【ヴィム・ヴェンダース監督作】映画『時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース!』──あなたは人を守り、そのお陰で守られた【Time Itself】

ENTERTAINMENT

スポンサーリンク

その他、小ネタなど

ゴルバチョフ元大統領

 冒頭でミハイル・ゴルバチョフ元ソビエト連邦大統領が本人役で登場します。映画に登場するゴルバチョフ役の人というと『ロッキー4』などに出演しているそっくりさんがいますので今回もその人かな? と思いきや、こちらは正真正銘本物のゴルバチョフ氏だそうです。

コロンボ

 今作ではストーリー展開に大きく絡む活躍を見せる「元天使」ピーター・フォークは、前作では撮影の合間にエキストラのスケッチをする場面がありましたが、今作ではそれらの作品で個展を開いており、ドイツへ来たのもその個展の開催のためでした。

 Wikipediaによれば、画家としても多くの作品を残していて日本でも何度か個展が開かれたとのことです。

 

 

 この映画の日本語吹替え版というものがあるのかどうか分かりませんが、もし存在するのであれば、

 カシエルのためにひと仕事終えて船から降りるときに「もう行くのか?」と訊かれて

「国で仕事と家と家族が待ってるもんだから」

 と答えるシーンの吹替えは

「うちのかみさんが~」

 になっているかどうか、確認してみたいところです。あと今作でも飛行機はエコノミークラスでの単身渡航だったのかもちょっと気になりました(笑)。

夫婦共演

 現在のハナと、ハナの母ゲルトルートの二役を演じたモニカ・ハンセンは、主人公カシエル役のオットー・ザンダーの妻だそうです。記述は多くありませんが、ドイツ語版のWikipediaに彼女の項目があります。

話される言語

 『ベルリン・天使の詩』でもドイツ語のほか英語、フランス語が話されていましたが、今作ではそれに加えて(おそらく)イタリア語も登場しました。

 ダミエルの娘ドリアが、母親のマリオンと話す最初のシーンで使われていたのがイタリア語だと思うのですが、でもなぜこの母娘の会話でイタリア語なのか? という…疑問も。マリオンはサーカスの仲間との会話でフランス語を使っているのは前作から変わっていないようですが。

 あとこれは前作でも使われた単語ですが、ピーター・フォークとカシエルの会話に出てきた「コンパニェーロ(Compañero)」という単語はスペイン語です。意味は「仲間」とか「同志」といった感じで、日本語訳ではたしか「兄弟」だったと思います。「同志」という意味合いでの「兄弟」なんでしょうね。

船の名前

 ハナたちやダミエル一家とその仲間が乗る蒸気船は「ALEKAHN」という名前でしたが、これは『ベルリン・天使の詩』で撮影監督を務めたアンリ・アルカンにちなんだものかと思われます。綴りは違うようですが。(アンリ・アルカンの綴りはHenri Alekan)

「額の文字」

 そういえばエミットがカシエルに度々「額の文字」について話していました。

「天国を外から見ようとして帰りそこなう──」

「運命を告げる文字」

「いつか一瞬、炙り出される文字だ」

 その文字って「死」だと思うんですが、他の解釈ってあるのでしょうか。。

再統一後のドイツ、そしてベルリンが舞台ということ

 この映画が日本で公開されたのは1994年。当時は携帯電話の普及もまだまだといったところで、私も初めて“携帯”を持ったのはそれから1~2年後で、アステルのPHSでした。いやぁ懐かしい……

 初代プレステが登場する前年。そしてこの年に行われたサッカーW杯に日本代表の姿はありませんでした。

 今も続く夏のロックフェスの代名詞、フジロックが開催されるのはここから3年後、そしてサッカー日本代表が初のW杯出場を果たすのはそれから4年後のことです。そう考えるとやはりだいぶ昔のことのように思えてきます。

 ソ連のペレストロイカを経てハンガリーで起きた民主化運動の様子や、東西分断の象徴とされたベルリンの壁が崩壊したときの映像などには少なからぬ衝撃を受けたものの、アメリカや“西側”の文化にどっぷりで、それらの国々経由から入ってくる情報しか目にすることのなかった当時の日本の少年(自分)にとっては、東ヨーロッパの社会主義・共産主義体制の国というのは非常に遠く感じられ、また西側バイアスもあって正直いい印象はありませんでした。

