【解説】映画『LOOP/ループ -時に囚われた男-』──加算型ループ映画、そしてミシェル・ゴンドリーのMVとの共通点

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アダムの行動とループ①

 一番最初にアダムが目的としていたことは「ブツを持って逃げること」で、そこにアンナは含まれていません。アダムはアンナを棄てて自分だけ逃げるつもりだっので、チケットも持って出ていったアンナに強く憤り、アンナが車にはねられたのを目にしてもなお、自分が逃げることだけを考えて行動しました。

 病院からの帰りにビデオテープを拾って部屋に戻り、そのあとでデジューが部屋へやってきたときも

 

「どちらか一方だけ生かしてやる」

 

 というデジューに対して

 

 「アンナが警察にバラすと言った、自分は関係ない

 

 と、アンナを見殺しにして自分だけ逃げようとして結果的に撃ち殺されてしまいました。

 

 ここで映画が始まってからずっとカメラが捉えていた「主人公・アダム」は死にます。

 

 そして次にカメラがフォーカスする対象は、テレビにこの部屋の様子が映っていることに気付きテープを持ち出して逃げるアンナへと切り替わります。

【ここで不可思議な現象が発生】

 逃げるアンナは曲がり角でアダムとぶつかります。そこにいたアダムは最初と同じく

 

「チケットを持って出かけたアンナを追いかけたアダム」

 

 なのですが、会話の途中でループしていることに気付きます。

 

「さっきと同じだ」

 

 これはどういうことでしょうか。

 

 アダムはさっき殺されたばかりです。

 それを見て逃げ出したアンナがぶつかったアダムは、先ほども書いたように

 

「チケットを持って出かけたアンナを追いかけたアダム」

 

 なので、よくあるループものであれば、この流れで登場するアダムにはさっき殺されたアダムの記憶はないはずです。

 

 しかもぶつかってからの会話も、最初は殺される前のアダムの記憶に基づくものなのですが、会話の途中でアダムの意識は「殺されるまでの流れ」の記憶がある状態に変わっているのです。

 

 なおここでの衝突シーンは最初のものと全く同じではなく、ぶつかり方などは少し違っています。

 そういう面から考えても、ここでぶつかったアダムは何らかの現象によって

最初に殺されたアダム(=映画開始時の主人公であるアダム)の意識が、殺されたことによって次のループのアダムに移植または転送された

と考えるのが、無駄に悩まなくて楽なのかもしれません(笑)。

 

 そしてここからは「2回目のアダム」が主人公となって進行していきます。

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