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【Netflix】『マニアック』第9話~第10話 【ネタバレ&伏線の解説と考察】

投稿日:2018年10月20日

 

 2018年921日にNetflixcで全世界同時配信されたドラマシリーズ『マニアック』の、その時点ごとの登場人物紹介と見落としがちなポイント、その他考察と補足説明などを2話ずつに分けて書いています。全体のあらすじや物語の舞台設定については第1話〜第2話の解説をご参照ください。

 

 

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第9話:ウテンゴッタ

 

内容

別の脳内世界。オーウェンはアイスランド領事館の秘書スノッリ・アグナルソンとしてNATO本部の協議会に承認として呼ばれる。怪我をしていたエイリアンのアーニーを保護したスノッリだが、誤ってアーニーを感電死させてしまったことで地球はエイリアンの攻撃を受けることに

外では命を狙われ、自身も自ら命を断とうとするスノッリだが、CIAの工作員であるルース(アニー)に助けられ、グリムゾンに導かれてこの世界を救う任務に取りかかる。そしてアニーはガーティーとの取引を破棄し、妹の死を受け入れるべく崖の上で待つ妹のもとへ行く

一方、ガーティーは制御不能状態となりアズミやジェームズもなす術がなくうろたえるだけだったが、オーウェンが脳内世界で任務を成功させたことでガーティーは機能を停止する

 

主な登場人物

スノッリ・アグナルソン(オーウェン)

アイスランド領事館の秘書。地球を救う任務を負う

ルース(アニー)

CIA工作員。オーウェンを助け出した後、自身の問題の解決に向かう

エリー

事故にあった崖の上でアニーを待っている

グリムゾン

オーウェンを導き、世界とアニー、そしてオーウェン自身を救う任務へと連れて行く

 

アズミ

ガーティーをシャットダウンさせようとするジェームズに反対する

ジェームズ

母とのなじり合いが原因で視力を一時失う。ガーティーを消去したのち視力は回復

ガーティー

ロバートを失った悲しみをどうコントロールすればよいか分からず暴走する

 

ポイントと考察

 

「アーニー」という名前はジェドが飼っていたスナネズミの名前からきている。ジェドの「アーニー」はオーウェンが保護したタカに食べられた(第1話より)

 

アーニーを感電死させてしまった原因となったのはギムレットだが、オーウェンがジェドとアデレードの婚約パーティで自殺を図ったときに飲んでいたのもギムレットであり、悪いことが起きるのを象徴するアイテムとなっている

 

現実世界でのオーウェンと同様、スノッリも靴は白のスニーカーを履いている

 

『マクマーフィ・ルーム』で眠ったままの被験者の二人は、第5話と第8話でガーティーが連れていた女の子(双子?)である。また、はっきりとは映らないが他の男性も同様の人物と思われる

 

 『マクマーフィ・ルーム』の前でグリムゾンが「ペットの匂いがする(the smell of house pets.)」と言ったのは、ガーティーによってこの世界に閉じ込められた被験者たちが飼い主によって家の中で飼われている(ある意味、閉じ込められているともいえる)ペットのようだ──という意味にも受け取れます。

 

 ウテンゴッタ(Utangátta)とは

「ウテンゴッタ」とは英語で「amiss」という意味とのことですが、辞書によると

amiss=「間違ったもの/不適切なもの「不完全で欠陥がある」

となっています。

 

ですがここでオーウェンが語った台詞は

「It means something is amiss.」で、このフレーズは辞書によると

「something is amiss」=「何かがおかしい」

という意味だそうです。

 

そしてこの後に続くオーウェンの台詞を、日本語とオリジナルである英語の両方で見てみるとこのようになります。

 

「古いものも新しいものも、自身が持つ関係は全て、何かが違う

Every relationship I have had, old or new… has somehow been false.

 

「そしていつも自分が透明で、世界から隠されたような気分なんだ」「エジプトの夜鷹のように」

And I've always felt invisible… hidden from the world… like an Egyptian nightjar.

 

「そしてこれはすごく悲しい気分にさせるんだ…僕は悲しい」

And all of this makes me tremendously… sad right now.

 

夜鷹とはその名の通り夜行性で、昼間は外敵に見つからないように隠蔽色になっている鳥。

 

 

ルービックキューブを操作するオーウェンとグリムゾンとの会話で、「君は誰?」と聞いたオーウェンに対してのグリムゾンの返事は、日本語訳では

「俺を兄だと思ってただろ?」

となっているが、元の台詞は

「You always thought of me as the brother you wish you had, right?」(俺を“お前が望む”兄だと思ってただろ?)

