【Netflix】映画『ROMA/ローマ』──タイトルの意味、そしてメキシコ人にとっての『ROMA』とは

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タイトルの「ROMA」の意味

 メキシコ以外の中南米人のツイートでも多く見かけたので、それよりもさらに馴染みの薄い私たち日本人にとっては余計に「???」だったのではないかと思われるのが、『ROMA』というタイトルの意味です。

 私も見終わるまでこの『ROMA』というタイトルはどこから来るものなのかはっきりとは分からなかったのですが、メキシコの人たちのツイートや解説を読んで以下の2つの意味があることを理解しました。

 

①地区名

 登場人物たちが住んでいる場所がCDMXの「ローマ地区(la Colonia Roma)」であることから、このタイトルとなったようです。まずはこれが大前提の意味となります。

 ちなみに「CDMX」とは「ciudad de México」(シウダー・デ・メヒコ)の略で、「ciudad」は「city」のスペイン語なので、そのまんま「メキシコシティ」のことですね。昔のケータイの通信関連の名称とはたぶん全く関係ありません(笑)。

 またメキシコ人のツイートを読んでいると、舞台となる「ローマ地区」は、CDMXを象徴するような場所だった──とのことです。

 それとクレオが病院にいるときに地震が発生するシーンがありますが、昨年9月のメキシコ中部地震ではこのローマ地区も大きな被害が出た場所のひとつであったようです。地震のシーンを入れたことにも何か思うところがあったのでしょうか…。

 

②回文

 これはいわゆるダブル・ミーニングのタイトルとなっていて、二つ目の意味は「回文」として逆さまから読むと判明します。

 「ROMA」を逆から読むと「愛」という意味のスペイン語「AMOR」になるのです。

 

 監督の自伝的作品であり、過去を遡って監督自身が子どもだった頃、そこにあった「愛」を描いた物語であることを考えると、なるほどね~と腑に落ちる気がします。

 

 

アルフォンソ・キュアロン監督について

 アルフォンソ監督の過去作でこれまで見た作品はガエル・ガルシア・ベルナル(『モーターサイクル・ダイアリーズ』など)とディエゴ・ルナ(『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』など)が主演の『天国の口、終りの楽園。』『ゼロ・グラビティ』の2本で、他に製作として名を連ねた作品ではギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』と、あとギレルモ監督も製作に関わったレオノール・ワトリング(『トーク・トゥ・ハー』など)主演の『タブロイド』の2本で、『ゼロ・グラビティ』以外は全てスペイン語の作品でした。

 

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 というわけで「アルフォンソ監督といえば○○」みたいな知識もありませんし、とくにこの作品に関してはそういった蘊蓄系の説明を見聞きしたいとも個人的には思いません。メキシコの人たちがどうして絶賛しているのか、主人公と同じ時代を生きたおばあちゃん世代の方々がなぜ涙するのかを、少しでも知りたいだけです。

 とはいえ少しだけ書かせてもらうと、オープニングからすでに見られる長回しや、固定された位置からコンパスで円を描くようにカメラが回転して視点が移動するところ、そして被写体が歩く(まはた走る)のに合わせて平行移動する撮り方などはやはり印象的でした。

 『ゼロ・グラビティ』のパンフレットのレビューにも、長回しについて書かれているので一部引用します。

 アルフォンソ・キュアロンにとって、『ゼロ・グラビティ』は7作目の長編監督作になる。だが不思議なことに、本国メキシコで製作したデビュー作『最も危険な愛し方』(91)から本作まで、その作品選びには一貫した方向性のようなものがほとんど見られない。いや、まったくないと言ってしまってもいいくらいだ。

(中略)

 じゃあ、アルフォンソ・キュアロンはそうやって作品に身を捧げる作家性の希薄な職業監督なのか? あらためて思い浮かべたいのは、本作の冒頭、約20分にわたる長回しのシーンだ。無重力空間を漂うカメラが船外ミッション中の乗組員やスペースシャトルの姿を縦横無尽に追いかけ、やがて衝突事故の瞬間をとらえるあの奇跡のようなロングテイクは、彼の映像に対する意識の高さをはっきりと表すものだろう。キュアロンはこれまでの作品でもたびたび長回しを取り入れてきたが、明らかなのは、彼がその長回しの中に自らの希少な作家性を濃く注入してきたということだ。

 

@ Netflix

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