「新たなる“もうひとつの”希望」
では『新たなる希望』以外は全て、SFファンタジー映画が持っているはずの物語性や創造性のないものなのでしょうか。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」でいうところの1970以降の蒸留酒(スピリッツ)みたいに。
しかしついに、その流れから飛び出すことに成功した、「魂=スピリッツ」を持った作品がサーガから外れたところに登場しました。
それが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』です。
厳密に言えばファンタジー映画ではなく、(今さらながら)そのタイトル通りの生々しい“戦争映画”であり、そして『新たなる希望』の直前までの物語なので「めでたし、めでたし」とハッピーエンドで終わらないことは誰もが知っている作品です。ですが、この映画には『新たなる希望』以降の作品にはなかった“SWというコンテンツに頼らない魅力”が確実に存在します。
たしかに前半は鈍重ですし、最もオイシイ時代設定での映画であり、デス・スターやヤヴィン4、モフ・ターキン、そして「あの姿・あの時代」のダース・ベイダーといった錚々たる面々が登場し、しかも「あの場面」の直前に繋がるという超ミラクルな展開はそれだけで大変なアドバンテージではあるのですが、『ローグ・ワン』が真に素晴らしいところはそこではありません。
これまでサーガ=本編では個人名すら出なかった“ならず者”たちが、命と引き換えに成し遂げた小さくも偉大な戦いを物語の中心にすくい上げ、それがその後の反乱軍と銀河全体にとってどれだけ尊く意味のある戦い・勝利であったのかを、しっかりと起承転結をもって描いた物語だからこそ『ローグ・ワン』が、SW中毒者となってすっかり何かが麻痺してしまった者たちの心に響いた作品となり得たのです。
「あの場面」の直前に繋がる話なのに起承転結?と思うかもしれません。ですがそこに繋がるEP4からの展開はこの『ローグ・ワン』では「後日譚」であり「それはまた別の話」です。彼らの物語はここで完結しています。何故なら彼らは命がけでミッションを遂行し、それで得た「新たなる希望」を反乱軍に託して全員死んでいったのですから。つまり『ローグ・ワン』はスピンオフであると同時に、ひとつの物語としてきちんと独立・完結していて、これ一本だけで感動できるという、映画として真っ当な1作なのです。
全てブチ壊した『最後のジェダイ』
D社はもちろん、世界中のたくさんの人たちが『ローグ・ワン』の成功で「これはもしかしてまだまだ行けるんじゃね?」と期待したことでしょう。ですがその期待は早くも『最後のジェダイ』で鈍く、そしてどんよりと打ち壊されることとなりました。粉々に、ではなく鈍く、というのが問題です。はっきりダメ出しされたり好き嫌いが分かれる問題作とかだったらまだいいのでしょうが、あのSWの正統な続編であるにも関わらず往年のファンでさえも「なんかもうどうでもいいや…」と思ってしまう作品だったのが大問題なわけです。
そんなドえらい大失敗作の後だけに、この『ハン・ソロ』は非常に分が悪いというか、可哀想な役回りとなってしまったのは否めませんが、では実際どうだったのでしょうか。
というわけで、長い長い前フリのあと、ようやく『ハン・ソロ』の話になります(笑)。テンションに忠実に書くのでいい事書けないかも…
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