 とくに敵対意識があるわけではないけど、自由がなくて発展してなくて、貧しい国なんだろうな…と。

 どうしても私たちは壁崩壊~再統一により

「貧しい東側」が「豊かな西側」と統一されたことによって人々は救われ、自由と豊かさを手に入れることとなった

 という紋切り型の見方をしてしまいがちですが、映画の冒頭でカシエルが聞いた、車を運転する人々の心の声のなかに出てくる

「西へ来ても東と同じ。統一は無駄だった」

 という言葉が表しているように、現実は必ずしもそうとは言い切れないようです。このあたりについては映画『グッバイ、レーニン!』のレビューで触れていますので、よろしければそちらをお読みいただければと思います。

 

映画『グッバイ、レーニン!』──ドイツ再統一で「東側」の人々が得たものと失ったもの【ダニエル・ブリュール&あの映画の美少女】
...

 

 またそのレビューを書いたあとも、ネットで旧西側の人々と旧東側の人々との間にある格差について書かれているメディアの記事を何度か目にする機会があり、やはりそんなに簡単なことじゃないんだな…と改めて考えさせられたのでした。

 『グッバイ、レーニン!』のレビューにも書いている、旧東側の地域出身で今もそこに暮らしている私のペンパルが、ちょうど数日前に旅先での写真をいっぱい送ってきました。

 その人は(というかヨーロッパの人々の多くがそうなのかもしれませんが)バカンスというと海や山へ行くのが常なので、今回もキャンピングカー(レンタルするらしい)で出かけたみたいだからまた海かな? なんて思っていたら、今回の行き先はポツダムでした。

 行ったことはなくても私たち日本人なら誰でも知っている地名ですが、今こうして『時の翼にのって』のレビューを書いているタイミングでポツダムの写真が送られてきて、何とも言えない気持ちでいつも以上に見入ってしまいました。。

 映画の中でピーター・フォークが見ておきたいと思っていたポツダム広場の名前の由来になっているポツダムは、ベルリンの近くにある都市で、Wikipediaによればベルリン中心部からは26kmくらいの位置にあるそうです。

 東西格差ということで言うと、ドイツの一部プロサッカーリーグ「ブンデスリーガ」でもこれまでずっと西高東低の時代が続いてきて、優勝争いをするチームは常に旧西側地域のチームばかりでした。

 それがここ最近、ライプツィヒの活躍によりかつての東側地域のチームが優勝争いを繰り広げ、チャンピオンズリーグでも決勝ラウンドへ進むようになったりと、なかなか胸熱な状況となっています。

 サッカークラブとしてのライプツィヒにはとくに思い入れがあるわけではないのですが、

人というのは縁を持った対象に興味や好意を抱くもの──

ということで、個人的に今は旧東側の都市や地域のことをもっと知りたいと思っています。

前作のハリウッドリメイク

 『ベルリン・天使の詩』と『時の翼にのって』の2作品には、ともに戦争時の描写があります。その歴史を無視して今のベルリン(壁により分断されていた前作と、壁がなくなったあとの今作)を描くことは出来ない、という思いが監督にはあったのでしょう。

 そんな歴史の重みも含めて成り立っている映画『ベルリン・天使の詩』が、ハリウッドでリメイクされていたようですね。私がそれをテレビで見たのは何年前だか忘れましたが、2010年代半ば頃だったかと思います。

 それについて感想を述べる気はありませんが(お察しくださいw)『ベルリン・天使の詩』と『時の翼にのって』には、上述したような重い歴史も含めての物語であるということを考えると、リメイク作である『シティ・オブ・エンジェル』は最も重要なパーツが欠け落ちた『天使の詩』といった感じで、その薄さを埋めるためのあの結末だったのかなと、勝手に思っております。

 ネタバレになるので『シティ・オブ・エンジェル』をこれから見ようとお考えの方はこの先を読まないでいただきたいのですが、「なんだかなぁ〜」と思いながらもちゃんと見ていた私は、最後のあたりでさすがにツッコミを入れましたよ。。。

 

 

いやそこでお前が死ぬんかいっ

 

 

と。

 

映画とドラマのレビュー一覧はこちら(更新日時順)

comment

タイトルとURLをコピーしました