映画『ロスト・イン・トランスレーション』──マニックスのMV、そして『TOKYO-POP』へと遡るトーキョー異邦人物語

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今回気付いたところ・その②

 そしてもうひとつ気付いたところとして、ボブとシャーロットは「異国の都会の中で孤独を感じる者同士」という繋がりで親しくなっただけでなく、二人のインテリジェンスさ加減とかテンションの具合会話の中での距離の取り方などが非常にいいバランスでかみ合っていて、単なる「同じ境遇」だけではこうはならない相性の良さみたいなものがあったように感じました。

 これがもし映画のプロモーションで来日している女優のケリーのようなタイプだったら、間違っても親しくなっていないでしょうし(笑)。

 若いけど落ち着いていて知性があり、聞き上手であると同時に誘い上手(そりゃこの人に誘われたら誰だって断らんわ…というツッコミは置いといて)でもあるシャーロットと、地位も名声もあるけれども、そういったものへの執着や関心がなく、また歳を取っていても説教くささもなければガツガツもしていないボブは、お互い波長が合う居心地の良い組み合わせなのでしょう。

 

© 2003 Focus Features

最後にボブは何を告げたのか

 雑踏の中でのお別れとなるラストシーンで、ボブは何を言ったのかについて、どこかで語られていたりするのか全く分かりませんが、以前までは「お互いの連絡先も知らず、こういう距離のまま異国で出会って異国で別れるお話、っていうのも余韻が残っていいな」という印象で終っていましたが、今回もうちょっと細かいところも注目して見てみたら、ボブが囁いた内容によってシャーロットは寂しいながらも笑顔でお別れすることが出来ているところに目が行きました。

 何を言ったんだろう…。あの日本という異国の中でまたポツンとひとりになってしまうシャーロットが笑顔になれた、ボブのその言葉って何だったんだろう…。

 自分が最初にこの映画を見た2005年頃の若かった自分には、きっとろくな推測は出てこなかっただろうと思いますが(笑)、それから13年ほど経ち、歳を重ねた自分が改めてボブの立場になったとしたら、出てくる言葉はなんだろう…。

 その一時、シャーロットを安心させ喜ばせられるようなことを伝えるのが正解なのか、それとも哲学専攻だったシャーロットがポジティブに受け入れられるように、たくさんの経験を積んだ中年ハリウッドスターとして何か人生哲学のようなことを伝えるのが正しいのか。。。

 ここで出てくる自分の言葉や解釈で、どれだけ人生経験を積んだか(または積まなかったか)が分かるような気がして怖い気もしてきます(笑)。

 

 

楽曲について

 映画で使われた楽曲は、カラオケで歌われたピストルズやロキシー・ミュージックなども含めて色々ありましたが、とくに響いたのはやはりこの2つです。

 

my bloody valentine
『Sometimes』

 冒頭でも書いたように、自分の音楽の好みと今作で使用されている楽曲がドンピシャだったのですが、とりわけ、もう本当に何よりもテンション爆上げだったのが、ただでさえ大好きなmy bloody valentineの曲の中でも一番好きだった『Sometimes』が使われていて、尚且つその場面が曲とすごく合う!ということでした(短いけど)。

 

 

 いいなぁ……合うなぁ。。

 

 ちなみに今年8月のマイブラ来日公演に行くことができまして、そちらについても少し書いていますので興味がありましたらどうぞ。

 

【ライブ】MY BLOODY VALENTINE Live@2018/08/15 Tokyo:Toyosu Pit
...

 

The Jesus And Mary Chain
『Just Like Honey』

 そしてもう一曲忘れてはいけないのが、ラストに流れるThe Jesus And Mary Chain『Just Like Honey』

 残念ながらジザメリのライブは見たことがないんですが、’98年のアルバム『munki』発売後の来日公演はチケットを買っていました。ですがすっかりお約束と化した兄弟喧嘩により、兄ウィリアムの離脱だったか、そもそも来日自体が中止だったか、もう忘れてしまいましたが、とにかくチケットは払い戻すこととなりライブは幻と終ったのでした。。全然関係ありませんがチケットは蒲田の東急スーパーの中にあったチケットぴあで買いました(笑)。この落差ときたらw

 で、この『Just Like Honey』はデビューアルバム『Psychocandy』の1曲目に収録されています。ジーザス&メリーチェインは最初からリアルタイムで聴いていたわけではなくて後追いだったこともあり、この映画を見た当時も『Honey’s Dead』や前述の『munki』に収録されているBPM高めの曲なんかを好んで聴いていたので『Just Like Honey』はそこまで好きでもなかったんですが、映画とセットで改めて聴いてみるとやはりいいもんです。

 

 

 と、そんなわけで所謂「シューゲイザー」系のバンドが大好きだったわけですが、今回念のため調べてみたら、この「シューゲイザー」という名前の由来を一部間違って解釈していたことに気付きました。。。

 

 

 内向的でヒョロっとした連中が、客(の顔)を見ずにずっと下を向いて演奏するようなタイプのバンドがやるジャンル──の揶揄から来てるのかと思いきや…床に貼った歌詞カードを見ながら演奏していたのが元ネタだったのですね。。ずいぶん長いこと間違ってたなぁ…(笑)

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