三崎町三丁目通信

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「小さい頃に西洋の童話を読んで想像した異国」を想い出してみるといいかも。映画『リザとキツネと恋する死者たち』

投稿日:2017年9月5日

 

 

─「なんでこうなるの?」っていうことを結果から遡って考えてみることで答えを導き出してみる─

 

 とある外国語を勉強していてよくあったことのひとつに、

この言葉とぴったし同じ意味の単語が○○語にはない…どう訳せばいいの?」

という置き換え不能の言葉が出てくる問題がありました。

 

 またこれは日本と外国との間に限らず、国内でも存在する問題であり私が18歳で上京してからの数年間、田舎でしょっちゅう使っていた言葉と全く同じ意味の単語が標準語にはないということが判明し、それを回りくどく別のいくつかの言葉を組み合わせて置き換えてみたりしてちょっと難儀したと同時に、地元の友達や同じ県出身の人と話す際の鉄板ネタにもしていました。

 

 で、長いこと東京に暮らしていて自然とその言葉を使う機会もなくなったある日、ようやく同じ意味の単語がない理由に気付いたのですが、それはつまり

「ここでは使う必要がない言葉だからその単語が存在しない」

ということでした。

 

 私の田舎で使われているその言葉というのは「いずい」というもので意味は「しっくりこない」「居心地がよくない」「気まずい」など多様性のある単語です。

  • ジーンズを買ったけどいざ穿いてみるとどうにもポジションの収まりが悪くて(男性の場合です)よろしくないときの感覚
  • 座り心地の悪い椅子に腰掛けているときの感覚(意味的に↑とだいたい似ていますが)
  • みんなと居るときは問題ないけど二人きりになると会話が続かず居心地が悪いと感じる相手との関係

などの場合によく使われます。

 

 最初のうちは「なぜこれと同じ単語がないんだろう?」と思っていましたが、いま例を書いたような言葉でそれぞれ説明すればそれで済むことなので

 

この言葉を訳したい(問題)同じ言葉は存在しない(結果)なぜなのか?(疑問)

 

という考え方をやめて、結果から逆に見ていくと

 

同じ言葉が存在しない(結果)その言葉を使う場面がない(理由)使わないのだからないのは当たり前(解決)

 

というように問題が解決したのでした。要は相手の目線・立場で考えろ、ということでしょうか。

 

 

…前フリが長くなりました。

 

 昨年観た『リザとキツネと恋する死者たち』は、

「1970年代のブダペスト。元日本大使未亡人の看護人として住み込みで働くリザの心のよりどころは日本の恋愛小説と、リザにしか見えないユーレイの日本人歌手、トミー谷(トニーではありません)。孤独な毎日を軽妙な歌声で元気づけてくれるが、リザは恋愛小説にあるような甘い恋に出会うべく30歳の誕生日に未亡人に2時間だけ外出許可をもらう。だが、その間に未亡人が何者かに殺害され、さらに彼女が恋した人は“死者”となる、奇怪な殺人事件が次々と起こる…。」

 

 というストーリーの2015年のハンガリー映画です。本国ではハリウッド映画を凌ぐ異例の大ヒットとなったそうで第35回ポルト国際映画祭グランプリ、第33回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭審査員&観客賞を受賞した作品だそうです。

 

 あらすじで何となく読めると思いますが、この映画には「日本(または日本的なもの)」が随所に登場します。ユーレイのトミー谷(演じているのは日本人の父を持つデンマークの俳優デヴィッド・サクライ)が歌うありそうでなさそうな、でも意外とそれっぽく聞こえる昭和歌謡、次々とお相手が死んでしまうのはキツネの呪いだと思っているリザの妄想世界、また映画のどこかで登場する日本国内のシーンなどなど。

 

 外国の映画に出てくる「日本」は多くの場合トンデモですが、今回の「日本」はけっこういい線いってるように感じました。でもやはり日本人が見ると「やっぱり外国人(とくに西洋人)の中のちょっとヘンな“ニッポン”だよね」という印象も否めません。

 

 ただここで注目したいのは「けっこういい線いってる」という点で、その理由はこの映画を撮った監督が本当に日本が好きで黒澤明や小津安二郎の映画に出てくる古い日本から現在のニッポンまでよく知っているような人だから、のようです。(1970年代の設定なので出てくるのはやや古い日本文化ですが)

 

 で、ここでようやく冒頭の前フリに繋がってくるのですがさほど日本に関心がない人たちが作る映画の「日本」は別として、

 

日本好き、日本オタクの外国人が撮る映画の「日本」が、自分たち日本人から見て少し変…と感じたとしても(結果)

それは「彼らが見て感じた日本」(理由)そのものなのであるから

彼らにとっては正しい「日本」である(解決)。

 

 ということではないかと思うのです。

 

 日本人だって他国の文化や食べ物を好き勝手にアレンジしてオリジナルの国の人たちに呆れられたりしてるんだから(笑)、映画や海外ドラマの中のトンデモ日本に関してももうちょっと寛容になってもいいのかもしれませんね。

 

 気付けばもう14年も前の映画になってしまいますが、現代の日本をほぼ正確に描いた、外国人が撮った最高の日本(が舞台の)映画は『ロスト・イン・トランスレーション』ではないかと個人的に思っております。英語のサイトが2000年代初頭っぽくてすごくいい~

  • この記事を書いた人

三崎町三丁目通信主筆・K

ブレラン2049っぽいのか007っぽいのかわかりませんが1文字にしてみました。三崎町三丁目通信の主筆(一人しかいませんがw)をしておりますKでございます。本業はフリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナー。びっくりするくらい将棋が弱いです。

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