三崎町三丁目通信

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『アスファルト』

映画『アスファルト』──落ちて、ちょっと前進して、また上がる

投稿日:2017年11月12日

映画『アスファルト』公式サイトより

※公式サイトの著名人のコメントページに「団地ともお」の作者のものがあって笑いましたw

 

 

来週WOWOWで放送するらしいので、観に行ってからずいぶん経って記憶も怪しくなっていますが放送前に書いておこうかと…

 こちらの映画『アスファルト』、最初チラシを見たとき「うわ、イザベル・ユペールさすがに老けちゃったなぁ…」と軽くギョッとしたのですが、これは宇宙飛行士を迎えにきたNASAのヘリコプターが飛び立つとき、部屋に風が入ってきて(扇風機の前で口を開けたときのような状態になったところなので)あんな顔なんですよね。映画を見てホッとしました(笑)。私がイザベル・ユペール主演の映画を最初に見たは日比谷シャンテにて94年のハル・ハートリー監督作『愛・アマチュア』なのですが、こういうときにすぐ確認できるからパンフレット買っておいて良かったなと思います(笑)。

パンフレット繋がりでいうとこの『アスファルト』のパンフ、コンテンツがいい意味でちょっと古くさいです。

 

 それはそうとこの場面、思いっきしラストシーンなんですが最近ラストショットとかを予告や広告に堂々と出す作品が多いですよねぇ。悪いとまでは言わないけど、個人的には楽しみを先に出されるのはちょっと勿体ないように感じています。

 

 全体としては、なんか久しぶりにクラシカルな映画を見たなぁという感想でした。大きな事件が起こるわけでもなく(宇宙飛行士の件は大きな出来事ではあるけれど)、メリハリのきいた起承転結のストーリーというわけでもなく、なおかつ最近の映画にあるような「何も起こらないのがいいでしょ? イケてるでしょ?ね?」みたいなドヤ感も感じない、ひと昔かふた昔前のヨーロッパ映画のようなこじんまりとしたスケールの映画、っていう感じ。嫌いじゃないです。

 といっても舞台となるのはなかなかに現実的な現在のフランスの団地で、そもそも不便な場所にあって、色々なところから来た移民が多く住んでいるところからしてもある程度どういった場所なのかは想像はつきますが、補修もちゃんとされないまま老朽化が進んで困ったことになっていたりするようです。空も曇りばっかりだし、無機質な団地は一部取り壊しが始まっていてアスファルトむき出しで全体に彩りが足りない、リアルな郊外の風景というか。

 

 故障したエレベーターを住人みんなで負担して直しましょうという提案に、身勝手な理由でひとりだけ反対したことでエラい目に遭ってしまうケチなおっさん・スタンコヴィッチと、何やらワケあり風情の夜勤の看護師。

 母親と暮らしているものの、ほとんど家庭内離婚ならぬ家庭内自立といった感じでほとんど一人暮らし状態の少年シャルリと、こんな団地に唐突に引っ越してきたお隣さんの女優ジャンヌ。

 団地の屋上にいきなり落ちて来た宇宙船の着陸用カプセルに乗っていたNASAの宇宙飛行士ニーヌ…じゃなくてジョン・マッケンジーと、息子が投獄中のアルジェリア移民マダム・ハミダ。

 

公式サイトより

 

 モーターサイクルマシンを漕いでいる最中に意識が落ちて病院送りとなり、しばらく車椅子での生活となったスタンコヴィッチは本当にダメなおっさんなんだけど、ダメなおっさんのくせに惚れた勢いで夜勤の看護師のためにダメなおっさんなりにちょっと頑張ってみたりなんかする。

 表舞台から落ちてしまった女優ジャンヌは、隣の鍵っ子少年シャルリの助言で一歩踏み出す決心をして、今の自分を受け入れ年相応の女優として新たに進んでいくことに。そしてシャルリもにとっても、今まで欠落していた親とか大人との時間という、この年代の少年にとって必要なはずだったのに得られなかった経験をしていく。

 唐突に宇宙からフランス郊外の団地屋上に落ちて来た宇宙飛行士のジョンは、早くアメリカに帰りたいのに英語の通じないアラブ系移民のおばさんと数日過ごさなければならないことに困りつつも、言葉が通じないながらも相手の優しいもてなしに少しずつ心を開いていく。またもてなす側のマダム・ハミダも息子と過ごすことができない寂しさを埋めてくれるジョンのおかげで生活が活気づいてくる。

 実際には同じ団地とかマンションに住んでいる住人との交流って、家族同士の付き合い(子どもや年寄りを介してとか)がないと結構難しかったりするものですし、おっさんと看護師みたいなシチュエーションで交流が生まれるなんてことはなかなかないですけど「袖振り合うも他生の縁」といったように、もし何かきっかけがあって自分と誰かが“近くにいる赤の他人”ではなくなったとき、この映画みたいに停滞していた人生がちょっと進むようなことが起きるかもしれない──と思うと、変わらないように見える日常にもどこかで楽しみが待っているような気がしてきます。

単純か(笑)。

 

ところで夜勤の看護師役の女優さんはヴァレリア・ブルーニ・テデスキさんというらしいのですが、妹さん(モデルで歌手のカーラ・ブルーニ)はサルコジ元仏大統領夫人だそうです。妹さんは相撲に興味あるのだろうか…w

(訂正:相撲好きはシラク元大統領でしたw)

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33press管理人

2012年より某地方在住。映画と音楽と雑学とスポーツ観戦が好きで、2017年下半期はツイン・ピークスの新シリーズにはまっていました。フリーランスのグラフィック&エディトリアルデザイナーをやってます。 びっくりするくらい将棋が弱いです。16年にDELE A2に合格。A2てw

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