三崎町三丁目通信

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映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』──暖かくて、優しい。

投稿日:2018年11月20日

 

 90年代半ばころ、当時勤めていた会社(場所は三崎町三丁目)の経理の方から「きっとこれ好きだと思うから」と薦められて見て以来、今でも好きな映画ベスト10から外れることのない一本がこちら、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』です。

 もっと古い映画なのかと思っていたら1985年の作品だったんですね。物語の舞台が1950年代末のスウェーデンということで勘違いしていました。

 

 ひと言で言えば「暖かい映画」です。素朴で優しくて、幸せな気持ちになれる作品。最初に見てから20年以上経ちましたが、今も変わらず大好きで、おそらく20年後もそれは同じだろうと思います。

 

あらすじ

 海辺の街に住むイングマル少年は、病気の母親と、いつも自分をいじめる兄との3人暮らし。父親は仕事で南洋の海へ行ったままずいぶん長い間帰ってきていない。

 自分が善かれと思ってしたことが裏目に出たり、兄にやらされたことが原因で起きたことなどで何か問題や騒ぎを起こすたびに、静かな生活を好む母親を怒らせ、悲しませてしまっていた。

 ある夏、母親の容態が悪化し、イングマルと兄は夏の間それぞれ別々の親族に預けられることに。山間の田舎に暮らす母親の弟、グンネル叔父さんの家に預けられたイングマルは、ちょっと変わり者だが優しい村人たちや、サッカーチームの仲間たちにすぐに受け入れられ、母親や愛犬シッカンと会えない間も明るく過ごすことが出来ていた。

 夏が終わり、自分の家に帰ってきたイングマルだったが、母親の病状はかなり悪化していたのだった。ある日病院に運ばれた母親は、イングマルが選んで買ったクリスマスプレゼントを受け取ることなく亡くなってしまう。

 悲しみのなか、イングマルはまたグンネル叔父さんの元へ預けられることになるのだが…

 

イングマル少年と母親について

 映画自体が全体的に穏やかで、またイングマルが預けられた田舎の風景が素朴で美しく、そこに暮らす村人もみんな優しい人ばかりなので見ていて心が温かくなる作品なのですが、主人公のイングマル少年が経験する家族(母親と愛犬)との別れは、たとえ大人であっても辛いものです。

 イングマル少年はそんな辛い出来事を小さな身体と心で一生懸命受け止めようとし、「人工衛星に乗せられて宇宙に飛ばされてしまったライカ犬よりはマシだ」と自分に言い聞かせ悲しい気持ちを表に出さないようにしています。

 話すことが好きで堂々としたところもあるくせに(ベリットに話しかけるときにお尻をバーンと叩いてみたり 笑)、ときに自分の気持ちをはっきり声にして出さなかったり、とりわけ同年代の女の子に対してはやや受け身なところもあるためか、自分は何もしていないのに誰かを怒らせてしまったりすることも…。

 そういったことはイングマルから見れば不条理な出来事なはずなのですが、ただ黙って我慢したり、ときには反発するかわりに犬の真似をしてみせたりするところが健気で、何ともいじらしいのです。

 

 また母親についても、はじめて見たときはイングマルに対しての接し方や態度に納得できないものがあったのですが、十分に歳を取った今(笑)改めて見てみると、夫が仕事のためずっと不在であり、後に命を落とすことになるほどの病気を患いながらも、騒がしくて手のかかる息子二人を一人で育てている生活はきっと大変だったんだろうな…ということが理解できるようになりました。

 元々フォトグラファーとして自立していた女性ということもあり、その仕事を辞めて専業主婦となり、ひとりで子育てしていく生活は色々といっぱいいっぱいだったのでしょうね。。

 

 

ちょっと変わった村の大人と、子どもたち

 イングマルが預けられた先は「ここの住人は皆知り合い」とでもいうような小さな村ですが、なぜか変わり者が多く、それでいて皆優しくて温かい人ばかりでした。

 弱って食事もろくに摂らなくなっていながらも、カタログ雑誌の女性下着のページをイングマルに読んでもらうのを密かな愉しみとしている寝たきりの老人(笑)や、いつも自宅の屋根修理をしていて、その音で老人を苛立たせているフランソン

 フランソンは冬には子どもたちに下から雪玉を投げられたり(笑)、突然寒中水泳を始めて村人や子どもたちからゲラゲラ笑われたりしています。そんなネタキャラ扱いの変人ですが、真冬に川に入ったときは「大丈夫だから放っておいてくれ!」と何度言っても村の男たちにガラス工場に連れていかれ、火を入れている炉の前に座らされて無理矢理スキットル(ウイスキーを入れる携帯用の水筒)を口に突っ込まれるという介抱を受けることに(笑)。

 その他、綱渡りの名人や、「宇宙船」に見立てたゴンドラを作って子どもたちを乗せて遊ばせる農夫、村一番の美人をモデルに裸婦の彫刻を造ろうとする芸術家といった個性的な人が、何だかんだで調和してのどかに暮らしています。

 そしてイングマルが仲良くなる子どもたちも、緑色の髪をしたマンネをはじめとして、皆がよそ者のイングマルを快く迎え入れサッカーやボクシングなどをして過ごすようになります。

 その中でも、サッカーも上手くてボクシングも強いが、実は男の子のふりをしていることを周りにバレないように隠している少女サガとはすぐに親しくなり、途中で感情をぶつけ合うようなことがありながらもお互いに大切な友達になっていきます。

 

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三崎町三丁目通信の主筆・Kです(個人運営ですが)。映画の感想を中心に、趣味で続けているスペイン語学習(DELE A2取得で止まっています)と最近始めた英語学習のことなどを書いています。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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