いわゆる“アレックス三部作”の最終作『ポンヌフの恋人』から8年が過ぎ、ついにレオス・カラックス監督の新作『ポーラX』が公開されたのが1999年の秋のこと。気付けばそれから20年の月日が経ってしまいました。
個人的に相当な思い入れと思い出があるこの『ポーラX』について、公開から20年が経った今、当時を思い出しながら改めて書いてみようと思います。
かなり長くなってしまったので4回に分けてまとめました。前半の第1回目・第2回目はパンフや雑誌などの参考書籍から振り返ってみる復習編、後半の第3回目・第4回目は限りなくイザベル擁護の立場で映画を語る感想編となっております。
というわけで今回はその第1回目です。
レオス・カラックス作品との出会い
私が最初に見たカラックス作品は『ポンヌフの恋人』でした。見た劇場は「下高井戸シネマ」、今でも一番好きな映画館です。
『ポンヌフ~』公開時(1992年)にいくつかの映画館で過去の2作品もリバイバル上映されていたので、幸運にも『ボーイ・ミーツ・ガール』と『汚れた血』もすぐに観ることが出来まして、20代初め頃の若者はあっという間に信者となってしまったのでした(笑)。
その後もVHSやDVDを購入して何度も何度も見ることになったのですが、DVDで持っているのが『汚れた血』(あとは今作『ポーラX』)だけなので、残念ながら他の2作はもうずいぶん長い間見ていません。
ちなみに『ポンヌフ~』のエンディング曲が収められたリタ・ミツコのアルバムも勢いで買ったりなんかして…しかも他のアルバムと合わせて2枚も(笑)。
それから7年経った99年、ついに新作が公開されると聞いたときは、そりゃもうめちゃくちゃ興奮したものです。
でも同時に「…つってもアレックスの物語じゃないし、主演もドニ・ラヴァンじゃないんでしょ、ジュリエット・ビノシュたちも出ないんでしょ。それって大丈夫なのかな、面白いのかな」などと知ったかして偉そうなことを考えたりしていました。いやはや、若いとはいえ恥ずかしい(笑)。
で、結果はどうだったかと言いますと、“アレックス三部作”を見たとき以上に深く突き刺さる映画となり、劇場には3度行き、特集が組まれた雑誌やシナリオ付き写真集も即買い、タイアップしていたTAKEO KIKUCHIのショップでそれほど欲しくもなかった服を買って特製ビニールバッグを入手するなど、分かりやすいくらいのドハマりをすることとなったのでした(笑)。
そんな感じで自分にとってはかなりの衝撃作だった『ポーラX』を、未熟で世間知らずだったけれども感受性の強さだけは一丁前だった20代のうちに観ることができたのは本当にラッキーだったと思っています。
購入した『ポーラX』関連の書籍など
TAKEO KIKUCHIのビニールバッグは数年前に捨ててしまったのですが、それ以外だとDVD、『STUDIO VOICE』1999年11月号のレオス・カラックス『ポーラX』特集号、同じくレオス・カラックスの来日に合わせて特集が組まれた『Cut』1999年10月号、ロッキング・オン社から発行されたシナリオ付き写真集、映画のパンフレット、チラシ、あとTAKEO KIKUCHIがコラボで作った「TAKEO KIKUCHI × Pola X」のリーフレット(片側のみ)、そして映画の原作であるハーマン・メルヴィルの小説『ピエール』(この小説の帯はおそらく当時だけでしょうからそれなりに貴重なのかも。画像はレビューの第3回目にあります)を今でも所有しています。
このTAKEO KIKUCHIがコラボで作ったポスター/リーフレットというのがどうしようもないくらいに格好良くて、当時上映していたシネマライズ渋谷のロビーにこれの超特大ポスターが2つ並んで貼ってありました。今だったらスマホで写真を撮ったり出来たんでしょうけど…
その縮小版のリーフレットが置いてあったので、なんとか片面のものは入手できたのですが、もう半分のリーフレットは見当たりませんでした。。
たまたま品切れだったのか、それともはじめからもう半分のリーフレットは作られていなかったのかは謎です。ってか『STUDIO VOICE』に見開きの広告が掲載されているのでまず間違いなく作られていたんでしょう…手に入れられなかったのは本当に残念ですが、この『STUDIO VOICE』に広告が出ていて良かったです。
デヴィッド・カーソンのデザインが全盛だった頃の懐かしい香りがします。
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