である。つまりグリムゾンとは、オーウェンが「こうあってほしいと望んでいた兄ジェド」を投影した人物だった

 

アニーにとっての妹エリーとは、自分自身のことや、家族を捨てて去っていった母のことについても全て知っているただ一人の存在であった。だから自分の元からエリーが去っていくことが受け入れられず、そのため道中でも意地悪をしたりひどい事を言ったりしていたのだが、事故でエリーが死んでしまったことで、本当に二度と会えなくなってしまう。さらに最後までエリーにひどいことを言っていた自分への後悔で心を保てなくなっていたのだった

 

もう二度と妹と離れたくないと願うアニーだったが、この脳内世界の中で会った妹が望んでいたことは、ここできちんとお別れをして旅立ちたい──ということであった

 

 

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第10話:3つ目の可能性

 

内容

実験が終了し被験者は解放される

ガーティーを消去したアズミとジェームズはCEOと対面し、2人はネバーディーン社を辞め、よりを戻して共に旅に出ることにする

オーウェンはアニーに「勘違いはしない」「君につきまとったりしない」と言い、アニーもそっけない対応でそのまま2人は別れる

オーウェンは裁判で発言を撤回し、ジェドのアリバイの虚偽を認めたことで家族の怒りを買い、精神病院に入れられる

アニーは実家へ行き、妹との別れを受け入れることができたことや、オーウェンとのことについて父親と話す

そこでオーウェンに対する自分の気持ちを再確認するが、連絡先も知らないためフレンド・プロキシを利用して心の隙間を埋めようとする

するとその偽オーウェンと会っているときにオーウェンが精神病院に入れられたという新聞の記事を見つける。これは偶然ではなく法則(パターン)だと確信したアニーは、オーウェンを救い出すため病院へと向かう

 

主な登場人物

オーウェン

実験のあと、裁判で真実を話して家族の怒りを買い、精神病院に入れられる

アニー

自身の問題を乗り越え、オーウェンを救いに行く

ハンク・ランズバーグ

アニーの父。今回のことで父娘の関係が深まる

ジェド・ミルグリム

裁判でオーウェンが真実を話し窮地に立たされる

 

アズミ

ジェームズとともにネバーディーン社を離れることになるが、2人はよりを戻すことに

ジェームズ

アズミとよりを戻し、2人で旅に出る

 

ポイントと考察

 

自分の部屋に帰ってきたオーウェンはオリヴィアに手紙を書く

第8話のダイナーでのオリヴィアとの会話で、オリヴィアの元カレ(オーウェン)は自分のしたことを謝らなかったと聞いて「謝りたかったけど、恥ずかしかったのかも」「ただ忘れるほうが楽だったのかも」と話していたことから、オーウェンは自分がオリヴィアにしたことの現実から逃げていたことが判明したが、最後にようやく過去と向き合い、オリヴィアに謝罪することになる。(手紙の中に「I'm sorry for~」の文字が見える)

 

 

オーウェンがいる精神病院にやってきたアニーが受付に記入するシーンで、アニーのひとつ上に書いてある名前は以下の通りである

 

面会者:ブルース・マリーノ(第4話『セバスチャン毛皮店』でのオーウェンの名前)

入院患者:ウェンディ・レムリア(ウェンディは同じく第4話に登場するキツネザルの名前)

またアニーが書き込んだ名前は「リンダ・マリーノ」(第4話『セバスチャン毛皮店』でのアニーの名前)

 

レムリアとは

イギリスの動物学者フィリップ・スクレーターが1874年に提唱した、インド洋に存在したとされる仮想の大陸。マダガスカルおよび周辺の島にしか生息していないキツネザル(英語名:レムール=lemur)の化石がインドから発見されたことにより、マダガスカル島とマレー半島が合わさった大陸が存在したのではないかという考えるようになり、キツネザルにちなんで「レムリア大陸」と名付けられた。

 

 

第3話のジェドとアデレードの婚約パーティの場でジェドがオーウェンに語った「FBI長官や市長へ炭疽菌を送ったという脅迫話」は、アニーによると「それはあなたの兄がやったこと」とのことだが、ジェドが実際にそれをやったのかどうかは不明。だが少なくともオーウェンはやっていないことは間違いない

