.
という文字が入っています。ここまでがセットなのですね。要は「そういう作品だよ」という。そしてこの「ロックンロールの寓話」の次に続くのが
ANOTHER TIME
ANOTHER PLACE…
「いつか どこか…の物語」
そう、この作品は他の多くの映画よりも一層、リアリティを求めているものではないのですね。ですので先に書いた
・おとぎ話とかハーレクイン小説の実写版
・ミュージカルの世界観
・良い意味で奇麗すぎる映画
といったイメージで間違いなさそうです。悪の集団にさらわれた華やかなヒロインを、ちょっとワルな面を持つ二枚目のヒーローが仲間と一緒に救い出すというお話。
いつか、どこかで起きた物語──
うぅむ…まるであの映画のようではありませんか。
A long time ago
in a galaxy
far, far away….
遠い昔、はるかかなたの銀河系で……
なるほどねぇ…だから見ていて高揚感とか爽快感があるわけだ。。ツッコミ要素を全部無視して気持ちよさだけを追求したおとぎ話なんだもん。そりゃハイにもなりますわ(笑)。
とは言え、もちろん作品としての出来が良くなければたとえ王道の物語でもヒドい結果になるわけで、そういった失敗作もこれまで沢山作られては消えていったのでしょう。
上に挙げたツッコミ要素を蹴散らして…というかそれも全部受け切ったうえで「最高!」と思えるのは
・勧善懲悪の世界観で分かりやすい展開
・後味が悪くなるような暴力シーンがない(誰も死んでない)
・中学生が見てもOKなロマンス描写
・主人公の相棒は存在感がある愛されキャラ
・敵のリーダーもキャラが立っていて主人公を絶妙に引き立てる
・お互い惹かれ合ったまま余韻を残して主人公が去ってゆくという結末
・エンディングへと繋がるシーンで流れる主題歌がとにかく素晴らしい
こういった王道的要素がてんこ盛りで、気持ち良くならないはずがない構成となっているからではないかと。
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