三崎町三丁目通信

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© 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.

映画『ヤング≒アダルト』──正しいほうへ進みなさい

投稿日:2018年7月7日

 

いろいろとコンフュージョンw

 

 

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 バディの妻がドラムを努める、全員子持ちのガールズ・バンド『ニップル・コンフュージョン』(なにこの名前w。まぁメンバー全員が子持ちということで、育児で大変な時期の心の叫びが名前になったような感じでしょうかw)のメンバーは、バディと一緒にいるメイヴィスを見て「女王気取りのビッチが」と吐き捨て、そしてライブの後にバディを車で送っていくという彼女に対しては「このク○女が!」とでもいうような視線をみんな(バディ妻以外の3人)で投げつけます。

 

 女王気取りの人気者だった女と、仲間とバンドを組んで自分たちの好きなことを続けて地元で生きている女たちは、相手に対する考え方も全く違うし、同じ曲に対しても全く違う思い入れがあったりするようです。

 

 その“同じ曲”っていうのがTFC『THE CONCEPT』っていうあたりが非常に素晴らしい仕掛けですね。バンドの下手さもまた似合うというか(笑)。そして何より、自分とバディの二人だけの思い出の曲だと(勝手に)思っていた『THE CONCEPT』が、バンドの初ライブで最初に演奏する曲で、自身の恋敵(勝手にそう解釈)が、それはそれは楽しそうに演奏しているのを見るメイヴィスの怖い顔ときたら……

 

 

憎い…

 

憎い……

 

憎いぃぃぃぃーーーーー!!!!!

 

 

 といった感じでしょうか(笑)。

 

 ベビーシッターのせいで思惑が外れ、ヤケ飲み(もちろんマットとw)したあと酔っぱらい運転で車をぶつける。そして翌日、街を歩いているところを母親に見つかり実家に戻るが、ここでの親子3人での会話のなかで、(不安やストレスを抱えている人がやりがちな)髪をいじって抜く癖を父に指摘されたり、自身のアルコール依存についてなんとなく自覚するようになる。このあたりから「やっぱり自分は問題を抱えている人間」という認識を持っている描写が出てきます。

 

 実家に置いてあった、昔自分が乗っていた車で直接マットのところへ向かい、酒を飲もうぜと連れ出すが、いろいろ限界に近づいているのか、これまでマットに対しては正直だったのに「バディと盛り上がってジャージをもらった」と嘘をつき(本当は実家にあったものを着てきただけ)、さらに今の彼女が唯一心を許せる相手であるマットに対してひどいことを言って帰ってしまうメイヴィス。

 

 この時点で何かやらかしそうなヤバい雰囲気を出しまくっていますが、書いている原稿の登場人物はまだ自分の都合の良い解釈が投影されているもよう。そしてその登場人物は言います。

 

“人生を正そう”

 

 

いよいよエクスプロージョンw

 

 

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 赤ちゃんの命名パーティの場で、バディに完全に拒否られたことでおかしくなったメイヴィスは、ついにその抑えようのない気持ちが爆発し、和やかなその場をぶち壊してしまいます。

 

 が、それだけであれば、単にイカれた元カノが自身の孤独な現状におかしくなって暴れたっていう、周りからしてみれれば迷惑千万な話っていうだけなんですが、ここで衝撃の過去が。

 

 メイヴィスは二十歳のときにバディとの子を宿したが、妊娠3ヶ月で流産してしまったということが判明します。

 

 

いやいやちょっと待って。

 

 

 このパーティぶち壊しの件についてまるっきり無罪放免とするわけにはいかないかもしれないけど、そんな過去があったのであれば、彼女を責めることもまたできないのではないかと。

 

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“正しいほうへ”

 

 

 みんなに嫌われることをしてしまい、打ちひしがれて行き着いた先はやっぱりマットの家マットはパーティへ呼ばれていないので部屋でフィギュア作っています(笑)。

 

 慰めるハグからそのままベッドへ倒れ込む二人。おそらく体を倒しながらうまく出来たのでしょう。ピロートークで、マット的には一世一代のキメ台詞を放ったつもりなんだと思いますが、よくありがちな、モテない男が美女を最後にゲットするストーリーの映画みたいな流れにはならず、やや微妙な反応のみ(笑)。

 

 そして翌朝、ミネアポリスを出てきた日に寝ていたどっかの男と同じポーズで寝ているマット。やはり同じように手を静かにどけて一人部屋を出る。2階のダイニングに上がると妹のサンドラがいて、

 

「他の人は簡単に幸せを見つけるのにどうして自分はダメなんだろう。自分を変えなきゃ

 

 というメイヴィスに対して

 

そんな必要ない。あなたは特別。皆の理想よ」

「ここの人間はみんなデブでバカ。この町は最低よ」

 

 と返すサンドラ。

 

 

 

 …何かをつかんだようなメイヴィス。全否定されたあとに、そんな自分でも優しく迎え入れてくれる男がいて、そんな自分を羨ましいと全肯定してくれる女がいることに勇気をもらい、自分の生きる場所(ミネアポリス)に堂々と帰る決心をする。

 

 なお、全てを受け止め抱きしめてくれた男と、その妹で最低な自分を全肯定してくれた女のことは無慈悲に放っておきます(笑)。一緒に連れてってとお願いするサンドラには

 

 

「あなたはここにいるのよ(この最低の町にね)」と拒否w

 

 

 また原稿の中でも主人公(自分の投影)の相手役についても非常にドライな扱いで退場させます。

 

 よくあるストーリーだったら、これで何かに目覚め、改心して新たな一歩を踏み出して本当の幸せに向かって歩き出す──みたいなエンディングになるんでしょうけど、

 

この女wは盛大にやらかして、そして都合の良い解釈で開き直って帰っていただけです(笑)。

 

 

 ホテルを後にしたメイヴィスが走る車の後ろに見える標識にはこう書かれていました。

 

 

RIGHT LANE

MUST

TURN RIGHT

 

 

 右車線に入って右折せよ、という標識が「正しいほうへ進みなさい」と言っているようにも見えます。

 

 ファミレスで最後の原稿を書き上げ、その中で

 

「過去に区切りをつけ田舎町にさよならを言い、ページをめくって新しい人生を始めるのだ──」

 

 と宣言した彼女が乗り込む車のハザードランプは、

 

 

左側しか点灯しない。

 

 

  • この記事を書いた人

33press管理人

2012年より某地方在住。映画と音楽と雑学とスポーツ観戦が好きで、2017年下半期はツイン・ピークスの新シリーズにはまっていました。フリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナーをやってます。 びっくりするくらい将棋が弱いです。16年にDELE A2に合格。A2てw

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