 

アズミの車は第7~8話でオーウェンが乗っていた、あのいかつい塗装のメルセデス

 

オーウェンとアニーが精神病院から逃げるシーンは、第6話でオーウェンが語る『ドン・キホーテ』の失われた第53章を手に入れてしようと思っていたこと

アニーと一緒にどこかへ行こうと計画した

車に乗ってスピードを上げると知らない誰かが追ってくる

逃避行みたいで僕は笑っているんだ

顔は満面の笑みで、笑いすぎて苦しくなる

僕らは2人だけで助け合うんだ

という設定と重なる

 

 

オーウェンが考えていた3つの可能性とは

1つ目の可能性(オプションA)

アニーという女性もネバーディーン社も実在しないという可能性(ネガティブ)

2つ目の可能性(オプションB)

誰かと親しくなったあとに自身の執着が原因で関係を壊し、相手が離れていってしまい自身はひどく落ち込むという可能性(ネガティブ)

3つ目の可能性(オプションC)

上の「オーウェンがしようと思っていたこと」が実現する可能性(ポジティブ)

 

最後の重要なポイント

病院で職員を振り切ったあと、笑いながらオーウェンが言っていた言葉は、日本語訳では

「最高だ」

となっているが、元の台詞は

「This is it.」

である。

「it」はもちろん、オプションCの“『ドン・キホーテ』の失われた第53章を手に入れてオーウェンがしようと思っていたこと”=オーウェンの願望のこと。

 

つまり、統合失調症を患っているためアニーのようには自身の問題を克服できず、夜鷹のように世界から隠された存在で、誰かと親しくなっても関係が壊れて相手が居なくなってしまうことを怖れていて、「期待は裏切られるもの」と考え、自分の世界に閉じこもっていたオーウェンが「期待していたこと(=願望)」がここでついに実現したという、非常に感動的な場面だったのです。

 

トイレで着替えるシーンで、服を渡されても落ち着きがなく挙動不審なオーウェンが「なぜ来た?」とアニーに訪ねます。ここではオーウェンの心情を表すが如く、聴いていて不安な気持ちになってくるようなBGMでしたが、アニーが迷わず「友達だからよ」「当たり前でしょ」と答えたところで曲調が一気に変わります。そしてこのときのオーウェンが、ここで初めて自分が信じていいものを見つけ、苦しみから解放された──ようないい表情をしているのが印象的です。

 

これまでの流れを把握して見てみると、クライマックスで病院を後にするときのオーウェンの笑顔と「This is it.」の言葉が非常に大きな意味を持っていることに気付くと思います。

 

 

この物語での2人の目的と、実際に成し遂げたことは以下のことだったのではないでしょうか。

オーウェン:アニーの心の問題を癒すために彼女を導く手助けをすること。そして自身が過去や家族と向き合い、正しい決断をすること(正しい証言をすること)

アニー:妹との別れを受け入れること。そして自身の問題が解決するように導いてくれたオーウェンを、現実の世界で救うこと

 

お互いに助け合う関係であり、2人で組んで(それぞれの)世界を救う任務を遂行する──という意味では、第1話でグリムゾンが伝えたメッセージは正しかったということになるのかもしれませんね。

 

まとめ

 これに限らず他の映画のレビューでもそうなんですが、自分のブログに書くようになってから決めたマイルールとして、レビューを書くにあたって他の誰のブログやレビューも読まないようにしています(パンフなどのオフィシャルなものや外国の記事は除く)。この『マニアック』もウィキペディアとNetflixの公式ページのみを参照し、あとはひたすら何度も繰り返し見るという、かなり疲れる作業を経てまとめました(笑)。ですので配信スタートからひと月近く経ってしまいましたが、もう見たという人にも、そしてこれから見ようと考えている人にも役立てるようであれば幸いです。

 

 今作の監督であるキャリー・フクナガの他作品については、ミア・ワシコウスカ&マイケル・ファスベンダー主演の『ジェーン・エア』しか見ていないのですが、原作自体が素晴らしいというものありますが非常にいい映画でした。同じ物語でいえば1986年のシャルロット・ゲンズブール主演の『ジェイン・エア』も名作でしたが、それと同じかそれ以上の名作ではないかと個人的に思っています。007の次作を監督するとのことで、そちらも楽しみです。

 

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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